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FATCAにおける検証・宣誓についての規則案の重要点

米国税務 QI/FATCA関連情報/2017年1月16日

2016年12月30日、米国財務省と米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)は、更新FFI契約、最終QI(Qualified Intermediary:適格仲介人)契約およびFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)、QIに関する諸規則の修正を公表した。(米国税務 QI/FATCA関連情報/2017年1月16日)

はじめに

2016年12月30日、米国財務省と米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は、更新FFI1契約、最終QI(Qualified Intermediary:適格仲介人)契約およびFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)、QIに関する諸規則の修正を公表した。本ニュースレターでは、Chapter 42検証と宣誓規則案(Proposed Chapter 4 Verification and Certification Regulations)REG-103477-14(IRSウェブサイト(英語、PDF))について速報ベースでまとめている。

REG-103477-14はあくまで規則案であるが、FATCAにおけるスポンサー事業体、受託者開示信託、スポンサー付直接報告NFFE、参加FFI、コンプライアンスFI(連結コンプライアンスプログラムにおけるリードFI)、および登録みなし遵守FFIの検証と宣誓手続が含まれている。本規則案はパブリックコメントの対象となっており、規則案に対するコメントおよび公聴会開催の要請がある場合には、2017年4月10日までに書面または電子による提出が可能となっている。本ニュースレターでは、受託者開示信託の受託者やスポンサー付直接報告NFFEについては、日本の金融機関ではあまり該当しないため割愛している。なお、デロイト トーマツでは、引き続き詳細の分析と、翻訳の作成を実施している。

1. FFI(Foreign Financial Institution:外国金融機関): FATCAにおいて規定されている米国外の金融機関
2. Chapter 4: 内国歳入法の第4章(Chapter 4)では、FATCAに関するルールが規定されている

1. スポンサー事業体の検証および宣誓手続

スポンサー事業体について、検証および宣誓手続に関する規定の追加案が公表された。主な内容は以下のとおり。

(1) FATCAコンプライアンスプログラム

スポンサー事業体はスポンサー事業体としての要件を満たすため(スポンサー付FFIのみなし遵守ステータスを維持するため)のコンプライアンスプログラムを策定しなければならない。コンプライアンスプログラムの主な内容は以下のとおり(財務省規則案§1.1471-5(j)(2)):

  • 財務省規則§1.1471-5(f)(1)(i)(F)、(f)(2)(iii)、またはモデル2協定に規定されている各スポンサー付FFIの要件の遵守をスポンサー事業体が行うことを、各スポンサー付FFIについてスポンサー事業体の契約要件遵守を監督するFATCA責任者を任命する(スポンサー付FFI自身の責任者の任命は不要)
  • FATCA責任者は、スポンサー事業体の要件を満たすために十分な方針、手続、および業務プロセスを含むコンプライアンスプログラムを構築する
  • FATCA責任者は、スポンサー事業体のコンプライアンスプログラムが十分であるか、各スポンサー付FFIにおいてスポンサーシップ契約の要件を遵守しているか、各スポンサー付FFIに対する本人確認・源泉徴収・報告についての契約要件を宣誓対象期間中遵守しているかについて、定期的レビューを実施する
  • FATCA責任者は、定期的レビューの結果を考慮し、コンプライアンスについて定期的に宣誓を行う
(2) コンプライアンスについての宣誓と期限

スポンサー事業体は、自らのスポンサー事業体としての要件に加え、各スポンサー付FFIの要件を満たしていること、また当該要件を満たすための内部統制の有効性について定期的に宣誓しなければならない。宣誓期限は各宣誓対象期間の翌年7月1日。スポンサー事業体とスポンサー付FFIのそれぞれについての宣誓は不要となり、スポンサー事業体が一括して宣誓する(財務省規則案§1.1471-5(j)(3)(i))。

宣誓対象期間の最終日から6カ月前までの間に初めてスポンサーシップ契約を締結しスポンサー付FFIとなった場合には、スポンサー事業体が次回宣誓対象期間の宣誓において最初の期間についても宣誓をすることを条件に、当該スポンサー付FFIに関しての初回宣誓は免除される。ただし、スポンサー付FFIになる直前まで当該FFIが参加FFI、登録みなし遵守FFI、またはスポンサー付閉鎖投資ビークルであった場合には、上記免除規定は適用されない。当該FFIがスポンサー付FFIになる以前の宣誓対象期間については、スポンサー事業体が当該FFIより当該期間においてFFI契約を遵守していた旨の宣誓書を取得することによって、スポンサー事業体による宣誓が可能となる(財務省規則案§1.1471-5(j)(3)(ii))。

(3) 宣誓対象期間

初回宣誓対象期間はスポンサー事業体がスポンサー事業体としてのGIIN(Global Intermediary Identification Number:グローバル仲介人識別番号)が発行された日、または2014年6月30日のいずれか遅い日から3暦年目の末日までとなる。したがって、2014年6月30日までにGIINの発行を受けている場合には、2014年6月30日から2017年12月31日までが、最初の宣誓対象期間となる。以後3暦年ごとが宣誓対象期間となる(財務省規則案§1.1471-5(j)(3)(iii))。

