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第8章 移転価格文書化および国別報告書

The new transfer pricing landscape
新たな移転価格の展望(全9章)
-BEPSに伴う変化への実務ガイダンス-

OECD移転価格ガイドライン第5章改訂版は新たな移転価格文書化規定を示すものである。新ガイドラインでは各税務管轄地が移転価格文書の3層構造アプローチを採用することが勧告されている。(The new transfer pricing landscape:第8章)

はじめに

OECD移転価格ガイドライン第5章改訂版は新たな移転価格文書化規定を示すものである。新ガイドラインでは各税務管轄地が移転価格文書の3層構造アプローチを採用することが勧告されている。

  • マスターファイル:特定の無形資産や金融活動を含む、MNEグループのグローバルな情報を記載するもので、関連するすべての国の税務当局が入手可能となるもの
  • ローカルファイル:各国に所在する個別のグループ企業が行うすべての重要な国外関連取引について詳細に記載するもの
  • 国別報告書(Country by Country Report:以下「CbCレポート」):所得、利益、納税額、その他、経済活動に関する情報を含むもの

新ガイドラインは、MNEに対し、以前よりはるかに多くのグローバルでの事業活動に関する情報を収集し、税務当局へ提供することを要請するものであることから、文書化のプロセスを抜本的に変えるとともに、MNEにおける移転価格に関する法令順守への負担を大幅に増大させるだろう。

移転価格文書の3層構造アプローチ

マスターファイル

マスターファイルでは、グローバルな経済、法務、財務および税務の面で移転価格の実行を位置付けるために、MNEが行うグローバルでの事業活動の概要、無形資産の開発・所有や金融活動に関する全般的な移転価格ポリシー、所得と経済活動に係るグローバルでの配分等を記載する必要がある。

MNEは、マスターファイルの準備に際し、マスターファイルは詳細情報を完全に網羅する必要はないとガイドラインに示されていることを考慮しながら、情報開示の適切なレベルを正しく判断しなければならない。それでもなお、現地での取引に関する情報が、良識的なビジネスの判断に対する各国当局による見解に影響を与え得るといった懸念も示されている。

マスターファイルに必要とされる情報は下記の五つのカテゴリーに分類される。

  • MNEの組織構成
  • MNEの事業概要
  • MNEの無形資産
  • MNEのグループ内金融活動
  • MNEの財務および税務に関するポジション

MNEは、情報をグループ全体で開示しても、集中化されたグループ機能と事業分野間の取引内容が正確に記述されることを前提として事業分野ごとに開示してもよいとされる。マスターファイルを事業分野ごとに作成する場合、現地法人がたとえ一つの事業分野にしか関与していなくとも、全事業分野分を各税務当局に提出しなければならない。

新規定では下記の項目が挙げられている。新規定は比較的に規範的であり、MNEに対し、過去に親会社でもグループ会社でも収集してこなかったような膨大な情報の収集を求めている。

  • MNEグループの売上上位五つの製品・役務提供およびMNEグループの売上高の5%以上を占めるその他の製品・役務提供に関するサプライチェーンの概要・チャート
  • MNEグループ企業間の重要な役務提供に係る取決めに関するリストおよび概要説明(重要な役務を提供する主要な拠点の機能、グループ内役務提供に係るコスト配分と対価決定に関する移転価格ポリシー等)
  • 上記二項目で言及されるMNEグループの製品・役務提供の主要な地理的マーケットに関する説明
  • 各グループ企業による価値創造への主要な貢献に関する簡易な機能分析(果たしている主要な機能、負担している重要なリスク、使用される重要な資産等)
  • 対象年度内における重要な事業再編取引、買収、事業売却に関する説明
  • 重要な無形資産(もしくは無形資産グループ)および当該無形資産の所有者
  • グループの資金調達方法の概要(非関連者の貸手との重要な資金調達を含む)
  • 対象年度のMNEの連結財務諸表(用意されていなければ、財務報告、規制、管理会計、税務、その他の目的で作成されたもの)
  • APAおよび国家間の所得配分に関するその他の税務ルーリング

