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2015年FATCA報告様式8966インストラクション(最終版)の公表

米国税務 FATCA関連情報/2016年1月18日

外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act:FATCA)施行から既に1年半が経過し、2015年FATCA報告の当初期限が2016年3月31日に迫る中、2015年FATCA報告様式8966のインストラクション(最終版)、電子報告免除申請書(様式8508-I)、および、紙ベースによる報告に使用されるカバーシート(様式8966-C)の3点が相次いで公表された。(米国税務 QI/FATCA関連情報/2016年1月18日)

はじめに

外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act:以下「FATCA」)施行から既に1年半が経過し、2015年FATCA報告の当初期限が2016年3月31日に迫る中、2015年FATCA報告様式8966のインストラクション(最終版)、電子報告免除申請書(様式8508-I)、および、紙ベースによる報告に使用されるカバーシート(様式8966-C)の3点が相次いで公表された。

本ニュースレターでは、2015年FATCA報告様式8966について2014年FATCA報告時からの変更点、および、電子報告によるFATCA報告の免除申請について解説する。

1. 2015年FATCA報告様式8966:2014年FATCA報告様式8966からの変更点

2015年FATCA報告様式8966について、2014年FATCA報告様式8966からの主な変更点は下表のとおり。ただし、電子報告におけるXMLスキーマに下表に関連する変更はなく、電子報告を行う限りにおいて、下記変更点の検討の必要はない(2015年FATCA報告においてXMLスキーマに適用されるルールについては次ページ)。一方、第3回となる2016年FATCA報告からはXMLスキーマに変更が加えられるとされており、2016年FATCA報告までに下記変更が反映されたXMLスキーマが公表されるものと考えている。

 

2014年FATCA報告様式8966からの変更点

様式最上部

ゼロ申告のためのチェックボックスの追加

  • 報告対象口座がない旨の報告(ゼロ報告)を行う場合にはチェックをする

パート1

報告者の情報

Line 1b  に「報告者カテゴリー」欄の追加

  • インストラクションに記載された報告者のカテゴリーを2桁の数字で記載する

例:Reporting Model 2FFI 「04」, 登録みなし遵守FFIの場合「02」

パート2

口座保有者・受取人の情報

Line 1b  に口座保有者が個人か事業体かを問うチェックボックスの追加

  • 個人または事業体のいずれかにチェックをする

パート3

口座残高・支払額等の情報

Line 3b に閉鎖口座チェックボックスの追加

  • 報告口座が暦年中に閉鎖された口座の場合にはチェックをする

※ 上記のほか、初回の2014年FATCA報告では報告不要であった、報告対象口座への利子・配当・その他支払の情報について、第2回の2015年FATCA報告ではパート3のLine 4a, 4b, 4d にて報告を行うことが求められる。

なお、上記2015年FATCA報告様式8966に加えられた変更とは別に、2015年FATCA報告電子報告におけるXMLスキーマに適用されるルールは下表の2点。

 

2015年FATCA報告XMLスキーマに適用されるルール

DocRefID設定ルールの追加

DocRefIDの先頭に報告機関のGIIN(Global Intermediary Identification Number:グローバル仲介人識別番号)を入力することとなった

  • 新たなDocRedIDのフォーマットは以下のとお通り
    【報告機関のGIIN】【.(ドット)】【報告データ毎ごとに特有のもので21桁以上200桁以下の値】

TIN(Taxpayer Identification Number:米国納税者番号)不要の米国人口座の報告

米国人支配者を有する投資NFFE(Non-Financial Foreign Entity:その他の外国事業体)の口座で、当該投資NFFEがTINを保有しない場合、TINの代わりに9桁のゼロを入力

  • これによりTIN不在のエラーを防ぐ

 

2. 電子報告免除申請について(様式8508-I)

FATCA規則上、外国金融機関(Foreign Financial Institution:以下「FFI」)に該当する場合には、原則、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)が指定する国際間データ交換サービス(International Data Exchange Service:以下「IDES」)を通じた電子報告を行うことが求められている。しかし、電子報告を行うことが困難である等の一定の要件を満たす場合、電子報告の免除を申請する様式(様式8508-I)の提出を行い、この申請がIRSによって承認されると、紙ベース(様式8966)による報告が可能となる。

