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連結子法人の残余財産が確定したことによる欠損金引継ぎの可否

『国税速報』平成28年4月25日号

連結子法人の残余財産が確定した場合、その残余財産が確定した日の翌日の属する連結親法人事業年度開始の日前9年以内(H20.4.1より前に終了した連結事業年度において生じた連結欠損金については7年以内)に開始した各連結事業年度において生じた欠損金(連結欠損金個別帰属額)は、連結親法人である貴社に付け替えられることとなります(法法81の9⑤ 二⑥、法令155の21②二)。(『国税速報』平成28年4月25日号)

【疑問相談】法人税

「連結子法人の残余財産が確定したことによる欠損金引継ぎの可否」

Question:
今般、当社の100%子会社である内国法人A社につき、業績不振が続き、事業に好転の見通しが立たないことから、平成27年9月10日付で解散を決議し、その残余財産が平成27年12月25日付で確定しました。

A社は、当社が平成20年1月1日付で買収した会社であり、買収後、残余財産確定日までその発行済株式の全部を継続して保有しています。当社は、平成25年4月1日以後開始事業年度から、当社を連結親法人とする連結納税を採用しており、A社は連結子法人に該当します。また、残余財産確定時において、A社は以下のとおり税務上の連結欠損金個別帰属額を保有している状況です。

連結子法人の残余財産が確定した場合、その連結子法人の連結欠損金個別帰属額につき株主である当社への引継ぎが認められると理解していますが、下記欠損金額(連結欠損金個別帰属額)は、法人税法上その全額が当社に引継ぎ可能と理解して差支えないでしょうか。地方税法上の欠損金の取扱いと相違があれば合わせてご教示ください。

なお、当社は従前3月を決算期とする内国法人でしたが、国際会計基準の導入を視野に、平成26年12月31日期より12月に決算期を変更しており、当期は変更後2期目(平成27年12月期)に該当します。A社は買収時12月決算法人であったことから、平成20年3月期より3月に決算期を変更しましたが、当社に合わせて、平成26年12月31日期より12月に再度決算期を変更しました。

Answer:
A社のH20.1.1~H20.3.31の欠損金50百万円に係る貴社への引継ぎについては、理由は異なるものの、法人税・住民税・事業税ともに引継ぎ不可となります。また、残余財産確定事業年度(H27.1.1~H27.12.25)に生じた欠損金70百万円の取扱いは、法人税と地方税で異なる点にもご留意ください。

【解説】

1. 法人税の取扱い

(1) 欠損金の引継ぎ

連結子法人の残余財産が確定した場合、その残余財産が確定した日の翌日の属する連結親法人事業年度開始の日前9年以内(H20.4.1より前に終了した連結事業年度において生じた連結欠損金については7年以内)に開始した各連結事業年度において生じた欠損金(連結欠損金個別帰属額)は、連結親法人である貴社に付け替えられることとなります(法法81の9⑤ 二⑥、法令155の21②二)。具体的な取扱いは、欠損金の発生年度に応じて以下のとおりとなります。

(2) H20.3.31期の欠損金

貴社は平成25年4月1日以後開始事業年度より連結納税を開始していますが、A社は開始にあたり時価評価の対象外とされる子法人(特定連結子法人)として、その有する欠損金については、連結欠損金のうち特定連結欠損金に区分されていたものと思われます(法法81の9②一、③一)。

この場合、特定連結子法人に区分される法人の繰越欠損金については、その発生した特定連結子法人の(連結)事業年度の開始日の属する連結親法人の(連結)事業年度を連結事業年度とみなして、その連結事業年度に発生した特定連結欠損金として取り扱うこととされています(法令155の19①)。したがって、A社のH20.1.1~H20.3.31までの期間に生じた欠損金については、連結納税の開始にあたり連結親法人である貴社の連結事業年度であるH19.4.1~H20.3.31において生じた特定連結欠損金として取り扱われます。