新たに必要となる情報のため、データを入手、収集、検証、分析、更新する新しいプロセスが必要となるだろう。

マスターファイルに含まれる情報は、現地法人が行う取引に直接影響がある場合を除き、これまで税務当局は入手することができなかった情報である。グローバルでの透明性向上の結果として、税務当局はより幅広い側面や枠組みに焦点を当ててくる可能性がある。追加情報は、例えば、あるグループ会社による無形資産の開発、他のグループ会社による無形資産への資金提供や所有、さらに他のグループ会社による無形資産の活用等に関する質問につながり得る。同様に、グループ内資金調達に関する移転価格ポリシーの概要と非関連者である貸手との間での重要な資金調達の概要を開示することによって、独立企業間原則に基づいていない利率、低税率国に所在する金融会社の過大資本化、債務負担能力不足に焦点が当てられる可能性もあるだろう。したがって、新規定が現行の移転価格ポリシーやプロセスに与える影響について分析しておくことが賢明といえる。

ローカルファイル

ガイドラインにおいて、ローカルファイルは、関連者間取引や財務データといった現地法人による従来の移転価格文書化に含まれてきたものと同様の情報を多く含むこととされている。ローカルファイルは従来どおりの機能分析や経済分析が中心とはいえ、ガイドラインは多くの国の文書化規定よりも規範的であり、多くの移転価格文書では要求・記載されないような追加的な詳細情報も求めている。マスターファイルはハイレベルな概要を提供する一方、ローカルファイルは特定の重要な関連者間取引についてより詳細な情報を提供することとなる。

ローカルファイルに関するMNEの大きな懸念点の一つは、文書化すべき重要な取引に該当する閾値(threshold)の変更である。一部の国は、国内法上、事実上すべての取引に関する文書化を要求する一方で、他の国は現地法人の納税額に大きな影響を与える重要な取引により関心を寄せている。ガイドラインは各国の移転価格文書化規定に一定の重要性に係る閾値を含めることを推奨しているものの、実際には、ガイドラインによって現在の重要性基準のばらつきやそれにより課される事業への負担が減少する可能性は低いと考えられる。

ガイドラインのポジティブな側面としては、比較対象企業のデータ更新は毎年行う必要があるものの、検証対象企業の機能が変わらない場合、比較対象企業の検索は3年ごとでよいとされている点である。しかし、ガイドラインは依然として、所在国内で検索される比較対象企業が合理的に利用可能である場合には、所在地域内で検索される比較対象企業より所在国の比較対象企業を用いることを一般的に支持している。本規定により、MNEが収集および更新しなければならない比較対象企業のセット数は増加する可能性がある。

ガイドラインは、ローカルファイルにおいて、現地法人が関与する関連者間取引のカテゴリーごとのグループ内の支払および受領金額の内訳(棚卸資産、役務提供、ロイヤルティーおよび利息に関する支払および受領金額)を国外の支払者または受領者の税務管轄地ごとに記載しなければならないとしている。また、現地法人が締結するすべての重要な関連者間契約書、現地の税務管轄地が参加していなくてもローカルファイルに記載される関連者間取引と関連がある既存の一国内事前確認、二国間事前確認、多国間事前確認、その他の税務ルーリングといったさまざまな取決めの提出も要請している。将来的に重要な論点としては、所在する税務管轄地が、現地特有の文書化対応として追加費用が発生するであろうローカルファイルに係る追加的な要請を課すか否かという点である。

MNEにとって重要な懸念点は、準拠したローカルファイルを作成するために必要となる事後的調整に関するガイダンスの欠如であろう。多くの国は上方調整のみを認めている。これは、仮に企業が法令順守のために上方調整する必要がある一方で、相手国において下方調整が認められていない場合に二重課税を引き起こすことを意味する。この点から、事後的調整の可能性を低減させるよう移転価格を注意深くモニタリングする必要があるといえる。

CbCレポート

ガイドラインに規定される三層構造の移転価格文書化を構成する最後の一つはCbCレポートである。CbCレポートでは下記に掲げる8項目について、各税務管轄地に所在する全拠点を対象として集計した情報(関連者間取引における調整や相殺前の数値)を提示する必要がある。

