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2019年と2021年の2段階で施行「越境電子商取引に関するEU付加価値税改正のポイント」

『旬刊経理情報』 2018年4月10日号

欧州連合(EU)は最優先政策課題である「The Digital Single Market Strategy」の一環として、VAT分野における越境電子商取引課税の円滑化を進めている。2017年12月5日に採択された理事会指令により、28加盟国をカバーする電子申告ワンストップショップ制度の適用対象が消費者に対する全サービスと150ユーロ以下の資産の輸入に拡大された。あわせて22ユーロ以下の資産の輸入付加価値税免税制度が廃止となり、年間50億ユーロと推計される税収逸失に歯止めをかける。

2017年12月5日、欧州連合(EU)の欧州理事会は、付加価値税の共通制度に関する理事会指令(指令)等を改正する理事会指令を採択した。電子商取引による個人消費者に対する資産の販売、サービスの提供の拡大を背景として、輸入付加価値税の免除を伴う新たな輸入ワンストップショップ申告制度の新設等、VAT新時代の幕開けともいえる画期的な制度が2021年から導入される。

EUでは2015年から28EU加盟国に居住する消費者(課税事業者ではない者)に対して提供される電気通信、放送、または電子的に提供されるサービス(いわゆる「TBEサービス」)の申告制度としてすでにミニワンストップショップ制度(MOSS制度)を全面的に導入している。

これに加えて新たに輸入ワンストップショップ申告制度を導入し、第三国からの輸入をワンストップ申告の対象とするとともに、BEPS行動計画で示唆されていた、従来の22ユーロまでの少額資産の輸入付加価値税免税制度を廃止した。国内付加価値税を課税する場合に輸入付加価値税を免除する戦略は、ボーダーレス社会の行きつく先は電子申告と直結した輸入付加価値税の廃止であるかと考えさせられる改正となっている。

EU域内ビジネスでは、従来の域内消費者通信販売制度(intra-Community distance sales of goods)を大幅に見直し、消費者に対する資産の譲渡とサービスの両方をワンストップショップ申告制度の適用対象とする。同時に、各国の税率差異を利用するストラクチャリングがほぼ意味をなさない売上高に出荷地課税の適用金額を引き下げ、消費地課税を徹底する方向へと進んでいる。

本稿では、改正の全体像とその詳細について述べる。

* Council Directive (EU) 2017/2455 amending Directive 2006/112/EC and Directive 2009/132/EC as regards certain value added tax obligations for supplies of services and distance sales of goods

 

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