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ケイマン政府、自動的情報交換制度についての通知義務、報告義務を含む最新情報を公表

国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報

2017年6月28日、ケイマン諸島政府は、自動的情報交換制度(Automatic Exchange of Information:AEOI)ポータルにおけるCRS報告機能の実装、AEOIポータルV3.2.1 User Guide(改訂版ユーザーガイド)、主要連絡担当者(Principal Point of Contact:PPoC)の変更申請、自己宣誓様式の改訂版、等を含む新たなAEOIに関する情報およびアップデートを公表した。(国際税務 QI/FATCA/CRS関連情報/2017年7月24日)

はじめに

2017年6月28日、ケイマン諸島政府は、自動的情報交換制度(Automatic Exchange of Information:以下「AEOI」)ポータルにおけるCRS報告機能の実装、AEOIポータルV3.2.1 User Guide(以下「改訂版ユーザーガイド」)、主要連絡担当者(Principal Point of Contact:以下「PPoC」)の変更申請、自己宣誓様式の改訂版、等を含む新たなAEOIに関する情報およびアップデート(AEOI News & Update(ケイマン諸島ウェブサイト(英語、PDF))を公表した。さらに、2017年7月19日、ケイマンAEOIポータルアップデート‐通知および報告期限(Cayman AEOI Portal Updates-Notification & Reporting Deadline(ケイマン諸島ウェブサイト(英語、PDF))を追加的に公表し、すべてのケイマン金融機関(Cayman Financial Institutions:以下「CFI」)は、報告義務が無くても通知が必要となることの確認と、CRS初回報告期限の延期を公表した。

ここでは、その概要とCFIの今後の主な対応ポイントを記載する。

1. 通知義務(Notification Obligations)

(1) 通知書提出期限の延期

2017年6月13日付ニュースレターにおいて、CRSの規定でCFIに該当する場合には、報告対象の口座の有無にかかわらず税務情報庁(Tax Information Authority:以下「TIA」)に対し、AEOIポータルを通じて通知書を2017年6月30日までに提出しなければならないと述べたが、この期限は2017年7月31日に延期されている。

通知の要否および通知方法の概要については、6月13日付ニュースレター(デロイト トーマツウェブサイト)にて記した内容から変更はない。詳細については、改訂版ユーザーガイドModule IIに記載されている。

(2) 主要連絡担当者の変更申請

CRSまたはFATCAにおいて、報告義務があるCFIで、PPoCが変更されている場合には、変更申請を2017年7月7日までに送付が必要と公表された。PPoCを変更する場合には、AEOIポータルでの変更手続は認められておらず、改訂版ユーザーガイドModule III Section 3の指示に従い、ケイマンAEOIポータルチーム(CaymanAEOIportal@gov.ky)宛に電子メールで申請することが求められている。期限を過ぎて送付されたPPoCの変更申請は、CRSに基づく初回報告の期限である2017年7月31日までに処理されない可能性があると注意喚起されている(7月19日の公表においてCRSの初回報告期限は2017年8月31日に延期されているが、PPoCの変更申請に関する期限については、言及されていない)。

なお、現時点で、既に変更申請の期限は過ぎているため、PPoCの変更を希望する金融機関は可能な限り早急に変更申請を行うか、あるいは、一時的な対応方法として、金融機関のCRSの報告義務を満たすために、現在のPPoCが変更後のPPoCを補助的ユーザー(Secondary User)として作成登録することも可能である。補助的ユーザーの作成登録は、改訂版ユーザーガイドSection 2.1の指示に従い、AEOIポータルにおいて行う。

2. 報告義務(Reporting Obligations)

US FATCA/UK-CDOTにおいては、報告対象がない場合には、ゼロ報告は義務付けられていない。一方、CRSにおいて、CFIは、限定的な一部の非報告金融機関(Non-Reporting financial Institution:「NRFI」)に該当し免除されない限り、ケイマン報告金融機関(Cayman Reporting Financial Institution:以下「CRFI」)として、報告対象口座が存在しない場合でも、ゼロ報告を行う義務が課せられている。CRSの初回報告期限は7月19日の公表により延期され、2017年8月31日となった。これは最終的な延期であり、今後追加の延期はないとのこと。また、今回、改定版ユーザーガイドModule Vにて報告についての詳細が公表された。主なポイントは以下のとおりである。

(1) CRS対象国別申告(Receiving Country Return)

報告対象口座が存在する場合、改訂版ユーザーガイドModule V Section 1.3に規定されているXML形式、またはSection 1.4に規定されているマニュアル入力形式のいずれかの方法で、国別に申告が必要となる。ただし、国別申告では、ゼロ報告はできず、報告対象がないCRFIは、後述のCRS宣誓申告においてゼロ報告を行う。報告対象があるCRFIは、最初に、CRS対象国別申告を行った後に、CRS宣誓申告を行う。

(2) CRS宣誓申告(Filing Declaration)

すべてのCRFIおよび受託者開示信託は、改訂版ユーザーガイドModule V Section 1.6に詳細が規定されているCRS宣誓申告様式(CRS Filing Declaration Form)を提出しなければならない。この様式では、CRS対象国別報告において実施した申告の内容の確認およびゼロ報告を行うとともに、それらの内容が正確であり、CFIの報告義務を満たしていることおよび不正確な情報をTIAに提供した場合には、罰則の対象となることについても認めた上で、宣誓するものである。

3. CRS報告対象国(Reportable Jurisdictions)

ケイマン諸島政府は臨時官報No.49/2017(ケイマン諸島ウェブサイト(英語、PDF))を発行し、CRSにおける報告対国・地域に新たにバルバドス、キュラソー、ニウエの3カ国が追加されたと発表した。これら3カ国に係る報告義務は2018年以降に提出される報告からの適用となる。

4. 個人/事業体自己宣誓様式(Entity and Individual Self-Certifications)

ケイマン政府は、従前より、個人・事業体の自己宣誓様式を公表していたが、その改訂版が公表された。今後、CFIが口座の本人確認を行う場合には、新様式にて行うことをお勧めする。

おわりに

6月13日付のニュースレターでもお伝えしたとおり、ケイマンにCRS規則に遵守しない場合には、罰則金の規定も定められていることから、仮にケイマンのSPVが実体のないペーパーカンパニーである場合も、または、活動をほとんど行っていない場合にも、法令を確認した上で、適切な対応が必要となるので留意されたい。特に、通知書の提出期限が2017年7月31日、CRSの報告期限も2017年8月31日と迫っていることから早期の対応が必要となる。

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