  • 関連者取引による総収入、非関連者取引による総収入、それら二つの合計(ロイヤルティー、役務提供対価、金利、保険料、配当を除く関連者間もしくは非関連者取引から得られるすべての収入)
  • 税引前利益
  • 源泉徴収税額を含む納付税額ベースの法人税額
  • 当期発生分の法人税額(引当金、繰延税金、不確定な税金負債を除いた、報告事業年度における課税利益に計上される法人税の当期発生額の合計)
  • フルタイム当量での従業員数
  • 資本金
  • 利益余剰金
  • 現金および現金等価物を除く有形資産額

CbCレポートでは、税務管轄地ごとに、グループの各構成事業体(会社、法人、信託、パートナーシップ)に関する情報を管轄地を示した上で提供し、休眠会社を含む各拠点の事業活動を含めなければならない。

CbCレポートは、前事業年度の連結グループ年間売上高が7億5,000万ユーロ(現地通貨建てで7億5,000万ユーロ相当額)以上であるMNEグループが対象となる。なお、マスターファイルおよびローカルファイルの場合、ガイドラインは金額的な閾値を設定していないため、各国で異なる閾値が採用される可能性がある。

CbCレポートの作成に当たり、報告事業体は毎年継続して同じデータの情報源を使用しなければならず、データの情報源に変更がある場合は、変更の理由を説明しなければならない。なお、報告事業体とは、MNEを代表して税務上の居住地でCbCレポートの提出義務を負う事業体と定義される。

報告事業体は連結報告用パッケージ、各拠点の法定財務諸表、規制財務諸表、管理会計の計算書等から使用するデータを選択することができるが、CbCレポート作成に当たって使用したデータの情報源を簡潔に述べる必要がある。仮に法定財務諸表が情報源となる場合、記載するすべての金額は、該当年度の平均為替レートを使用した上で報告事業体の機能通貨に換算しなければならない。また、仮に連結財務諸表を情報源とする場合は、ガイドライン上は明確に規定されていないものの、税務当局が調査において、記載情報が法定財務諸表、規制財務諸表、税務申告書と整合していることを求めるかもしれない。これを理由にCbCレポート作成に際して各拠点の法定財務諸表もしくは規制財務諸表の使用を検討している企業もあるという。

多くのMNEではCbCレポート作成に必要となる情報をどのように収集すべきかすべては把握していないことから、必要な情報が自社システムのどこに存在し、どうすれば最も効率的に情報収集できるのか検討するためにCbCレポートの青写真作成に取り組む必要があると考えられる。事業規模の大きいMNEの場合、現状の報告システムの対応状況の評価を行い、潜在的な欠落部分に対応すべきである。いくつかの項目に関しては、拠点ごともしくは国ごとに一元管理されていないこともあろう。多くのMNEはCbCレポート完成のために膨大な情報を収集しなければならず、法令順守の負担が実質的に増大すると考えられる。

事業規模の大きいMNEの中には、CbCレポートに関する情報収集、保存、分析および作成においてテクノロジーを用いたソリューションを検討しようと考える企業もあるだろう。事業規模の大きいMNEの場合、スプレッドシートやCbCレポートを埋めるために必要なデータを手作業で検索、収集、確認、統合する時間や労力は、そのプロセスを毎年繰り返すことを考えると膨大になるだろう。また、テクノロジーを用いたソリューションにより移転価格の結果を定期的にモニタリングする機能を得て、MNEは移転価格に係る法令順守をよりよく管理することが可能となり得る。

実績値を予算値と比較する機能を有するソフトウエアもあれば、予期していなかったズレの原因、潜在的な調整、さらには当該調整が関連する国々での納税額、グループ全体での実効税率、その他、付加価値税や関税等に与える影響を企業が理解する助けとなるような高性能な分析(ドリルダウン分析、原因解析、感度試験分析等)を提供するソフトウエアもある。

