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買収した連結子法人を連結納税開始の日に連結納税グループ外の法人に合併した場合の時価評価課税

『国税速報』平成29年1月23日号

本稿では、連結開始直前事業年度終了の時に有する一定の資産について、連結納税の開始に伴う時価評価が必要となるかについて解説する。(『国税速報』平成29年1月23日号)

【疑問相談】法人税

「買収した連結子法人を連結納税開始の日に連結納税グループ外の法人に合併した場合の時価評価課税」

Question:
内当社は平成29年12月期(自:平成29年1月11日、至:平成29年12月31日)より、当社を連結親法人とする連結納税を開始しました。連結納税開始時点ではA社およびB社という2社の連結子法人が存在しておりましたが、連結納税開始の日である平成29年1月1日付で、当社がその発行済株式等の70%を保有する子法人の甲社を合併法人とし、B社を被合併法人とする適格合併を実行したことにより、B社は連結納税開始の日と同日付で連結納税を離脱しています。

B社は平成27年10月1日付で外部の第三者からその発行済株式等のすべてを譲り受け、当社の100%子法人としたものです。

この場合、B社が連結開始直前事業年度終了の時に有する一定の資産について、連結納税の開始に伴う時価評価が必要となるでしょうか。

※関係図はPDFの1ページを参照

Answer:
B社が連結開始直前事業年度終了の時に有する一定の資産について、連結納税の開始に伴う時価評価は必要ありません。

【解説】

1. 時価評価対象法人への該当性

(1) 原則的取扱い

親法人と同時に連結納税を開始する子法人(すなわち、最初連結親法人事業年度開始の時に親法人との間に当該親法人による完全支配関係を有する内国法人)は、次に該当する場合を除き、時価評価対象法人に該当し、その連結開始直前事業年度終了の時(本件の場合は平成28年12月期末時点)に有する一定の資産を時価評価しなければなりません(法法61の11①)。

【時価評価の対象外となる法人】

  • 親法人を設立した株式移転に係る完全子法人
  • 連結納税の開始日の5年前の日から継続して連結親法人となる法人による完全支配関係がある子法人
  • 連結親法人となる法人または連結親法人となる法人による完全支配関係がある法人により設立され、その後継して連結親法人となる法人による完全支配関係がある子法人
  • 適格株式交換に係る完全子法人
  • 適格合併等により完全支配関係が生じた子法人のうち、被合併法人等の長期保有子法人
  • 単元未満株式の買取り等により完全支配関係が生じた子法人

(2) B社の取扱い

当社とB社との間の完全支配関係は、平成27年10月1日付で当社が第三者からB社の発行済株式等の全部を取得したことにより生じているため、B社は時価評価対象法人に該当することとなります。

2. 時価評価資産への該当性

(1) 原則的取扱い

連結納税開始に伴う時価評価資産とは、時価評価対象法人が連結開始直前事業年度終了の時(本件の場合は平成28年12月期末時点)に有する固定資産、土地(土地の上に存する権利を含む)、有価証券、金銭債権および繰延資産で、下記に該当するものを除きます(法法61の11①、法令122の12①)。

【時価評価の対象外となる法人】

  • 連結親法人事業年度開始の日の前5年内事業年度等において、圧縮記帳等の適用を受けた減価償却資産
  • 売買目的有価証券
  • 償還有価証券
  • 資産に係る含み損益(※)が資本金等の額の1╱2または1,000万円のいずれか少ない金額に満たないもの
  • 連結子法人となる法人との間に完全支配関係がある清算中の内国法人等の株式または出資で含み損のあるもの
  • 連結納税の開始日に連結子法人を被合併法人とし、連結納税グループ外の法人を合併法人とする合併が行われ場合に、その連結子法人が当該合併法人に移転する資産等
  • 連結納税の開始日に連結子法人を合併法人とする合併により、連結親法人との間に完全支配関係を有しなくなる場合の、当該連結子法人の保有する資産等
  • 完全支配関係が生じてから2カ月以内に離脱する子法人(連結親法人となる法人または連結親法人となる法人による完全支配関係がある法人を合併法人とする合併により離脱するものおよび完全支配関係が生じた連結親法人事業年度終了の日後に離脱するものを除く)が保有する資産

(2) B社の取扱い

上述のとおり、連結納税の開始日に連結子法人を被合併法人とし、連結納税グループ外の法人を合併法人とする合併が行われた場合には、その連結子法人が当該合併法人に移転する資産については、時価評価資産に該当しないこととされています。

B社は、平成29年1月1日(=連結納税の開始日)に、当社との間に完全支配関係を有しない甲社に吸収合併されていることから、B社が保有する資産については、連結納税の開始に伴う時価評価は不要であると考えられます。

※平成29年度税制改正大綱によれば、時価評価の対象外となる資産について、帳簿価額が1,000万円未満の資産とされる予定です。

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※本記事は、一般財団法人大蔵財務協会の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。

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