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QI契約更新期限の延長とCFD取引について

米国税務 QI/FATCA関連情報/2017年3月31日

2017年3月31日、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)は2017年QI契約の更新の期限を2017年5月31日まで延長すると発表した。(米国税務 QI/FATCA関連情報/2017年3月31日)

はじめに

2017年3月31日、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は2017年QI契約の更新の期限を2017年5月31日まで延長すると発表した。

QI契約を締結している多くの日本の金融機関は、既に更新手続を実施済みであると思われるが、QI契約更新に合わせて、2017年QI契約にて導入される適格デリバティブディーラー(Qualified Derivatives Dealer:以下「QDD」)の選択を検討している場合には、QDD選択要否の検討および申請の準備に時間的余裕が出来ることとなった。

特に米国株に関する差金決済(Contract For Difference:以下「CFD」)取引を取り扱っている場合には、Dividend Equivalent(以下「配当同等物」)に関する規則である内国歳入法871条(m)およびその関連規則(以下「871条(m)財務省規則」)における対応要否の確認と、QDDの選択要否の検討が早急に必要となる。この点については、複数の金融機関から照会があったため、概要を記載する。

1. QI契約更新期限の延長

IRSは、各QIが新システムであるアカウントマネジメントシステムに慣れる時間を確保するため、また適切にQI契約の更新に必要な情報すべて収集することができるよう、更新手続の期限を当初の2017年3月31日から2カ月延長し2017年5月31日とすることを公表した。2017年5月31日までにIRSウェブサイトにて更新手続を行ったQIは2017年1月1日にさかのぼってQI契約が有効となる。合わせて2017年1月1日から有効となるQDD資格取得申請を行うQIの申請期限も5月31日となる。

更新手続は下記サイトへのアクセスが必要となる。

QI/WP/WT Applocation and Account Management System(IRSウェブサイト(英語))

なお、当初の更新期限である3月31日までに契約更新手続を完了し、ステータスがSubmitted(更新申請中)となっている多数のQIにおいて、2週間を過ぎてもIRSより承認されないとの問い合わせをデロイト トーマツ税理士法人宛にクライアントより多数いただいている。現在IRSは各QIからの更新申請内容を確認中であり、更新内容に問題がある場合にはファックスや電子メールにて各QI宛に個別照会を行っていることから、IRSより連絡があるまで状況を見守る必要がある。

2. 米国株に関するCFDを取り扱う場合の留意点

CFD取引とは国内外の株価指数や指数先物、現物株式、コモディティといった金融商品を原資産とするデリバティブ取引を指す。原資産の値動きをそのまま反映し、現物決済ではなく差金決済により決済を行う仕組みとなっている。日本においても取扱証券会社は複数存在し、顧客との間での店頭取引が主流となっている。

(1) 内国歳入法871条(m)による影響

871条(m)財務省規則は、米国株式を原資産とする一定の条件を満たすデリバティブ取引に関する支払については、配当同等物として、米国源泉徴収の対象となる米国源泉所得として取り扱われることとなる。CFD取引は原資産から生じた配当金分の金額を配当調整額として顧客に還元しているのが一般的である。米国との直接的な取引がなくとも、米国株式の指数および個別株式を参照する一般的にCFD取引は871条(m)財務省規則に記載されている株式関連商品(Equity-linked instrument)に該当し、これらCFD取引から生じる配当調整額、その他CFD取引から発生するすべての支払は米国源泉徴収の対象となり、該当取引を取り扱う金融機関は源泉徴収と納付を行う義務が生じる可能性がある。QDDおよび内国歳入法871条(m)制度そのものについての詳細は過去のニュースレターを参照されたい。

(2) QDDのメリット・デメリットについて

米国源泉とみなされるCFD取引を扱う金融機関は一般的にディーラーとして行う対顧客取引のポジションをヘッジする目的で海外ブローカーと現物株式の売買およびデリバティブ取引等のヘッジ取引を行っている。QDDを選択することにより、当該ヘッジ取引から発生する配当同等物の受取に関して、源泉税が免除されるというメリットを享受することができる。また、2017年中において、QDDを選択した場合にはディーラーとして受け取った配当、みなし配当および配当同等物について納税義務は生じない。しかし、QDDを選択することによりQIとしてだけではなく、QDDとして負わなければならない追加義務も発生する。例えば、QDDとしてのコンプライアンスプログラムの制定や、各取引がディーラーとして行われたのか自己勘定として行われたかの判定とその管理、QDD納税額の算定、納付および報告といった義務が存在する。

おわりに

米国株式に関するCFD取引であったとしても、過去のニュースレターにて紹介した適格指数等の例外も存在し、一概に米国での源泉徴収および納付義務が発生するとは言い切れないが、内国歳入法871条(m)の対象となる場合には、QDDにならない場合も、米国税法に基づき様式1042、1042Sで、配当同等物の支払についての報告や源泉徴収が必要となる。今回、QI契約更新およびQDD申請の期限が猶予されたが、CFD取引のみならず米国株式を参照するデリバティブ取引について取扱のある金融機関は、QDDの取得要否について早急な検討が必要となる。

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