ナレッジ

2015年度 連邦税予算案ハイライト

Canadian Tax Alert

カナダのオリバー財務大臣は2015年度は均衡予算であると発表した。2014年度の財政赤字は20億ドルになる見込みで、それに対し2015年度は14億ドルの財政黒字が予想されている。以下は本予算に掲げられた税制に関するハイライトの要約である。(Canadian Tax Alert/カナダ)

財政/経済見通し

カナダのオリバー財務大臣は2015年度は均衡予算であると発表した。これは、最近のオイル価格の下落の影響を連邦政府が所有するジェネラルモーターズ(GM)株の売却により埋め合わせすることを意味する。2014年度の財政赤字は20億ドルになる見込みで、それに対し2015年度は14億ドルの財政黒字が予想されている。2014年度の連邦債務対GDP比はおおよそ31.2%と見込まれている。2015年度予算ではこの比率を30.8%まで引き下げる計画で、その後も継続して、2019年度には25.5%まで引き下げることを目標としている。失業率は現在6.7%である。

以下は本予算に掲げられた税制に関するハイライトの要約である。

2014年度の連邦債務対GDP比はおおよそ31.2%と見込まれている。 2015年度予算ではこの比率を30.8%まで引き下げる計画で、その後も継続して、2019年度には25.5%まで引き下げることを目標としている。失業率は現在6.7%である。

以下では、本予算の内容のうち、日系企業に関係するポイントを抜粋し、要約している。

事業に関する措置

  • 2019年までに、小規模企業の法人税率を11%から9%まで引き下げることが提案されている。2016年1月1日から毎年0.5%ずつ引き下げられ、課税年度が暦年と一致しない場合は税率変更の影響は按分される。
  • 小規模企業控除に関して、事業所得と投資所得の区分の見直しに関する協議を実施することが発表された。連邦政府は利害関係者に2015年8月31日までにコメントを提出するよう求めている。
  • 2016年から2025年までに購入した製造・加工用機械装置の加速度減価償却が提案されている。当該資産は、クラス43に分類された同資産に適用される30%の償却率ではなく、すでに2007年から2015年までに取得した同資産(クラス29に分類)に導入されている50%の加速度償却率が引き続き適用される一方で、クラス29に適用されていた定額法ではなく、定率法に基づいて減価償却費を算定する。
  • 連邦政府は、適格資産制度の廃止とそれに替わる新たな減価償却クラスの設定に関する提案へのコメントを引き続き募集する。連邦政府はそれらが法案に含められる前に、コメントを反映したドラフト法案を公表する意向である。
  • 2016年以降、新雇用主で給与等の源泉税が毎月1,000ドル以下の場合には、月次ではなく四半期で源泉税を支払うことが可能となる。
  • 他の資産のキャピタルゲインへの充当を目的として、グループ間配当を用いてキャピタルロスを発生もしくは増加させることを防止するために、所得税法のセクション55における租税回避防止規定の範囲拡大が提案されている。2015年4月21日以降に受け取った配当で、その目的の一つが株式の公正価値の著しい引き下げ、もしくは配当受領者の資産の購入コストの著しい増加である場合に、同規定が適用される。また、関連した租税回避防止規定の改正も提案されている。
  • 配当レンタルアレンジメントの規定について、カナダ企業の株式から得られる便益の獲得もしく逸失のすべてのリスクが実質的に免税企業もしくはカナダ非居住者に移転されている場合(いわゆる合成株式取引が存在する場合)、カナダ企業から受け取った配当は、グループ間の配当控除が適用できないように改正が提案されている。関連する租税回避防止施策も同様に提案されている。この提案は2015年11月以降に支払われる配当に適用される。
  • 配当レンタルアレンジメントの改正提案について、取引相手の税務上の取り扱いに関わらず、合成株式取引のもとでカナダ企業から受け取った配当については、グループ間の配当控除は適用できないとする代替案がある。連邦政府は当施策の実施前に、利害関係者に2015年8月31日までにコメントを提出するよう求めている。

