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経営承継は相続税対策にあらず。デロイト トーマツが、企業の維持・発展につながる、真の課題解決を総合的にサポート。

デロイト トーマツの「オーナー企業の経営承継支援サービス」(3)

オーナー企業が直面する課題のうち、経営承継に関連する税務は、大きなテーマの一つであろう。経営承継対策について、税理士法人トーマツの松浦哲也と樋口亮輔、そしてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の秦弘幸がそのポイントを解説する。(Wedge 2015年9月号掲載)

オーナー企業が直面する課題のうち、経営承継に関連する税務は、大きなテーマの一つであろう。むろん、どの経営者も何らかの対策を行っているに違いない。だが、多くの企業の経営承継をサポートしてきた秦弘幸氏は「経営承継を相続税対策など狭い視野でとらえた結果、望ましい結果につながっていない企業も少なくない」と指摘する。では、本当の意味での経営承継対策とはどのようなものなのか。一方で、国内外ともに年々複雑化する税制にどのように対応すべきなのか。松浦哲也氏、樋口亮輔氏とともに、そのポイントを解説してもらった。(Wedge 2015年9月号掲載)

税理士法人トーマツ
北関東地区税務統括パートナー
公認会計士 税理士
松浦 哲也

税理士法人トーマツ
名古屋事務所
パートナー 税理士
樋口 亮輔

デロイト トーマツ
ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
シニアヴァイスプレジデント
秦 弘幸

経営承継には、相続税以外に総合的な検討が必要に

――経営承継にあたってどのような考え方で取り組むべきでしょうか。

秦: まず、どうしてもご自身の相続や相続税に目を奪われがちです。もちろん、相続税などの税金は、キャッシュフローの観点では重要ですが、経営承継はそれだけで完結するものではありません。

経営承継とは文字どおり企業のビジネスを次世代に引き継いでいくことです。次期経営者の選出や育成、またこれを支える組織づくりも含め、総合的な検討が求められます。その前提として、自社の事業を将来にわたり、どのように維持・発展させたいかを後継者を含めた主要なメンバーと日ごろからしっかり議論しておくことが大切です。

松浦: 相続税については、その対策として自社株の評価を引き下げることがセオリーであるかのように言われることもありますが、疑問もあります。と言うのは、このような手法論はあくまでも経営承継のひとつの視点にすぎないからです。
たとえば、株価対策として会社分割などの組織再編をしたり、節税商品に多額投資したりといったことが、本来の自社の事業の維持や発展にどのような影響を与えるか、冷静に考えるべきです。対策のために本業にデメリットをもたらすとすれば本末転倒です。

樋口: 経営承継にあたり、親族から株式を高額で買い取らざるを得ないといった状況になった企業もあります。このようなことが起こる大きな原因はコミュニケーションの不足です。

オーナー経営者はどうしても、ビジネスの成長戦略などに注力しがちです。ビジネスの成長は非常に重要ですが、いざというときになってトラブルを防ぐためにも、あらかじめファミリーの内部において、自社の価値観やビジョンなどについて共有化しておくことが大事です。

複雑化する税制へ総合的な対応が必須

――地方の中堅企業にもグローバルに展開する企業が増えています。海外の税制などに対応するのに苦労するという声も聞きます。

樋口: 最近、特に企業からのご相談が急増しているのが、BEPS(Base Erosionand Profit Shifting:税源浸食と利益移転)など移転価格税制への対応です。海外のさまざまな国で移転価格税制に関連する税制改正が頻繁に行われています。この対応を怠ると、後になって巨額の課税や二重課税が発生することにもなりかねません。

実際に、ある企業では、日本の税務当局による移転価格の調査で法人税を追徴されることになり、法人の過去の所得が修正されたことによって、先代オーナーから引き継いだ株式についても多額の相続税を追徴されることになりました。このほか、海外子会社の株式の移転などについても、現地で思わぬ課税がなされることもあります。このような法人の追徴課税が結果として、オーナー個人の株式や資産への課税関係にも影響します。

松浦: 経営承継に関連する税金はこの移転価格税制などさまざまな海外税制のほか、法人税、所得税、相続税といったように国内税制も多様です。税金だけでもそれぞれ専門的な知識が求められるのに加え、さらに会社法や民法などの領域も踏まえて最適な解を出さなければなりません。

オーナー経営者にとってみれば初めての経営承継で、何から手を付ければいいのかわからないというところではないでしょうか。もちろん、企業にも顧問税理士がいらっしゃるでしょうが、ビジネスのグローバル展開が進み、法人税制・所得税制・相続税制が複雑・高度化してい
る現在において、これらの領域を一人ですべてカバーすることは現実的ではありません。

グループの総合的なネットワークを生かし地域に密着したサービスを提供

――課題解決のためには幅広い専門知識が必要とされそうです。デロイト トーマツは、その期待にどう応えようとしていますか。

秦: デロイト トーマツ グループなら、監査、税務、法務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーなどの幅広いサービスをワンストップで提供できます。また、海外のメンバーファームと連携し、現地の最新情報を入手することができます。一方で、大手プロフェッショナルファームの中では最多の国内約40都市に展開し、地域に密着したサービスを提供している点に大きな特色があります。

樋口: 私は税理士法人トーマツの名古屋事務所に勤務していますが、「電話一本で駆け付ける」ということが地元のお客様の安心や評価につながっていると自負しています。
オーナー経営者にとって、経営承継の課題は守秘性が高く、信頼のおける相手でないと相談できません。地域密着で企業成長とファミリーの発展に寄り添って、末永く継続したサービスを提供できるのも当社グループの強みです。

松浦: 加えて、このたび、デロイト トーマツ グループでは、経営承継問題のソリューション実績を数多く有する株式会社 MID GROUP などの外部の専門家の知見も積極的に取り入れ、サービス提供体制を強化しています。まずはお気軽にご相談いただきたいと願っています。

 

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Wedge 2015年9月号掲載記事

 

 

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