以上より、A社のみなされた後の連結事業年度としてのH20.3.31期(H19.4.1~H20.3.31)については、その残余財産の確定の日(H27.12.25)の翌日(H27.12.26)の属する連結親法人事業年度開始の日(H27.1.1)の前7年以内に開始した各事業年度において生じた連結欠損金個別帰属額に該当しないため、貴社の欠損金として引継ぎは認められないこととなります。

(3) H21.3.31期~H26.12.31期の欠損金

H21.3.31期~ H26.12.31期の各(連結)事業年度において生じたA社の連結欠損金個別帰属額については、その残余財産の確定の日(H27.12.25)の翌日(H27.12.26)の属する連結親法人事業年度開始の日(H27.1.1)の前9年以内に開始した各連結事業年度に該当します。したがって、これらの(連結)事業年度の連結欠損金個別帰属額については、A社の連結欠損金個別帰属額の生じた前9年内連結事業年度開始の日の属する、株主である貴社の各連結事業年度で生じた連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額)に付け替えられる(引き継がれる)こととなります。

(4) H27.12.25期の欠損金

連結子法人の残余財産確定の日の属する事業年度において生じた欠損金額70百万円については、残余財産の確定の日(H27.12.25)の翌日(H27.12.26)の属する連結事業年度(当期)の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入される取扱いとなります(法法81の9④)。

2. 住民税の取扱い

完全支配関係のある法人の残余財産が確定した場合、残余財産確定の日の翌日前9年以内に開始した事業年度において生じた控除対象個別帰属税額・控除対象個別帰属調整額の額があるときは、連結親法人の控除対象個別帰属税額・控除対象個別帰属調整額として引継ぎが認められます(地法53⑦⑩、321の8⑦⑩)。

この場合において、引継ぎの対象となる欠損金は、残余財産確定の日の翌日前9年以内(H20.4.1より前に終了した事業年度において生じた控除対象個別帰属税額・控除対象個別帰属調整額については7年以内)に開始した(連結)事業年度とされています。

これをA社に当てはめて考えた場合、H21.3.31期~H27.12.25期が該当することとなるため、H20.3.31期の控除対象個別帰属調整額(もしある場合)については、引継ぎの対象外となります。

3. 事業税の取扱い

(1) H20.3.31期~H26.12.31期の欠損金

完全支配関係のある法人の残余財産確定の日の翌日前9年以内(H20.4.1より前に終了した事業年度において生じた欠損金については7年以内)に開始した事業年度において生じた欠損金の額があるときは、貴社と完全子法人との間に支配関係が生じてから株主である貴社の残余財産確定の日の翌日の属する事業年度開始の日までの期間が5年未満である場合には、原則として、引継ぎ制限が課されることとなります。しかしながら、A社はH20.1.1付で貴社の100%子会社となっており、残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して50%超の支配関係があることから、制限はかからず、貴社の事業税の繰越欠損金として引継ぎが認められます(地法72の23③、地令20の3②③、法法57②③)。

この場合、引継ぎの対象となる欠損金は、残余財産確定の日の翌日前9年以内(H20.4.1より前に終了した事業年度において生じた連結欠損金については7年以内)に開始した事業年度(H21.3.31期~H27.12.25期)となるため、H20.3.31期の欠損金(法人税と同額の場合50百万円)については、引継ぎの対象外となります。

(2) H27.12.25期の欠損金についての調整

最後に、A社の残余財産確定の日の属する事業年度(H27.12.25期)において生じた欠損金額(法人税と同額の場合70百万円)の取扱いについてですが、法人税の取扱いと異なり、連結子法人(A社)の残余財産の確定の日の属する事業年度の前事業年度の株主である貴社の繰越欠損金の額として引継ぎを行うこととなります(地法72の23③、地令20の3②③、法法57②③)。

この場合において、貴社の当期の事業税の所得割の計算上は、貴社の連結課税所得の計算上損金の額に算入された欠損金額70百万円を足し戻す調整が必要となる点にもご留意ください。

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※本記事は、一般財団法人大蔵財務協会の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。

 

 

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