国際税務に関する施策

  • 2016年から、カナダ国外の企業がカナダに居住していない従業員をカナダで就労させ、その対価を支払う場合に、租税条約によってカナダでの個人所得税の支払いが免除される特定の状況下において、当該企業に課される個人所得税の源泉徴収義務が免除されることとなった。この規定を適用するためにはいくつかの条件を満たす必要があり、例えば、対象となる従業員が支払期間を含む12カ月間でカナダに90日間以上滞在していない、当該企業が支払時点で国際歳入大臣から認定を受けている、などがある。当該企業が認定を受けるためには、カナダの恒久的施設を通じて事業を実施してはいけない。給与の報告義務は引き続き適用される。
  • 年間通して合計コストが250,000ドル以下の海外資産を保有する納税者への報告義務を簡素化することが提案されている。この簡素化された海外収入報告システムは2015年以降開始税務年度に適用される。
  • 経済協力開発機構(OECD)の税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトが進行する中、連邦政府は当プロジェクトが推進・実行する内容について、海外諸国との議論を引き続き行う意向である。連邦政府は、税の公平性および一貫性とカナダ税制の競争力維持とのバランスを保つことを繰り返し強調した。
  • 連邦政府は2017年7月1日付けで、管轄の異なる税務当局間での自動情報交換に関するOECDの共通報告基準を導入する意向を表明した。各金融機関は導入時点までに、カナダ非居住者が保有する口座を識別し、必要な情報をカナダ歳入庁(CRA)に報告するすることが可能なシステムを保持することが求められる。海外市民権を有するカナダ居住者の口座に関しては報告対象外である。

個人に対する措置

  • 予想されたとおり、非課税貯蓄口座(タックス フリー セービングアカウント:TFSA)への年間拠出限度額が、現状の5,500ドルから10,000ドルへと引き上げられることが提案されている。これは、2015年1月1日以降から適用される見込みである。非課税貯蓄口座への拠出限度額は、今後、毎年のインフレ率と連動しないこととなる。
  • 小規模ビジネスの税率の引き下げと関連して、税額控除の対象とならない配当金に関するグロスアップ率と配当控除税率の変更が提案されている。この結果として、税額控除の対象とならない配当については、高税率での課税が行われる見込みである。
  • 2015年以降税務年度において、継続して所得の申告を怠っている場合の罰金は、その年およびそれまでの3年間のいずれかの年において、申告者が少なくとも500ドルの所得の申告を怠っていた場合にのみ適用されることが提案されている。罰金は、申告しなかった所得額の10%、もしくは、無申告所得に対して本来納付する必要がある税額(または本来受け取るべき還付額)から納付済みの税額を差し引いた額の50%のいずれのか小さい額とされている。
  • ファミリータックスカットの計算において、(夫婦間の)教育費控除の移転によって、控除額が減額されることがないような改定が提案されている。この改定は、2014年以降税務年度に対して適用される見込みである。
  • 予算では、CRAもしくは裁判所に、合計の査定金額が増加しない範囲内で、異議や上告の申し立てがあった際に、いつでも査定金額を増加または修正することを認めることが提案されている。同様の改定が、Excise tax Act(消費税)やExcise Act, 2001(酒、たばこ税)に関しても提案されている。
  • 同じ担当者が税金と税金以外の負債の両方の情報を収集することができるように、CRAの担当者間において情報を共有できるような管理上の変更が提案されている。

その他の措置

  • 連邦政府は、2017年に雇用保険の収支を7年間で均衡させる雇用保険料率設定方式を導入し、雇用保険料率を下げる方向であることを示した。
  • 2016年1月より、雇用保険に含まれる介護費用控除は、現在施行されている6週間から6カ月へ拡大することが提案された。

本内容は、デロイト カナダによって作成されたCanadian tax alert (2015-2016 Federal budget highlights) の抄訳版です。適宜、デロイト カナダのウェブサイトで原文(英語版)をご参照いただくようお願いいたします。なお、予算案に関する詳細は財務省のウェブサイト(英語)よりご確認ください。

関連サービス

サービスのご案内

安定的で持続可能な成長のため海外に進出している、または、これから進出を予定している日系企業が、事業運営上の目的と整合した形でバランスをとりながら、グローバルな観点から適切な税務リスクの管理・税金コストの最適化を図れるよう、デロイトのグローバルネットワークを活用し、日系企業の海外投資に関する国際税務問題についてワンストップのサービスを提供します。

お役に立ちましたか?