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英国のEU離脱:直接税および間接税への影響

Global Tax Update:2016年5月号/英国

短期的な観点からは、英国の欧州連合(European Union:EU)離脱が英国の間接税および直接税に与える影響は小さいと考えられる。離脱協定(Secession Agreement)が締結されるまでは英国はEUに残留し、離脱交渉の期間中は大きな変更が行われる可能性は低く、将来変更が行われるべき具体的な項目は、これらの交渉結果に基づいて決定されることになる。(Global Tax Update:2016年5月号/英国)

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本ニュースレターでは、以下のトピックについて解説する。

1. 概要

EUにおける制約から解放された場合であっても、英国が完全に新しい税制を構築する可能性は低いと考える。これは、直接税に対する既存のEUからの制約はそもそも影響が大きくはなく、英国の法人税法上採用している傾向のあるテリトリアル課税方式は、多くの国が採用する一般的な課税制度であるためである。また、VAT制度に対する注目は世界的に高まっており、多くの新興国もVATを導入しているところであるが、英国政府が今後、税制を抜本的に改正する可能性は低いと考える。とはいえ、制度の柔軟化を含む、軽微な改正が行われる可能性は十分にある。

2. EU離脱後の選択肢

EU離脱の影響に関する分析を困難にしている理由の一つとして、EUモデルを代替するモデルが数多く存在することが挙げられる。これらの選択肢にはメリットおよびデメリットがある。

3. EU離脱のプロセス

EU離脱が決まると離脱プロセス(Secession Process:離脱条件の交渉)が開始される。離脱協定が合意に至るまで(合意に至らない場合は2年を経過した時まで、または、他の27の加盟国と交渉期間を延長するという合意に至った場合はその時まで)、EU法、EU条約および欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Union:CJEU)へのアクセスが引き続き可能である。

4. 間接税

関税および国際貿易に関する制度(認定事業者(Authorised Economic Operator)制度等)は他の関税プロセス(一時輸入、関税賦課一時停止等)同様に、そのまま継続される可能性が高い(ただし、これらを実施するための国内法整備は必要)。

5.直接税

他の分野と比べて、英国のEU離脱が直接税に与える影響は小さい。間接税とは異なり、直接税はEU条約において明示的には規定されていない。また、多くのCJEUの決定においても「直接税は国家能力の一つであり、当該国家能力はEU条約に従って行使されなければならない」と言及されている。

6.税務上の影響を及ぼすと思われるその他の要素

大規模な再編を行った場合は、税務オペレーションモデルについても徹底的な見直しを迫られる可能性がある。

>> Click for English [UK leaving the EU: briefing paper on direct and indirect tax implications]

 

(292KB, PDF)

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