ナレッジ

IRS様式W-8IMY、様式W-8BEN-Eの更新および関連インストラクションを公表

国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報

本ニュースレターでは、米国内国歳入庁より2017年6月から7月に公表された、改訂版様式W-8IMYと改訂版様式W-8BEN-Eの概要と各様式における主な変更点を解説する。(国際税務QI/FATCA/CRS関連情報/2017年8月2日)

1. はじめに

米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は2017年6月に改訂版様式W-8IMY(IRSウェブサイト(英語、PDF))を、2017年7月に改訂版様式W-8BEN-E(IRSウェブサイト(英語、PDF))を公表した。これは2017年1月に公表された最終規則および暫定規則、歳入手続2017‐15で公表された新QI契約を踏まえたものであり、適格デリバティブディーラー(Qualified Derivatives Dealer:以下「QDD」)や外国事業体の米国支店の宣誓、スポンサー付FFI(Foreign Financial Institution:外国金融機関)およびスポンサー付直接報告NFFE(Non-Financial Foreign Entity:その他の外国事業体)のGIIN(Global Intermediary Identification Number:グローバル仲介人識別番号)取得等の更新が行われている。

旧様式を使用するに当たっては、2017年1月に公表されたTD9808により、財務省規則§1.1441‐1(e)(4)(viii)(C)が変更され、旧様式での受け入れ可能期間が変更となっていることに留意されたい。

ここでは、その概要と各様式における主な変更点を記載する。

2. 旧様式での受付可能期間の変更

様式の改定があった場合、これまでは様式の改訂日から6カ月間は旧様式を使用することができたが、規則が変更され、改定日から6カ月間もしくは改訂した年の暦年末のいずれか遅い日まで、旧様式を使用することができることとなった。様式W‐8IMY、W‐8BEN-Eの改訂日はそれぞれ2017年6月と7月であることから、W‐8IMYは、2017年12月末まで、W‐8BEN‐Eは2018年1月末までは、旧様式を使用することも可能である。源泉徴収義務者は法令上は、上記の期限までは旧様式の提出を受け入れることができ、受け入れた様式の有効期限の終了までこれに依拠することができるが、実務上は、様式が更新された場合には新様式での提出を要求する。

3. 改訂版様式の主な変更点

(1) 様式W‐8IMY

1) 適格デリバティブディーラー(QDD)

改訂版様式では、新QI契約で新たに設けられたQDDの要件を反映するよう更新されている。QDDとして支払を受ける場合には、様式W‐8BEN‐Eではなく、改訂版様式W‐8IMYを使用し、QDDとしての役割を果たす適格仲介人(Qualified Intermediary:以下「QI」)である旨の宣誓と、当該支払についての租税条約に基づく恩典の申請の両方を行うことが可能となった。ただし、租税条約上に基づく恩典の申請にあたっては、様式W‐8BEN‐EパートIIIで求められている情報を含む表明文書を様式W‐8IMYとともに源泉徴収義務者に提出しなければならない。

2) 米国支店の宣誓

2017年1月に公表されたFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)最終規則では、外国事業体の米国支店についての一定の要件が変更された。当該変更を受け、仲介人である米国支店が米国(法)人(U.S. Persons)として取り扱われないFFIの場合には、改訂版様式Line 4において米国支店を選択し、Line 19cにおいて2017年7月1日以降に行われる支払について、第4章に基づく源泉徴収を回避するため、財務省規則§1.1471-4(d)(2)(iii)(C) に規定されるルール(参加FFIとして求められる本人確認、報告、源泉徴収に関する義務)を適用する旨の宣誓をすることとなる。

また、これまで米国(法)人として取り扱われるFFIの米国支店に関しては、FATCAに遵守する特定のFATCAステータスを有するFFIの支店であることが求められていたが、財務省規則の修正に伴い、特定のFATCAステータスである必要がなくなったことから、インストラクションにおいて、該当する場合にはLine 5(FATCAステータス)、9(GIIN)は記載が不要であると記載されている。

(2) 様式W‐8IMYおよび様式W-8BEN-Eに共通する重要な変更点

1) 制限FFIおよび制限支店

制限FFIおよび制限支店ステータスは2016年12月31日に失効していることから、改訂版様式から削除された。

2) 登録みなし遵守FFIであるスポンサー付FFIおよびスポンサー付直接報告NFFE

2017年1月1日付で、登録みなし遵守であるスポンサー付FFIおよびスポンサー付直接報告NFFEは、各様式に記載するための自らのGIINを取得することを義務付けられ、スポンサー事業体のGIINを記載することはできなくなった。改訂版様式は当該要件を反映するよう変更されている。

