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地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用時の留意点

『国税速報』平成28年9月19日号

平成28年度税制改正で導入された地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)では、都道府県や市町村の行う事業のうち内閣府が認定する一定のものに対する企業の寄附について、現行の地方公共団体に対する寄附の損金算入措置に加えて、税額控除を設けることとされました。(『国税速報』平成28年9月19日号)

【疑問相談】地方税・法人税

「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用時の留意点」

Question:
当社は、東京都を本店とする内国法人(単体納税。青色申告書提出法人)です。このほど、企業が自治体に寄附を行うと税負担が軽くなる「企業版ふるさと納税」が創設されたとのことから、地域活性化のほか企業のイメージアップの向上も見据えて、当制度の活用を検討しています。とりわけ、当社の支店が存する自治体への貢献を重視する観点から、当社の支店が存する自治体への寄附を優先して行いたいと考えています。

当制度を利用した場合、税負担の軽減の内容や手続を行う上でどのような点に留意すればよいでしょうか。

Answer:
平成28年度税制改正で導入された地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)では、都道府県や市町村の行う事業のうち内閣府が認定する一定のものに対する企業の寄附について、現行の地方公共団体に対する寄附の損金算入措置に加えて、税額控除を設けることとされました。

企業版ふるさと納税の適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人とされており、寄附をするに当たって企業自身が認定等を受ける必要はありません。

貴社の支店が存する自治体への寄附を想定しているとのことですが、内閣府が認定した対象事業は、平成28年8月時点で6県81市町村の102事業であるため、具体的に寄附を行う場合はその対象事業を把握する必要があります。

なお、本店所在地や地方交付税の交付団体、地域再生法施行令で規定されている集中地域に該当する自治体は、当制度の対象団体とはなりません。

また、税額控除の適用を受けるためには、確定申告書等に申告書別表の添付があり、かつ、その別表に記載された寄附金が特定寄附金に該当することを証する書類を添付または保存する必要があります。

【解説】

1. 制度導入の背景

地方公共団体が民間資金も活用し地方版総合戦略に基づく事業を積極的に実施していく観点から、認定地方公共団体のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業(以下2(2)まで「寄附活用事業」)に関連する寄附をした場合の法人事業税および法人住民税における税額控除制度が創設されました。

なお、法人住民税の税額上限に達して控除できなかった部分は、寄附額の10%を上限に法人税において税額控除されます。

2. 制度の内容

(1) 概要(税負担の軽減の内容)

地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法の認定地域再生計画に記載された同法の寄附活用事業に関連する寄附金を支出した場合に、その支出した事業年度において、法人事業税において寄附額の10%(上限:事業税額の20%。平成29年4月1日以後開始事業年度は15%)、法人住民税において寄附額の20%(上限:法人税割額の20%)が税額控除されます。なお、法人住民税の税額上限に達し、寄附額の20%が控除できない場合は、控除できなかった部分を法人税において、寄附額の10%を上限に税額控除(上限:法人税額の5%)されます(措法42の12の2、地法附則8の2の2、9の2の2)。

また、特定寄附金は地方公共団体に対する寄附金となりますので、従前同様、全額が損金算入可能となることから、約30%の税負担の軽減効果があり、これに税額控除を合わせると寄附額の約60%が税負担の軽減となります。

なお、貴社の支店が存する自治体への貢献を重視し、寄附先としてその支店が存する自治体への寄附を想定しているとのことですが、自治体への貢献という観点からすると、事業税または住民税は、事務所または事業所を有する都道府県または市町村から控除されるため、その分、支店所在の自治体に納付されるはずだった税額が減少することになり、寄附金全額がそのまま自治体の収入とはならない点には留意が必要です。

(2) 適用対象となる寄附先の地方公共団体

適用対象となる寄附先の地方公共団体は、地域再生法第8条第1項に規定する認定地方公共団体とされています。ただし、次の要件に該当する地方公共団体は適用対象となりません。

  • 都道府県・・・寄附活用事業を行おうとする年度の前年度において、普通交付税の交付を受けていないこと(平成28年度においては東京都が該当。)
  • 市町村・・・次のいずれにも該当すること(平成28年度においては東京都特別区のほか、立川市、神奈川県鎌倉市等の18市町が該当。)
- 寄附活用事業を行おうとする年度の前年度において、普通交付税の交付を受けていないこと
- その区域の全部が集中地域の区域内にあること

(3) 適用対象となる寄附の対象事業

適用対象となる寄附の対象事業は、地域再生法第5条第4項第2号に規定する、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業とされています。具体的には、地方版総合戦略に位置付けられた事業であって、実施状況に関する客観的な指標、評価方法の整備により効率的かつ効果的に実施される事業とされており、(2)の地方公共団体は、当該事業について国の認定を受ける必要があります。

この認定申請の時点において、1件以上の寄附の見込みが立っている必要があることから、寄附を行おうとする法人は、対象事業の企画立案の時点から寄附の申出を行うことができます。また、事業の実施完了に至るまで、いずれの段階においても寄附の申出が可能ですので、地方公共団体が、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業を企画立案し企業に直接相談を行った場面、または、内閣府が地方公共団体から申請を受けた、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業を公表した場面が、法人が寄附を検討する契機になると考えられます。

内閣府は、地方創生推進事務局から、第1回として、平成28年8月に6県81市町村の102事業の認定を公表し、平成28年11月中に第2回、平成29年3月中に第3回の認定を予定していますので、具体的な寄附先はこの公表された対象事業から検討する必要があります。

(4) 申告要件

確定申告書等、修正申告書または更正請求書に、控除を受ける金額およびその計算明細を記載した別表の添付があり、かつ、その別表に記載された寄附金が特定寄附金に該当することを証する書類を地方税別表に添付(法人税は保存)している場合に限り、適用されます。この証する書類は、認定地方公共団体が交付した領収書とされています(措規20の7の2)。

3 その他の留意点
  • 1の寄附ごとに10万円以上でその事業につき確定した事業費の範囲内の寄附が本税制の対象となります
  • 主たる事務所または事業所が所在する地方公共団体への寄附については、本税制の対象となりません
  • 2(2)の地方公共団体は、寄附を行う法人に対しその寄附の代償として経済的な利益を与える以下のような行為はしてはならないこととされています(地域再生法施行規則13)
- 補助金として交付すること
- 有利な利率で融資すること
- 入札や許認可で便宜を図ること

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※本記事は、一般財団法人大蔵財務協会の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。

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