様式8508-Iにて免除申請を実施する場合、本来の様式8966の提出期限から45日以前までに様式8508-Iおよび、免除対象となる理由に関する必要添付書類を併せてIRS所定の住所へ送付することが求められる。提出された電子報告の免除申請は自動承認ではなく、IRSによって精査され、電子報告免除の可否についてIRSからその結果通知を受け取ることとなる。

なお、具体的な免除対象となる理由は以下のとおりであり、特に電子報告の過度の困難さを理由とする申請においては、その困難さを証明するための下記5種類の説明書類を添付しなければならず、簡単に免除が申請、承認されるわけではないので留意されたい。

電子報告免除の理由と添付が求められる書類

◆ 電子報告が過度に困難(Undue hardship)である:下記のすべての書類を添付すること

  • Ÿ   求められる電子報告の期限内実施に向けた要件を満たすため為に講じた措置、および、その措置が達成されなかった理由の詳細を説明する文書
  • Ÿ  電子報告実施のために発生する追加費用の見積もり
    (ソフトウエアの購入やアップデート、また、現状のシステムに対しプログラミングを行うこと、または、電子報告のためのファイルを作成することについて各サービスプロバイダーから請求を受ける費用のみを反映した総額を示すこと。過年度に発生した費用は認められない。)
  • Ÿ   上記見積もり費用の計算を裏付けるものとして、紙ベースによる報告において見積もられる費用、および、電子報
    告において見積もられる費用の詳細
  • Ÿ   適切な財務諸表にて表示される、当該事業体の課税年度末時点における総資産額
  • Ÿ   将来のFATCA報告において電子報告の実施能力を確保するために講じる措置

◆ 米国連邦倒産法第7章における倒産:下記書類を添付すること

  • Ÿ   破産申請書の写し、および、当該破産が様式8966の電子報告を困難にする旨の説明書面

◆ 大惨事(Catastrophoic event, 例:自然災害):下記書類を添付すること

  • Ÿ   当該大惨事の内容、大惨事の発生日、および、大惨事が当該事業体の電子報告の実施能力に与える影響、のすべてを含む説明書面

自身のFATCA報告の電子報告免除のほかに、スポンサー事業体としてのスポンサー付事業体の電子報告の免除を申請する場合、それぞれに対する免除申請の提出が必要となる。

なお、免除申請の承認なしに紙ベースによる報告を行った場合、内国歳入法6721条から6724条に規定される罰則が課せられる可能性があることが明記されており、十分に留意されたい。

3. 紙ベースによる様式8966のカバーシートについて(様式8966-C)

電子報告の免除様式と同時に、紙ベース報告を実施する際のカバーシートとして、様式8966-Cが公表された。これは、紙ベースで様式8966をIRSに報告する際、様式8966の送達状として併せて送付を行うもので、様式8966の提出の種別ごと(当初報告、修正報告、訂正報告、報告取消し)に添付することが求められる。

当該様式8966-Cでは様式8966と同様の報告金融機関の名称、GIIN、住所に加え、上記様式8966の提出種別、および、添付される様式8966の枚数を記載することとなる。

4. おわりに

電子報告免除申請と紙ベースによる報告のカバーシートが公表されたものの、日本の報告金融機関においてはこれを利用できるケースは限定的であると想定され、FATCAの電子報告実施のための準備が必要となる。なお、昨年後半より、FFIの代理となる「第三者報告者(Third Party Prepares)」による報告が可能となっている。デロイト トーマツ税理士法人では、これに必要となる第三者報告者としてのFATCA Identification Number(FIN)を取得し、初回の2014年FATCA報告において、報告の代行を含む全面的サポートを実施。100社を超える日本国内金融機関にFATCA報告支援サービスを提供した。2015年FATCA報告においては、2014年FATCA報告のノウハウを踏襲しつつ、新たに設けられた第三者報告者(Third Party Prepares)としての機能を活用することで日本国内金融機関の作業負担を軽減したサポートの提供を予定している。

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