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米国連邦税務におけるビットコイン取引の課税方法と損益管理について

米国税務:2017年12月1日

本ニュースレターでは、デロイト ボストン事務所のJim Calvinの論文に基づいて記載されており、特にビットコインの特異な性格に関連して、その取引売却損益計算における米国連邦税務上の問題にフォーカスしている。(米国税務:2017年12月1日)

2014年に、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service:以下「IRS」)は仮想通貨に関するガイダンス1を公表し、一般的な税務ルールにつき見解を示した2。ガイダンスでは、ビットコインを米国連邦税務上の「貨幣」ではなく「資産」であると定義したが、どのような「資産」なのか、さらにビットコインの特異性に起因する税務簿価に関するユニークな税務問題には触れなかった。

このニュースレターでは、デロイト ボストン事務所のJim Calvinの論文3に基づいて記載されており、特にビットコインの特異な性格に関連して、その取引売却損益計算における米国連邦税務上の問題にフォーカスしている。なお、当該論文の和訳及び関連する米国税務上のアドバイスが必要な場合にはご連絡をいただきたい。

米国商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission:以下「CFTC」)は、ビットコインを「コモディティー」としており、米国連邦税務上で「コモディティー」と引用されるものは、「通常金融取引でコモディティーと呼ばれCFTCで取引されている金融商品」を指すとされている。連邦税務上、納税者が売却したコモディティーが特定できない場合、先入先出(以下「FIFO」)の適用を容認するというCFTCの規則を尊重している。ここで、実現売却益を最大にし、売却損実現を後回しにすべく報告する義務はないと考えられる。

一方、ブロック チェーンの支持を持つ「証券証書」のような特定性を持つビットコインは代替不可能であり、「コモディティー」の概念に適合しない。秘密鍵を持つ納税者がビットコインを譲渡すれば、納税者またはIRSは、何単位のビットコインが譲渡されたのかがわかる。ビットコインが特定性を持つことから証券売却の税務上のルールを適用するのであれば、現行では、納税者が売却証券の適当な特定を行わなかった場合はFIFO、納税者が特定の証券の売却を行ったと証明でき他に適切な方法がない場合は、特定した証券の簿価を採用することになっている。なお判例や規則では、証券取得者に実際に提供された証券が特定できなくても、適切な方法を採用して税務簿価算定をしている場合は、その計算方法を採用できるとしている。納税者が適切な計算法を採用していない場合は、納税者の意図や特定の証券の売却をブローカーや他の代理人に指示したかどうかにかかわらず、買手に届けられた証券証書に基づいて、売却損益が算定されることになる。

そうであっても、ビットコインの実際の所有者が秘密鍵をコントロールしないホスト ウォーレットでは、ビットコインの特定性が高くないので、証券売却のルールの適用は不適当と思われる。

2017年8月1日にビットコインのチェーンへのハード フォークによって生まれたビットコインは、「ビットコイン キャシュ」として、チェーンに分裂を引き起こした。ビットコインの保有者は、分裂によって同数のビットコイン キャッシュを手にしたが、ビットコイン キャッシュがビットコインのチェーンと永久に分裂したため、そのマインイング プールの支持はない。さらに、ビットコイン キャッシュをいくら消費しても、ビットコインに影響も与えない。そして、分裂日に、ビットコイン、ビットコイン キャシュともに店頭取引があった。このような取引の課税関係を明確に定めている現行の税務ルールはなく、結論するのは難しい。一つの考え方は、分裂によるビットコイン キャッシュの価値に相当する通常所得の認識で、そうならば、ビットコイン キャッシュの取得税務簿価は認識された通常所得となろう。あるいは分裂が資産分割であったならば、もともとのビットコインの税務簿価が、存続するビットコインとビットコイン キャッシュに按分されることになる。

これらの特異性から、ビットコインの売却や譲渡には、特殊な簿価特定方法が要求される。例えば、売却に際して、複数のUTXOs(Unspent Transaction Outputs:いわば、送金、消費、支払可能なビットコイン)では、税務簿価の適切な按分が必要となる。また、交換されたビットコインを納税者のコントロールのもとに保有する場合、税務上は他のビットコインと区別する必要がある。さらに、税制改革の行方を見据えて適切な方法を適用する必要もある。4

1. Notice 2014-21:IRS Virtual Currency Guidance

2. 日本においては国税庁が2017年12月1日付で「仮想通貨に関する所得の計算方法について」(国税庁ウェブサイト(PDF))を示した。

3. Adequately Identifying Bitcoin Dispositions for Federal Income Tax Purposes By Jim Calvin

4. 2017年の税制改革“Tax Cuts and Jobs Act”の上院案では、通常の証券売却の場合IRSが平均値を採用しない限りFIFOを適用する旨の法案が含まれている。

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