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COVID-19: 通信業界への影響

移動を制限する国が増える中で、人々は仕事時間や余暇を自宅で過ごすようになり、それに伴いデータ使用量も大幅に増えています。通信事業者各社はネットワークの耐障害性を向上させることに取り組むほか、COVID-19が既存の投資計画、とりわけ5Gに与える影響を注視しています。また、通信サービスがかつてないほど必要とされている中で、各社は利用者への支援策などの対応を進めています。ウイルスの拡散を追跡し封じ込めるツールとして通信データを利用する国も出てきています。

COVID-19は通信業界にも大きな影響を与えています。今後現れる潜在的な影響、経営陣が考えるべき問い、そして実務における次のステップを考察します。 このレポートは2020年4月3日にリリースしたものです。

潜在的な影響

ネットワーク利用量と耐障害性

  •  通信トラフィックの増加:ネットワークの利用量は急増しており、多くの通信事業者が大幅かつ急激なトラフィックの増加に直面しています。音声通話の量が指数関数的に増加している国もあります。
  • ネットワークの信頼性:ネットワークの信頼性も懸念点の一つであり、欧州では接続速度と音質の低下が頻発しています。欧州連合(EU) は障害リスクの低減のために、ストリーミングサービスの画質を制限するよう求めています。
  • 社会的使命に基づくインフラ維持:数週間前には想定しえなかったような企業間連携にも繋がっています。例えば米国の通信キャリアは競合他社から周波数帯を借りて容量を増加させています。

利用者への影響

  • 無償サービスの提供:世界各国の通信事業者は、顧客満足度の向上および通信サービスへのアクセスを人々に提供するため、各種対策を実施しています。英国の通信事業者はデータ容量を増量したほか、無制限の通話時間の提供、COVID-19の拡散を追跡するのに役立つ匿名データの提供を行っています。
  • 在宅勤務のコミュニケーションインフラ支援:通信事業者は利用者の在宅勤務を支援するためのネットワーキングツールを無料または低価格で提供しています。同様に新たな需要を取り込むため、業務生産性向上用のプラットフォームもプロモーションを進めています。
  • セルフサービスチャネルの重要性:世界中で店舗が閉鎖される中、通信事業者は販売・サービスの新たな提供方法を取り入れようとしています。とりわけ顧客接点としてのセルフサービスチャネル(Web/アプリ等) の重要性が増しています。
  • 端末買い替えの延期:スマートフォン新機種の発売はサプライチェーンの制約により延期される可能性があります。また携帯電話契約者は、消費意欲の悪化から買い替えを延期する可能性があります。

COVID-19追跡におけるユーザーデータの使用

  • ウイルス拡散状況の追跡: 政府や関連組織ではウイルスの拡散を追跡し阻止するために、データを益々活用するようになっています。
  • 往来データ:中国では広大な国土と人々の頻繁な往来のため、感染者をスクリーニングしアウトブレイクを制御するには、域内の通信およびデータ交換を効率化することが不可欠です。
  • データプライバシーの課題:ウイルスの拡散を追跡するため携帯電話のデータを利用する国が増えると考えられます。将来的にはデータのプライバシーについて懸念が生じる可能性があります。

財務上の影響

  • キャッシュフローの問題:歴史的に見て通信事業者は不況の影響が少ないものの、他の産業と同じく長期的にキャッシュフローの問題に直面する企業が出てくる可能性があります。  
  • スポーツメディアからの広告収入:スポーツ関連のメディアを所有している通信キャリアはスポーツリーグの中止により、広告収入にマイナスの影響を受ける可能性があります。
  • 5G投資の前倒し可能性:通信キャリアの多くが投資計画を長期的に見ているものの、信頼性と速度向上への需要拡大を背景に5G投資を前倒すケースも見られます。
  • 技術起点のM&A機会の増加可能性:差別化アセットの確保、また場合によっては革新的スタートアップへの投資など、技術起点のM&Aに新たな光が当たる可能性もあります。

経営陣が考えるべき問い

  • ネットワークの信頼性をどのように担保していくのか?
  • 既存ネットワークと5Gへの投資はいつが適切なのか?
  • ネットワークに過大な負荷がかかっている場合でも、顧客満足度を向上させるにはどうすれば良いのか?
  • 中期的な収益の減少を相殺するために、コスト構造をどのように見直すべきか?
  • ビジネスのあらゆる面において自動化をどう最大限に活用できるか? (顧客、従業員、ネットワークの耐障害性など)
  • データプライバシー保護の基準はどう変化しているか。また、それは自社のポリシーにどのように影響するか?

 

実務における次のステップ

通信業界では、危機管理の3つの側面、「対処」「復旧」そして「成長」がカギを握ります。以下が重要な次のステップとなります。

  • ネットワーク信頼性をテストする。
  • コールセンターが業務量増加に耐えうるか確認する。
  • 政府の景気刺激策が通信事業者に与える影響を考慮する。
  • 顧客との対面業務および社内業務における非接触での対応など、さらなる自動化の余地を検討する。

組織が実行を検討すべき、さらなるステップについてはこちらをご参照下さい。

Resources for resilient leadership: Explore actions within the three key phases of crisis: respond, recover, thrive

www.deloitte.com/covid19-resilient-leadership

 

 

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