OECD移転価格ガイドラインの中にCbCレポートを導入することは、BEPSプロジェクトの重要な目標の一つであった。それは、多くの税務当局がCbCレポートを通じてMNEがどこで利益を獲得しどこで納税しているかという全体像を初めて入手することになるからである。また、CbCレポートによって企業の移転価格ポリシーや当該ポリシー実施におけるかい離や不整合が明らかにされることもあるだろう。加えて、収益計上と価値創造の場の潜在的な不整合についてもCbCレポートが明らかにするかもしれない。特に、一見したところ類似した機能およびリスクを有する複数の拠点が異なる国で異なる利益を生じている場合、企業は反論できるよう準備を行っておくべきである。そのような分析においては、意思決定者の所在地、および、技術もしくはマーケティングに係る無形資産のようなユニークで高付加価値な資産の所在地に焦点を当てる必要がある。MNEは、CbCレポートの初回提出前に、このような潜在的なかい離や不整合への対応について検討を行うべきである。

CbCレポートは税務当局がリスク評価を行うツールとされており、詳細な機能分析や比較可能分析に基づいた、 個別の取引や価格に係る移転価格分析に代用されるべきではない。ガイドラインにおいて、税務当局はCbCレポートをグローバルな所得配分方式を根拠とした移転価格更正に使用すべきでないとしており、さらには、現地部局がそのような更正を行った場合、管轄地の権限ある当局は関連する手続により当該更正を即座に譲歩するよう求められることとしている。

一方で、OECDの勧告にもかかわらず、一部の国家やMNEは、CbCレポートの導入に伴い、利益分割法の適用もしくは他の手段によって、従業員数や有形資産額を基準とした所得配分がより多く行われる可能性を懸念している。

その他の重要な要素

使用言語

移転価格文書に使用すべき言語は現地法令により定められる。ガイドラインは、移転価格文書の有用性が損なわれない限り、広く使用される言語(Commonly used languages)での移転価格文書提出を認めることを各国に勧告している。また、税務当局が文書の翻訳が必要と判断する場合は翻訳の要請を具体的に行い、作業実施に十分な時間を与えることを推奨している。

時期

MNEは、2016年1月1日以降に開始する最初の事業年度を対象とする初回のCbCレポートを、当該事業年度終了日から12カ月以内に提出する必要がある。つまり、事業年度終了日が12月31日であるMNEの場合、初回のCbCレポートを2017年12月31日までに提出する必要がある。それに該当しないMNEの場合、2016年1月1日以降に開始する最初の事業年度終了日から12カ月以内、2018年中に提出することとなる。

ガイドラインでは、マスターファイルおよびローカルファイルに関する義務は各国の法令および行政手続を経て実施されること、また、両文書は各税務管轄地の税務当局の要請に応じて当該税務当局に直接提出されることが勧告されている。当該義務を各国の法令および行政手続に組み込む際は守秘およびOECDが示す標準様式の一貫した使用を考慮すべきとされる。

実施・法制化

OECDは、各国が、MNEグループの究極の親会社によるCbCレポートの提出、および、MNEが事業を展開しており、かつ、諸要件を満たす管轄地間での自動的情報交換を義務付ける際に使用できるモデル法案を公表している。既に移転価格文書化規則を有する国は、OECDのアプローチを肯定的に導入するのか、既存ルールを補足するのか、選択することが可能である。移転価格文書化規則を有さない国は速やかにOECDのアプローチを導入することができるだろう1。どれだけの国がCbCレポートに関する独自の指針を出すかは不透明である。

OECDによるモデル法案は、MNEグループの構成事業体は所在国の税務当局に対して、自社がグループの報告事業体に該当するか否かを事業年度終了日までに通知しなければならないとしている。また、税務当局には、初年度は会計年度末から18カ月以内、それ以降の年度は15カ月以内に、関連する税務当局との間でCbCレポートを共有することを求めている。

既存の移転価格文書化規則における罰則制度をCbCレポートに係る提出要請規定に適用することを考える税務管轄地も想定されるが、報告事業体がそれに従わない場合に課される罰則規定についてガイドラインは言及していない。

