ナレッジ

2017年度FATCA報告様式8966・インストラクション(案)およびFFI契約更新期限の延長を公表

国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報

本ニュースレターでは、米国内国歳入庁が公表した2017年度版FATCA報告様式8966・インストラクション(案)、FFI契約更新期限延長のうち、日本の金融機関において関連する可能性のある事項について概要を記載する。(国際税務QI/FATCA/CRS関連情報/2017年8月23日)

はじめに

米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は2017年7月21日に2017年度版FATCA報告様式8966(案)(IRSウェブサイト(英語、PDF))を、また、8月9日には同インストラクション(案)(IRSウェブサイト(英語、PDF))を公表した。2017年度版(案)では主に、2017年1月に公表されたFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)最終規則を踏まえた変更が行われている。

また、一般的なFATCAに関するFAQ(IRSウェブサイト(英語))に、FFI(Foreign Financial Institution:外国金融機関)契約更新期限の延長および更新手続きを行わなかった場合のFFIステータスに関するFAQが新たに追加された。

本ニュースレターでは、これらのうち、日本の金融機関において特に関連する可能性のある事項について概要を記載する。

1. 2017年度版様式8966・インストラクション(案)の重要な変更点

(1) 不参加FFIが所有する口座に関する報告

2015年・2016年様式8966において義務付けられていた、不参加FFIが所有する口座に関する報告が、2017年度より不要となることが明記された。これに伴い、様式8966パートIIの5の欄およびパートVの1の欄の不参加FFI(Non-participating FFI)にチェックを記入して提出することはなくなることとなった。

(2) 不同意米国人口座に関する報告モデル2FFIの報告

2017年度版様式8966のインストラクション(案)では、報告モデル2 FFIによる不同意米国人口座の報告が明確化された。
【既存口座を報告する場合】
米国(法)人である非協力的口座所有者(Recalcitrant account holders that are U.S. person)、または米国人示唆情報を有する非協力的口座所有者(Recalcitrant account holders with U.S. indicia)を報告の種類として選択し、報告しなければならない。

【新規個人口座を報告する場合】
口座開設後に元のFATCAステータスが正確性または信頼性に欠けることを、状況の変化により知り得る場合、かつ有効な自己宣誓を取得できない場合、米国人示唆情報を有する非協力的口座(Recalcitrant account holders with U.S. indicia)を報告の種類として選択し、報告しなければならない。

(3) 合併および買収による合算報告

合併または買収により、承継企業となる参加FFI(報告モデル2 FFIを含む)が他の参加FFI(報告モデル2 FFIを含む)である消滅企業の口座を取得した場合、承継企業は合併または買収が行われた暦年における消滅企業の様式8966報告義務を引き受けることができる。ただし、財務省規則§1.1471-4T(d)(2)(ii)(G)(1)から(4)の以下の要件を満たすことが条件とされる。

  • 承継者は、合併または口座の有償による一括買収において、被合併者が保有する実質的に全ての口座、または被合併者の支店において保有される実質的に全ての口座を取得しなければならない
  • 承継者は、§1.1471-4(d)(3)または(d)(5)で義務付けられる範囲内で、取得年度に関する被取得口座の様式8966上での報告に同意しなければならない
  • 承継者は、取得年度について米国人口座であるいずれの被取得口座に関しても、内国歳入法1471条(c)(2)および§1.1471-4(d)(5)に基づく報告を選択してはならない
  • 承継者は、様式8966が結合報告方式で提出される旨を、IRSが規定する様式上かつ方法でIRSに通知しなければならない

2. FFI契約更新期限の延長および更新手続きを行わなかった場合に関するFATCA FAQの追加

一般的なFATCAに関するFAQ(FATCA – FAQs General)のRegistration Updateに、FFI契約更新に関するFAQ、Q12が追加された。これにより、当初2017年7月31日であったFFI契約更新期限が、2017年10月24日までに延長されることとなった。当該期日までに手続きを行えば、2017年1月1日にさかのぼってFFI契約が締結され、2017年1月1日から有効となった最新のFFI契約を遵守する参加FFIとみなされる。2017年10月24日までに更新を行わなかった場合、FATCA登録ステータスが“不備あり(Incomplete)”となり、2017年1月1日より不参加FFIであったとみなされる。また、月次更新されている FFIリスト(IRSウェブサイト(英語))において、11月更新分より当該FFIは削除され、GIIN(Global Intermediary Identification Number:グローバル仲介人識別番号)も表示されなくなる。

おわりに

現時点で公表されている様式8966およびインストラクションはあくまで案であり、最終版の公表が待たれる。2017年度FATCA報告を行う際には、必ず最終版の様式およびインストラクションを確認した上での報告が必要となるので留意されたい。また、FFI契約更新期限が延長されたが、不参加FFIとみなされるとQIとしての取引にも影響が及ぶ可能性もあるため、手続きを完了していない金融機関においては早急な対応が求められる。

なお、デロイト トーマツ税理士法人では、FFI契約更新、FATCA報告や、様式およびインストラクションの和訳を適宜用意するなど、FATCA報告を行う金融機関に対し全面的サポートを行っている。特に、2018年7月1日が期限となるFATCAに関する宣誓については、事前に定期的検証の実施が求められていることから、日本の金融機関からも多数のお問い合わせをいただいている。

お役に立ちましたか?