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FATCA定期的宣誓に係る追加情報及びFATCA、QI最新情報

国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報

本ニュースレターでは、2018年6月7日、8日にニューヨークにて開催された国際税務に関するカンファレンスにて、IRSの担当官が提供したFATCA、CRS、QI制度についての最新情報で特に注目すべきポイントについて説明する。(国際税務QI/FATCA/CRS関連情報/2018年6月22日)

2018年6月7日、8日、源泉徴収や情報報告といった国際税務に関するカンファレンス「International Tax Withholding and Information Reporting Conference」が米国ニューヨークにて開催された。当カンファレンスには、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)の担当官が参加し、FATCA、CRS、QI制度についての最新情報を提供している。ここでは、特に注目すべきポイントについて記す。

1. FATCA定期的宣誓に係る追加情報

(1) FATCAポータルサイトの宣誓機能の実装と正式な宣誓期限の通知予定時期

2018年3月16日、FATCAに係る宣誓期限の延長が公表された。FATCAに係る宣誓の期限は、当初2018年7月1日とされていたが、FATCAポータルサイトにおいて宣誓に関する機能が実装され、宣誓が可能となるのは、2018年7月1日以降となり、実装から宣誓まで少なくとも3カ月の猶予期間が設けられることが示された。

今回、FATCAポータルサイトにおける宣誓機能の実装が2018年7月下旬もしくは8月上旬となる見込みであることが示された。また、FATCAポータルサイト実装後約1週間から2週間後に正式な宣誓期限を通知する予定しているとのこと。これに関連して、FATCAポータルサイトのユーザーガイドが更新される予定であるという。

(2) FATCA宣誓案の内容

既に公表されているFATCA宣誓案(Draft FATCA Certification)(IRSウェブサイト(英語))の内容に関して、現在のところ大きな変更は予定していないとのこと。IRSでは今後FATCAポータルサイトにおける宣誓機能に関してFAQ公表を予定しているという。

(3) FATCAの宣誓が不要である場合の対応

全ての外国金融機関(Foreign Financial Institution:以下「FFI」)に宣誓が義務付けられているわけではなく、モデル1協定参加国の、報告モデル1 FFIを含め宣誓が不要であるFFIもあるが、その場合も、FATCAポータルサイトにおいて、FATCAステータスを選択する設問には回答することが求められる模様。FATCAステータスに関する設問に回答し、宣誓が必要のないステータスを選択することにより、システム上、宣誓が不要となる事が認識される。なお、設問に回答するためには、自身がどのFATCAステータスに該当するかを認識している必要があり、当該FATCAステータスとは、新たに公表された様式8957の改定案のPart 1、 Line 4規定されている以下の13のステータスを指している。各FATCAステータスの分類に関しては、今後IRSにおいてFAQによるガイダンスの公表を予定しているとのこと。

① Direct Reporting NFFE1
② Participating FFI, including a Reporting Financial Institution under a Model 2 IGA2
③ Registered Deemed-Compliance FFI that is a Local FFI3
④ Registered Deemed-Compliance FFI that is a Non-reporting Member of PFFI Group4
⑤ Registered Deemed-Compliance FFI that is a Qualified Collective Investment Vehicle5
⑥ Registered Deemed-Compliance FFI that is a Qualified Credit Card Issuer or Servicer6
⑦ Registered Deemed-Compliance FFI that is a Restricted Funds7
⑧ Reporting Financial Institution under a Model 1 IGA
⑨ Sponsoring Entity of Sponsored Direct Reporting NFFEs8
⑩ Sponsoring Entity of Sponsored FFIs9
⑪ Sponsoring Entity of Sponsored FFIs and Sponsored Direct Reporting NFFEs10
⑫ Trustee of a Trustee-Documented Trusts11
⑬ U.S. Financial Institution

(4) 重要な不履行(Material Failures)の是正

宣誓には、納税及び適切な申告書の提出により重要な不履行を是正したか否かについての質問が含まれる。是正が必要な場合は、宣誓の期日までに是正を行う必要があるので留意されたい。

1. 直接報告NFFE:財務省規則1.1472-1(c)(3)に規定され、支配者に米国人等がいた場合には、自身で報告を行うことや、FATCAポータルサイトで登録する等一定の要件をみなすNFFE。日本では稀。

2. 参加FFI(報告モデル2政府間協定国の報告金融機関を含む):FATCAに関する協定がない国のFFI及び日本、香港、スイス等のモデル2協定締結国のFFIが該当。日本の金融機関で最も一般的なFATCAステータス。

3. 登録みなし遵守FFI – ローカルFFI:財務省規則1.1471-5(f)(1)(i)(A)に規定される登録みなし遵守FFI。日米当局間声明のSmall Financial Institutions with Local Client Base(地域顧客基盤を有する小規模金融機関)として登録している日本の証券会社、地方銀行、信用金庫等も該当。

4. 登録みなし遵守FFI – 参加FFIグループの報告免除FFI:財務省規則1.1471-5(f)(1)(i)(B)に規定される登録みなし遵守FFI。日本では稀。