3) 報告免除IGA FFI

改訂版様式は、財務省規則における源泉徴収義務者が報告免除(Nonreporting)IGA FFIの本人確認を行う際の要件を反映するよう更新されている。スポンサー付事業体である報告免除IGA FFIはGIINの記載が必要な場合、自らのGIINを記載しなければならず、スポンサー事業体のGIINを記載することはできなくなった。

(3) 様式W-8BEN-Eの重要な変更点

1) 外国納税者番号(TIN)

改訂版様式のインストラクションでは、金融機関の米国事務所もしくは支店に口座を保有する一定の口座保有者が、本様式において、外国納税者番号の記載が必要となる要件および例外が明確化された。原則、必要となるのは、米国において金融機関に口座を保有する場合で、様式1042Sの報告対象となる米国源泉所得を受取る場合となる。

4. 改訂版様式W-8IMYの各項目の変更点

前述の主な変更点を踏まえ、改訂版様式W‐8IMYにおいては各項目が変更されているが、ここでは、QIの役割を果たす日本の金融機関において特に関連する可能性のある改訂について概要を記す。

(1) 様式パートIII 適格仲介人

旧様式では大きく分けて2つの項目であったが、改訂版様式では、すべてのQI向け、QDDの役割を果たさないQI向け、QDD向けの3つの大きな項目に変更された。QIの役割を果たす日本の金融機関の多くに該当があると思われる、旧様式からの改訂部分は以下のとおりである。

  • Line 14 旧様式14aに相当し、QIの役割を果たすすべての金融機関がチェックを入れる。小項目の文言が、(i)から(iii)のいずれかに該当、から一つ以上に該当、へと修正された
  • Line 15c 旧様式14eに相当。第一義的様式1099報告およびバックアップ源泉徴収義務を負わないQIはチェックを入れる
  • Line 15d 旧様式 14e(ii)に相当。バックアップ源泉徴収の対象となる米国受取人の口座を所有し、FATCA要件に基づきIRSへ報告を行う場合にチェックを入れる
  • Line 15e 旧様式14e(iii)に相当。バックアップ源泉徴収の対象ではない米国受取人の口座を下流金融機関が所有し、FATCA要件に基づき下流金融機関がIRSへ報告を行う旨の宣誓を入手している場合にチェックを入れる
  • Line 16aおよび16b 改訂版様式より、新たに追加された。QDDの役割を果たすQIはLine 16aにチェックを入れる。QDDがQDDの役割を果たすための要件を満たし、かつ潜在的な871条(m)取引に関して行う支払に対する第3章、第4章および第61章、ならびに3406条に基づく第一義的源泉徴収および報告義務を負う旨の宣誓を行う。
    また、Line 16bにおいて、QDDの事業体分類(法人・パートナシップ・みなし事業体)から該当するものを選択する

(2) 様式パートX スポンサー付FFI

Line 23aからスポンサー事業体のGIIN記載欄が削除された。

(3) 様式パートXIX 報告免除IGA FFI

Line 32から受託者開示信託の受託者またはスポンサーのGIIN記載欄が削除され、受託者が米国(法)人か米国以外の外国(法)人かを選択する項目が設けられた。

5. 改訂版様式W-8BEN-Eの各項目の変更点

前述の主な変更点を踏まえ、改訂版様式W-8BEN-Eにおいては各項目が変更されているが、ここでは、日本の金融機関において特に重要となる改訂部分を記載する。

(1) 様式パートIV スポンサー付FFI

Line 16からスポンサー事業体のGIIN記載欄が削除された。

(2) 様式パートXII 報告免除IGA FFI

Line 26から受託者またはスポンサーのGIIN記載欄が削除され、受託者が米国(法)人か米国以外の外国(法)人かを選択する項目が設けられた。

おわりに

最終受益者として米国投資を行い、配当・利子・ロイヤルティー等の米国源泉所得を受け取る事業体は、租税条約に基づき軽減税率の適用を受けることが適格である事業体であることを源泉徴収義務者へ通知するために、様式W-8BEN-Eを提出する必要がある。また、自らのFATCAステータスを開示する目的のため、様式W-8BEN-Eの提出が求められる場合がある。他の者のために仲介人としての役割を果たす金融機関はW-8IMYを提出する必要がある。新規の提出、有効期限の到来、または記載内容に変更があった場合等、今後改訂版様式で提出を行う際には、必ずインストラクションを確認した上での適切な記載が必要となるので留意されたい。

PDF

こちらから記事の全文がダウンロードできます。

(197KB, PDF)

関連するサービス

 

お役に立ちましたか?