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既存口座本人確認に関する宣誓期限の延長等を含むIRS通知2016-08を公表

米国税務 QI/FATCA関連情報/2016年2月3日

2016年1月19日、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)は外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act:FATCA)に関する緩和措置を含むIRS通知2016-08を公表した。(米国税務 QI/FATCA関連情報/2016年2月3日)

2016年1月19日、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act:以下「FATCA」)に関する以下の緩和措置を含むIRS通知2016-08を公表した。

(1) 参加外国金融機関(Participating Foreign Financial Institution:以下「参加FFI」)および報告モデル2 FFI(Reporting Model 2 FFI)における既存口座本人確認完了および租税回避幇助不在に関する宣誓期限の延長
(2) 登録みなし遵守FFI(Registered Deemed-Compliant FFI)の宣誓対象期間および期限の明確化
(3) 不参加FFI(Non-Participating FFI)の口座情報開示義務の緩和
(4) 電子的に提供されたIRS様式の正統性
IRS通知2016-08は下記のハイパーリンクから入手可能である。
IRS通知2016-08(IRSウェブサイト(英語、PDF))

1. 参加FFIおよび報告モデル2 FFIにおける既存口座本人確認完了および租税回避幇助不在に関する宣誓期限の延長

現行の制度では、参加FFIおよび報告モデル2 FFIは、既存口座の本人確認手続を完了したこと、および租税回避幇助が不在であることを、FFI契約開始日の2年後より60日以内に行うことが義務付けられている。報告モデル2FFIは、FFI契約自体は締結する必要がないが、日米当局間声明に基づき、FFI要件を満たすことが求めらているため、同様の対応が必要となる。2014年6月30日までにGIIN(Global Intermediary Identification Number:グローバル仲介人識別番号)を受領したFFIのFFI契約開始日は、2014年6月30日となることから、宣誓期限は、2016年8月29日とされていた。また、第1回コンプライアンスプログラム検証に関する宣誓期限は2018年7月1日とされている。

IRS通知2016-08では、FFIの事務負担軽減と宣誓期限統一の観点から、既存口座本人確認に関する宣誓期限を、第1回コンプライアンスプログラム検証に関する宣誓期限と同日である2018年7月1日とすると公表した。

なお、今回の措置はあくまで宣誓期限を繰り延べるものであり、既存口座本人確認の完了期限は、変更されていないことに留意されたい。

2. 登録みなし遵守FFIの宣誓対象期間および期限の明確化

IRS通知2016-08は、登録みなし遵守FFIの初回宣誓期限を、宣誓対象期間終了の翌年7月1日と明確化した。また、宣誓対象期間を、登録みなし遵守FFIとしてのFATCAポータルサイトでの登録完了日または2014年6月30日のいずれか遅い日から開始する、3年間とした。

これにより、2014年中に登録みなし遵守FFIとして登録を完了している場合には、初回宣誓期限は、2018年7月1日となる。なお、登録みなし遵守FFIの宣誓は、3年ごとに義務付けられている。

日本の金融機関の中でも、一部の地方銀行、証券会社、投資事業有限責任組合などで、日米当局間声明付属書IIに規定されている地域基盤を有する小規模金融機関(Small Financial Institutions with Local Client Base)または集団的投資ビークル(Collective Investment Vehicle)としてFATCA登録している金融機関は、登録みなし遵守FFIとしての要件を満たしていることを、上記の宣誓期限までに行うことが必要となるので、留意されたい。

3. 不参加FFIの口座情報開示義務の緩和

現行の制度では、2015年および2016年のFATCA報告に関し、参加FFI、報告モデル2 FFIまたは登録みなし遵守FFIにおいて維持されている不参加FFIの口座に関し、名称、住所、口座番号、口座残高、そして外国の報告対象となる金額(Foreign reportable amount:米国源泉であれば源泉徴収対象となる利子、配当等の定期定額所得のことで、資産の売却・償還額も含む)の報告義務が追加される予定であった。

米国人口座についての支払に関しては、2015年FATCA報告において、資産の売却・償還額は報告が免除されていることから、不参加FFIへの支払について、売却・償還額が報告の対象となるかは不明瞭であったが、IRS通知2016-08では、2015年度の年次報告に限り、資産の売却・償還額に関しては報告対象から除外となる緩和措置を公表した。
 

4. 電子的提供に提供されたIRS様式の正当性

FATCAおよび適格仲介人(Qualified Intermediary:以下「QI」)制度において、源泉徴収義務者は受益者より様式W-8やW-9を電子的に受領する場合には、一定の要件を満たすシステム構築または安全措置を構築している場合には、受領した様式を原本とみなすことができる。

しかし、QI制度における不適格仲介人(Nonqualified Intermediaries:以下「NQI」)や非源泉徴収外国パートナーシップ(Nonwithholding Foreign Partnership:以下「NWP」)、非源泉徴収外国信託(Nonwithholding Foreign Trust:以下「NWT」)を通して間接的に受領する電子本人確認様式については、現行の制度ではその電子様式の正当性については明示されていなかった。そのため、これまでの慣習では、受益者からNQI、NWP、NWTに対して電子的に本人確認書類の提出が行われた場合、その上流の源泉徴収者においては当該本人確認書類の正当性が確認できないとみなし、過大源泉徴収のリスクや再確認作業の非効率があった。

今回IRSは通知2016-08により、NQI、NWP、NWTを通して源泉徴収者に提供される受益者の電子本人確認書類の正当性を認めた。ただし、NQI、NWP、NWTが源泉徴収者の直接的、もしくは間接的な口座保有者であり、当該NQI、NWP、NWTが源泉徴収者に対し、本人確認書類の電子的受領に使用しているシステムがFATCAおよびQI制度の要件を満たし、本人確認書類に虚偽の記載が認められない旨の書面を提出した場合に限るとしている。

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