しかしながら、現地の移転価格文書に係る罰則に関して、ガイドラインは、現地拠点が情報を所有していない場合には課されるべきでないとしつつも、他の構成事業体が移転価格文書に係る義務を負うものとする主張は、現地拠点が罰則を免れるための十分な理由にはならないと明確に述べている。

1 本稿執筆時点(2015年11月)では、オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、アイルランド、オランダ、ポーランド、韓国、スペイン、イギリス、アメリカは、OECDにより提示されたCbCレポートの標準様式を採用する旨を示唆している。その他、フィンランド、フランス、インド、イスラエル、イタリア、日本、ルクセンブルク、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スロバキア、南アフリカ、スウェーデン、台湾等は、当該標準様式の採用を支持する旨を公表している。

影響

ガイドラインによって財務実績の透明性が向上することを踏まえ、MNEはこれまで以上に整合性の確保に注力することになると考えられ、一元的な移転価格ポリシーの管理・文書化および移転価格運用状況のモニタリングを行う傾向はより加速すると見込まれる。グローバルでの透明性向上は、移転価格ポリシーからのかい離やその運用状況が世界中の税務当局により一層明らかになることを意味するといえよう。したがって、現時点において全世界的な移転価格ポリシー構築およびモニタリングを実施していないMNEは、近い将来、その必要性を認識することになるだろう。MNEグループの中には、移転価格ポリシー構築および運用のための職務権限拡大や人的資源増加が必要になる企業や、グローバルでの移転価格の結果を定期的かつ積極的にモニタリングするための新たなシステムやプロセスが必要になる企業もあるだろう。

CbCレポートおよびマスターファイルは、MNEグループの親会社しか文書作成に要する情報を入手できないという実務上の理由から、親会社が作成する可能性が高いといえる。新規定はグローバルに移転価格文書を作成していないMNEに多大な変化をもたらすだろう。また、グローバルに移転価格文書を作成していたとしても、新規定は従来の移転価格文書に記載していたよりも非常に多くの情報を収集・説明することを求めており、情報収集、検証、分析および文書作成の新たなプロセスが必要になると考えられる。

MNEは、CbCレポート、マスターファイルおよびローカルファイル内で、グローバルおよび各国での事業や移転価格ポリシーについて一貫した情報を提供する必要がある。これまで一元的な移転価格文書化を実施してこなかったMNEの場合、追加的な準備や調整の必要性に応じて、本社における追加人員の配置が必要となる企業もあるだろう。

各MNEは、近々改訂されて変化していく世界各国の移転価格文書化規定に対する順守の適切なレベルを判断する必要がある。イギリスやアイルランドといったマスターファイルおよびローカルファイルを導入しない国であっても、調査の際にマスターファイルの作成を要請する可能性があるだろう。MNEは、リスク許容度と活用可能な資源のバランスを取るよう、リスクに基づいたアプローチを採用する必要があるといえよう。

MNEの税務担当の経営幹部においては、必要であれば、新ガイドラインが自社の現行プロセスに与える影響を特定してその影響度合を把握、取るべき対応策に優先順位を付け、移転価格を一元管理するアプローチを構築し、重要なステークホルダーとコミュニケーションを行い、改革案を用意するといったことが求められる。慎重な対応策としては、かい離を特定するために直近年度におけるマスターファイルとCbCレポート作成プロセスを開始することや、例えば、構成事業体の管轄地や居住地の分類や、単一のマスターファイルを作成するのか、事業分野ごとに作成するのかという点について戦略的な決定を開始することが挙げられる。

結論

新ガイドラインは移転価格文書化の新しい枠組みを提示するもので、多くのMNEは、全世界的な移転価格ポリシーの設定、運用、モニタリング、文書化および報告を行うための現行プロセスを見直すことになると考えられる。また、新ガイドラインによりMNEグループの親会社は、新文書化規定を満たすような情報の検索、収集、保存、検証および整理する新たなプロセスの導入が必要となるだろう。透明性の向上およびグローバルでの整合性確保の必要性の高まりにより、多くのMNEは移転価格対応に投じる資源を増加する必要が出てくるといえよう。

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