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ケイマン政府、CRS規則改正に伴い最新情報(AEOI News and Update)とAEOI Poartal V.3.1 User Guideを公表

国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報

1月18日付ニュースレターにより既報のとおり2016年12月22日、ケイマン諸島政府は共通報告基準(Common Reporting Standard:CRS)規則の改正を公表した。(国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報/2017年6月13日)

はじめに

1月18日付ニュースレターにより既報のとおり2016年12月22日、ケイマン諸島政府は共通報告基準(Common Reporting Standard:以下「CRS」)規則の改正を公表した。この改正を受け、2017年5月16日、最新情報(AEOI News & Update(ケイマン諸島ウェブサイト(英語、PDF))およびAEOIポータル V3.1 User Guide(ケイマン諸島ウェブサイト(英語、PDF))が公表されている。

日本の金融機関も、ケイマンに特定目的ビークル(Special Purpose Vehicle:以下「SPV」)を設立しているケースは多いようだが、その場合には、US FATCA UK‐CDOT(United Kingdoms, Crown Dependencies and Overseas Territories)に加えて、CRS対応が必要となる。ここでは、CRS対応の主なポイントを記載する。

1. 通知義務(Notification Obligations)

CRSの規定でケイマン金融機関(Cayman Financial Institutions:以下「CFI」)に該当する場合には、2017年6月30日の期限までに、税務情報庁(Tax Information Authority:以下「TIA」)に対し、自動的情報交換制度(Automatic Exchange of Information:以下「AEOI」)ポータルを通じて通知書を提出しなければならない。

既に、US FATCA/UK‐CDOTの目的に基づく通知済みの場合も、自身がCRFIと非報告金融機関(Non-Reporting Financial Institution:以下「NRFI」)のいずれに該当するのかを確定するため、当該通知書の更新を行わなければならない。

なお、FATCAでは、スポンサー制度があり、スポンサー事業体(Sponsoring Entity)が、スポンサー付投資事業体(Sponsored Investment Entities)となるSPVの為に、通知を行うことが認められていたが、CRSでは、同様の制度が無いことから、個別のSPVにおいて通知が必要となる。

通知に当たっては、主要連絡担当者(Principal Point of Contact:以下「PpoC」)およびPpoCに関し変更通知を行う権限を付与された者(Authorizing Person:以下「権限者」)の2名の登録が必要。また、登録にあたり、当該SPVのDirector等に該当する者が署名するAuthorizing Letterの提出も必要となる。

通知方法の詳細については、AEOIポータル V.3.1 User GuideのModule IIに明記されているが、過去にUS FATCA, UK-CDOT目的で当該SPCとして通知を行っていない場合には、Section 1に進み、過去に通知を行っている場合には、AEOIポータル でのアカウントがあるので、そのアカウントを使い、Section 2に進み、規定の手順に従って通知を行う。

なお、FATCA、UK-CDOTにおいていずれもスポンサー事業体が登録を行っている場合には、当該SPV自体のAEOIポータルのアカウントはなく、Section 1に進むが、FATCA、UK-CDOTのいずれかで、個別の通知を行っている場合には、Section 2に進む。

権限者については、今回新たに導入されていることから、各SPVでは、新たに登録が必要となる。

また、PpoCを変更する場合には、AEOIポータルでの変更手続は認められておらず、Section 3の指示に従い、電子メールで連絡することが求められている。

2. 報告義務(Reporting Obligations)

FATCA/UK-CDOTにおいては、報告対象がない場合には、ゼロ報告は義務付けられていない。一方、CRSでは、CRFIは、報告対象口座が存在しない場合でも、ゼロ報告を行う義務が課せられている。CRSに基づく、初回報告は、2017年7月31日が期限として定められている。ただし、現時点では、報告の機能は実装されておらず、間もなく、実装される見込みである。また、具体的な手続についても未公表で、今後、AEOI Porta User Guideが更新され、Module Vに追記される。

3. CRS Compliance Program

FATCAについては、ケイマンはモデル1協定国であり、国内法においてもコンプライアンスプログラムの構築は、法令上は求められていないが、CRS規則では、CRFIは、CRS規則に基づく義務を遵守するための方針および手続を定めた文書を制定し、これを保持しなければならないと規定されている。したがって、ケイマンのSPVについても、書面でのコンプライアンスプログラムが必要となる。CRSに関するこれらの規則は既に施行されていることから、早期の対応が必要となるので留意されたい。

4. UK-CDOTの経過措置(UK-CDOT Transition)

AEOIポータルでは、UK-CDOTの新たな通知を受け付けておらず、2017年以降、CRFIはUKの報告対象口座をCRS規則に基づいて報告することとなる。今後、UK-CDOTの報告対象者は、CRSにおいて報告されることが予定されている。

おわりに

ケイマンにCRS規則に遵守しない場合には、罰則金の規定も定められていることから、仮にケイマンのSPVが実体のないペーパーカンパニーである場合も、または、活動をほとんど行っていない場合にも、法令を確認した上で、適切な対応が必要となるので留意されたい。

なお、デロイト トーマツでは、AEOI Portal V3.1 User Guideの和訳、Authorization Letter、CRS Compliance Programのサンプルを用意し、契約を締結している金融機関のサポートを行っている。

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