(4) 追加的宣誓または事実情報の提供

コンプライアンスの宣誓については、今後、スポンサー事業体のコンプライアンスに関する追加的な宣誓または事実情報の提出を必要とする修正が行われる可能性があることが明記されている3(財務省規則案§1.1471-5(j)(3)(iv))。

3. 別途公表された適格仲介人(Qualified Intermediary)契約では、コンプライアンスに関する宣誓の際に、事実情報の提出を求めていることから同様の情報の提出が必須となる可能性がある。

(5) スポンサー事業体、スポンサー付FFIの要件についての宣誓

FATCA責任者は以下の宣誓が求められる。(財務省規則案§1.1471-5(j)(3)(v))

  • スポンサー事業体は、それ自体のFATCAステータスの要件に加え、財務省規則§1.1471-5(f)(1)(i)(F)(3)、(f)(2)(iii)(D)、またはモデル2協定に規定されているスポンサー事業体としてのすべての要件を満たしている
  • 財務省規則§1.1471-5(f)(1)(i)(F)、(f)(2)(iii)、またはモデル2協定に規定されている、スポンサー付FFIの要件を満たすため、スポンサー事業体に権限を与えることについて、スポンサー事業体と各スポンサー付FFIとの間で合意するスポンサーシップ契約を締結している
  • スポンサー事業体により、スポンサー付FFIとして取り扱われる、スポンサー付投資事業体、スポンサー付被支配外国法人、スポンサー付閉鎖投資ビークルが、それぞれのステータスに応じた要件を満たしている
(6) IRSによるコンプライアンスレビュー

IRSは、スポンサー事業体が、IRSへ提出したFATCA報告等の申告書についての追加情報、スポンサー付FFIについての記録、各FFIの報告要件等についてスポンサー事業体に対して照会を行うことができる。また、IRSは、スポンサー事業体およびスポンサー付FFIがコンプライアンスの要件を満たしているかを判断するために、スポンサー事業体にスポンサーシップ契約、コンプライアンスプログラム、その他の追加情報の提出を要請することができる(財務省規則案§1.1471-5(j)(4))。

(7) 既存口座の宣誓

スポンサー事業体のFATCA責任者は、宣誓対象期間中にスポンサーシップ契約に同意したスポンサー付FFIの既存口座について宣誓を行わなければならない。ただし、スポンサーシップ契約に同意する直前までFFIが参加FFI、スポンサー付FFI、登録みなし遵守FFI(地方FFIまたは制限ファンド)であり、かつ当該FFI(もしくは当該FFIのスポンサー事業体)による既存口座の宣誓を行った旨の宣誓書を入手した場合には、既存口座の宣誓は免除される。また、スポンサー付FFIが宣誓対象期間の最終日以前の2年間においてスポンサーシップ契約に同意し、次回宣誓対象期間において当該スポンサー付FFIの既存口座の宣誓をスポンサー事業体が行う場合には、既存口座の宣誓は免除される。

既存口座の宣誓は、IRSが規定した様式または方法により、スポンサー事業体によるコンプライアンスについての定期的宣誓の期日までに行わなければならない(財務省規則案§1.1471-5(j)(5))。

(8) スポンサー事業体の契約不履行(Event of Default)

スポンサー事業体の契約不履行とは本人確認・源泉徴収・報告についての要件を満たさない場合やコンプライアンスプログラムの策定および保持や定期的レビューの実施をしなかった場合等に起こり、結果的にスポンサー事業体またスポンサー付FFIのみなし遵守としてのステータスの否認につながる可能性がある。

契約不履行の通知を受領した場合には、通知の日から45日以内に対応が必要となる。期限までに通知への返信が行われない場合や、行われたとしても、契約不履行が解消されず、IRSからステータスを否認された場合には、支払を受け取っている各源泉徴収義務者および源泉徴収証明書または他の本人確認書類が提出されている口座を所有する各金融機関に対して、否認日から30日以内に通知を送付しなければならない。契約不履行および否認の判断に対する再考の要請は当該通知から90日以内に行わなければならない。

スポンサー事業体のステータスが否認された場合、当該事業体はIRSの書面による承認がない限りスポンサー事業体として再登録することはできないが、当該事業体のスポンサー付FFIに関しては報告FFI、登録みなし遵守FFI、また新たなスポンサー事業体のスポンサー付FFIとして再登録することができる。ただし、スポンサー事業体とは関係なくスポンサー付FFI自身のステータスが否認された場合には、IRSの書面による承認を得た場合のみ再登録することができる。

なお、ある特定のスポンサー付FFIによる契約不履行は他のスポンサー付FFIまたはスポンサー事業体のステータスに影響を与えることはない(財務省規則案§1.1471-5(k))。