5. 登録みなし遵守FFI – 適格集合投資ビークル:財務省規則1.1471-5(f)(1)(i)(C)に規定される登録みなし遵守FFI。日米当局間声明のCollective Investment Vehicle(集団投資ビークル)として登録している日本の有限責任投資事業組合、SPC、証券投資信託は、該当する可能性はあるが、現時点では未確認。

6. 登録みなし遵守FFI – 適格クレジットカード発行者及びサービス会社:財務省規則1.1471-5(f)(1)(i)(E)に規定される登録みなし遵守FFI。プリペイド式クレジットカードを発行するカード会社等で、登録みなし遵守FFIとしてFATCAの登録を行っている場合には該当する可能性あり。日本では稀。

7. 登録みなし遵守FFI – 制限ファンド:財務省規則1.1471-5(f)(1)(i)(D)に規定される登録みなし遵守FFI。日本では稀。

8. スポンサー付直接報告NFFEのスポンサー事業体:FATCA上のNFFEに該当する資産管理会社等について、FATCA対応を行うことを合意し、スポンサー事業体として登録している場合に該当。日本では稀。
9. スポンサー付FFIのスポンサー事業体: FATCA上のFFIに該当するSPC、有限責任投資事業組合、証券投資信託等のファンド(スポンサー付投資事業体)について、FATCA対応を行うことを合意し、スポンサー事業体として登録している場合に該当。日本でも多数の金融機関がスポンサー付FFIのスポンサー事業体として登録している。

10. スポンサー付FFI及び直接報告NFFEのスポンサー事業体:FATCA上のFFIに該当するファンド及びNFFEに該当する資産管理会社等について、FATCA対応を行うことを合意し、スポンサー事業体として登録している場合に該当。

11. 受託者開示信託:FATCA上の登録を行う受託者が、信託との間でFATCA対応を行うことを合意している信託。日本では稀。

2. 今後公表予定のFATCA関連ガイダンス

(1) Chapter 4 検証と宣誓の最終規則

2016年12月30日、Chapter 4 検証と宣誓規則案(Proposed Chapter 4 Verification and Certification Regulations)REG-103477-14が公表された。

REG-103477-14はあくまで規則案であるが、FATCAにおけるスポンサー事業体、受託者開示信託、スポンサー付直接報告NFFE、参加FFI、コンプライアンスFI(連結コンプライアンスプログラムにおけるリードFI)、及び登録みなし遵守FFIの検証と宣誓手続が含まれている。IRS担当官は、当該規則案について、間もなく最終規則を公表する予定であると言及した。内容については、規則案から大幅な変更はないが、FATCA責任者の定義等、いくつかの変更があるとのこと。

(2) 売却・償還額に関するFATCA源泉徴収

2015年9月18日、FATCAに関するいくつかの緩和措置を含むIRS通知2015-66が公表された。緩和措置の一つとして、米国源泉の利子又は配当を生み出す資産の償還と売却、及び外国パススルーペイメントに対する源泉徴収に関する経過措置を2019年1月1日まで、2年間延長することが公表された。このうち、資産の償還と売却についての源泉徴収については、現在、ガイダンスの用意が進んでおり、今年の年末までには何らかの公表が行われることが言及された。ただし、その内容については、明かされておらず、また、パススルーペイメントについての源泉徴収についても、今回は一切言及はなかった。

売却・償還額の源泉徴収が、義務付けられた場合には、米国源泉所得を仲介するFFIは、新たなシステム対応が必要となる可能性もあり、早期にガイダンスの公表が期待される。

3. QI定期的宣誓に関する情報

QIの定期的宣誓に関しても追加情報が言及された。なお、QIの定期的宣誓期限の延長に関しては、前回3月1日付のニュースレターを参照されたい。

(1) QI定期的検証における過少源泉徴収の修正

QIの定期的検証において、過少源泉徴収が行われた口座がサンプルとして抽出された後に当該過少源泉徴収を修正している場合、QIである金融機関は当該過少源泉徴収修正を報告するための追加的書類を、QIの定期的宣誓のパート7においてアップロードすることが求められるとのこと。

(2) QI定期的検証免除とFATCAの宣誓

QIの定期的検証については、一定の要件を満たした場合、免除の申請が可能となる。その要件の一つとして、FATCAで義務付けられている宣誓を完了しているというものがあるが、FATCAの宣誓期限が延長されたことにより、QIは適切なFATCAステータスを維持している限り、QIの定期的検証免除の申請をFATCAの宣誓を完了させる前に行うことが可能との指針が示された。ただし、その場合も、FATCA宣誓は期限までに行うことが求められるとのこと。

おわりに

FATCA、QIの宣誓期限がいずれも延長されているが、宣誓には、十分なコンプライアンスプログラムの構築及び宣誓対象期間における検証を実施した上での宣誓が求められている。定期的検証の実施を含む宣誓準備には一定の時間を要することから、準備が遅れている場合には、手遅れにならないよう早急な対応が求められる。

デロイト トーマツ税理士法人では、宣誓案の和訳や、最終的な宣誓の書式の和訳、宣誓回答案やポータル上での宣誓作業手順書を用意することを予定しており、宣誓を行う金融機関に対し全面的サポートを行う。

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

 

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