2. 参加FFIおよびコンプライアンスFIの検証および宣誓手続

参加FFIおよび連結コンプライアンスプログラムのコンプライアンスFIの検証および宣誓手続について、以下の規定が追加、改訂された。

(1) 契約不履行および否認通知

スポンサー事業体における契約不履行および否認通知の手続および期限に合わせ、参加FFIにおける当該手続および期限が改訂された。契約不履行の通知を受領した場合には、通知の日から45日以内に対応が必要となる。期限までに通知への返信が行われない場合や、行われたとしても、契約不履行が解消されず、IRSからステータスを否認された場合には、支払を受け取っている源泉徴収義務者や、源泉徴収証明書または他の本人確認書類の提出先である各金融機関に対して、否認日から30日以内に通知を送付しなければならない。契約不履行および否認の判断に対する再考の要請は当該通知から90日以内に行わなければならない。

参加FFIのステータスが否認された場合には、IRSの書面による承認がない限り、参加FFIまたは登録みなし遵守FFIとして再登録することはできない(財務省規則案§1.1471-4(g)(2))。

(2) 連結コンプライアンスプログラムにおける定期的宣誓

連結コンプライアンスプログラムを選択しているFFIは当該プログラムの一環としてコンプライアンスについての定期的レビューを受けなければならない。また、IRSが規定した様式または方法により、コンプライアンスFIの責任者は定期的宣誓を行わなければならない。

宣誓対象期間の最終日から6カ月前までの間に初めて連結コンプライアンスプログラムへの参加を選択したFFIについては、コンプライアンスFIが次回宣誓対象期間の宣誓において最初の期間についても宣誓をすることを条件に、当該FFIに関しての初回宣誓は免除となる。ただし、連結コンプライアンスプログラムへの参加を選択する直前まで当該FFIが参加FFI、登録みなし遵守FFIであった場合には、上記免除規定は適用されない。当該FFIが連結コンプライアンスプログラムに参加を選択する以前の宣誓対象期間については、コンプライアンスFIが当該FFIよりFFI契約を遵守していた旨の宣誓書を取得することによって、コンプライアンスFIによる宣誓が可能となる(財務省規則案§1.1471-4(f)(2)(ii)(B)(1))。

(3) 宣誓対象期間

連結コンプライアンスグループの初回宣誓対象期間はコンプライアンスFIがGIINを発行された日、または2014年6月30日のいずれか遅い日から3暦年目の年末まとでとなる。したがって、2014年6月30日までにGIINの発行を受けている場合には、2014年6月30日から2017年12月31日までが、最初の宣誓対象期間となる。以後3暦年ごとが宣誓対象期間となる(財務省規則案§1.1471-4(f)(2)(ii)(B)(1))。

(4) 連結コンプライアンスプログラムにおける既存口座の宣誓

コンプライアンスFIの責任者は、宣誓対象期間中に連結コンプライアンスプログラムに参加を選択したFFIの既存口座について宣誓を行わなければならない。

ただし、連結コンプライアンスプログラムへの参加を選択する直前まで当該FFIが参加FFI、登録みなし遵守FFI(地方FFIまたは制限ファンド)であり、かつ当該FFIによる既存口座の宣誓を行った旨の宣誓書を受け取った場合には、既存口座の宣誓は不要となる。

また、FFIが宣誓対象期間の最終日以前の2年間において連結コンプライアンスプログラムに参加することを選択し、次回宣誓対象期間において当該FFIの既存口座の宣誓をコンプライアンスFIが行う場合には、既存口座の宣誓は不要となる。

既存口座の宣誓は、IRSが規定した様式または方法により、当該FFIの定期的宣誓の期日までに行わなければならない(財務省規則案§1.1471-4(f)(2)(ii)(B)(2))。

3. 登録みなし遵守FFIの検証および宣誓手続

登録みなし遵守FFIによる検証および宣誓については、これまで財務省規則では、明確に規定されていなかったが、本規則案では、登録みなし遵守FFIが当該みなし遵守ステータスの維持に必要とされる要件を遵守しているかについて、IRSは照会および追加資料の請求を行うことができるものとしている。IRSが要件不遵守と判断した場合には、当該ステータスを否認する可能性がある。この場合、当該登録みなし遵守FFIは、否認日から90日以内に書面により再考を要請することができる(財務省規則案§1.1471-5(f)(1)(iv))。

おわりに

ここで紹介した規則案については、最終的なものではなく、コメント等が提出された場合には、変更の可能性が残されている。特にスポンサー付FFIに関して、コンプライアンスプログラムの構築がなされていない場合や、スポンサーシップ契約が締結されていない場合には、対応が必要となる。なお、スポンサー付FFIのステータスが万が一、否認された場合には、当該FFIは不参加FFIとなり、もし米国投資を行っていた場合には、30%の源泉徴収の対象となるため、留意されたい。

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