街づくりにおけるデータプラットフォームの活用

最新動向/市場予測

街づくりにおけるデータプラットフォームの活用

TMT Predictions 2018

日本では従来、街づくりにおける地域課題解決は地域行政の仕事とされる傾向が強かった。しかし課題が多様化・複雑化し、自治体単独での取り組みは行き詰まりを見せている。日本における街づくりに活用しうるデータプラットフォームの可能性について海外等の事例を基に考察し、ITプロバイダ企業の関与の可能性についても検討した。

日本の視点

データを活用した街づくりは世界各地で進められている。活用されるデータは主に3つあり、自治体が提供するオープンデータ、企業活動のなかで生み出される産業データ、そして街中に設置したセンサと個人デバイスを通して自動収集される匿名加工されたパーソナルデータである。

日本では従来、街づくりにおける地域課題解決は地域行政の仕事とされる傾向が強かった。しかし課題が多様化・複雑化し、自治体単独での取り組みは行き詰まりを見せている。

今後は地方都市においても民間からの投資によって地域課題を解決する糸口が見出されていくだろう。官民でソフト面を充実させイノベーションを起こす新たな街づくりのあり方が求められているのだ。そのためにはAIの導入や電子政府化も提案されてきているが、冒頭で挙げたように都市をデータで「スマート化」していくことを目的に、街づくりに活用できるデータプラットフォームを構築することが前提的基盤として必要である。

日本政府の動向としては、データの流通・活用に向けて、情報銀行制度・データ取引市場のルール作りを含め進めていく動きがあるものの、まだ整備途上であり、データ活用による便益を個人及び社会全体が享受できるユースケースについて、国民が理解しやすいような実証実験の実施が期待される。

自治体がデータを連携・流通させるためには、オープンデータだけではなく、その住民のパーソナルデータ、企業が持つ産業データとの連携も必要になってくる。そうした複合的なデータを蓄積し分析可能な状態にするには、個別に存在するデータベースをAPIでつなぐ単純な構成では制約が出てくるであろう。多数のデータベースにまたがる多様なデータに対応し、データ連携が容易で、より高度な分析が可能で、かつ個人情報を扱うセキュリティが担保できるプラットフォーム、つまり従来の縦割り型だけでなく、最初から横展開を意識したプラットフォーム型が有効である。

いまだ日本ではデファクトといえるプラットフォームは存在しないが、欧州のデファクト化しつつあるFIWAREを例にみると、オープンソース・ライセンスフリーで各モジュールを自由に組み合わせて利活用ができる点、多種多様なデータをFIWAREの標準データモデル(NGSI)で統一し、クロスドメインのデータ流通を実現できる点が特徴であり、欧州域外も含めて89都市、23ヶ国で展開されている。

日本では、街づくりに活用できるデータプラットフォームにおいて、民間企業にとってのマネタイズモデルは現状確立されているとは言い難く、また自治体としても自立したデータプラットフォームを実現するためのマネタイズモデルは模索段階といえる。

民に寄り添って新たな街づくりをしていくためには、ITプロバイダ企業が主体性をもって関与していく必要がある。日本で今後どのようにデータ活用が進むのかは、ITプロバイダ企業のまさに力量次第。新たなチャンスでもあり、企業の存在感が増す時代に突入している。

TMT Predictions 2018 各章

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拡張現実:リアリティの最前線
10億人を超えるスマートフォンユーザーが2018年内に少なくとも一度は、拡張現実(AR)コンテンツを作成すると予測される。また、AR機能を組み込んだアプリが新たに年間数万件規模で登場し、2018年末までの段階で、AR作成機能を搭載したアプリまたはオペレーティングシステム(OS)のダウンロードおよびアップデートを行うスマートフォンユーザーが数十億人に達すると想定される。
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スマートフォン:見えざるイノベーションの時代
今後5年間のスマートフォン市場は、普及率、使用頻度、出荷台数、市場規模、平均小売価格のすべてにおいて成長し続けると予測される。スマートフォンの外見自体は2023年モデルも2018年のものとほぼ変わらないと考えられるが、接続、プロセッサ、センサ、ソフトウエア、AI (人工知能)、メモリといった部分について、外からは見えない形で端末内部での性能向上が起こるはずである。
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スマートフォン:使い過ぎを心配する人々
2018年、世界の成人スマートフォンユーザーの45%が特定のアクティビティでのスマートフォンの使い過ぎを心配し、同じく45%が(使用時間の測定や制限ができるアプリの活用から端末を引き出しに仕舞い込む手段まで)さまざまな方法でスマートフォンの使用を制限しようと試みると予測される。
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次世代機械学習チップの勢いが加速
2018年末までにデータセンターにおいて機械学習の高速化の目的で使用されるチップのうち、25%以上をFPGA(field programmable gate arrays)およびASIC(application-specific integrated circuits)が占めるだろうと予測される。これら新種のチップにより、機械学習の利用が著しく増加するだろう。
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身近になる機械学習
2018年において、大企業および中堅企業は機械学習の活用にさらに注力すると予測される。機械学習技術の実装数および当技術を利用したパイロットプロジェクト数は2017年から倍増し、2020年までにはさらに2倍になるだろう。また、機械学習アプリケーションプログラムインターフェース(API)やクラウドで使用できる専用ハードウエア等の技術により、大企業だけでなく小規模企業にも広く利用されるようになるだろう。
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オンラインの世界でも「生」が魅力
2018年のリアルタイム放送およびライブイベントの直接的収益を、前年比1%増の5,450億ドルと予測される。その大部分をテレビ広告・有料テレビ視聴契約など従来型のカテゴリが占め、残りがライブストリーミングとeスポーツである。コンテンツをオンデマンドで利用できる、会場に行かずともリモートでイベントに参加できるなど、メディア接触の機会や手段は続々と増えているが、それでもリアルタイムでのコンテンツ接触の人気は衰えていない。
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デジタルメディア:処方箋はサブスクリプション
2018年末までに先進国の成人の半数が、オンライン(インターネットのみ)で提供されるメディアサービスの定額課金(サブスクリプション)サービスを2件以上契約し、2020年には平均契約数が倍の4件に増えると予測される。オンライン化が進む中で、複数メディアのサブスクリプションを併用すること自体は珍しくないが、オンライン版のみの形式のサブスクリプションを複数契約するのは比較的新しい形態である。
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#adlergic(広告アレルギー)が流行中?
2018年には北米の18歳以上の10%が4種類以上の広告に対し同時にブロック行為を行うという行動予測をしており、こうした人々を「adlergic(広告アレルギー)」と呼んでいる。広告主が広告をブロックする人々(特に若者、就業者、高所得者、高学歴者)にリーチするために、簡単にはブロックできない広告カテゴリが今後数年間で大きく成長することになるだろう。
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映像系新興メディア事業者の台頭による放送業界への影響
近年、日本でも新興の映像メディアが続々登場し、日常における映像コンテンツ接触の大半をテレビ放送が占めていた視聴環境は、変化のときを迎えている。 メディア業界で起こりつつある構造変化とその方向性について分析し、今後の放送業界の方向性を見通す。
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デジタルヘルスのNext Frontierとしての行動変容
デジタルヘルスの先陣を切ったウエアラブルデバイスは欧米中心に一時市場規模が拡大したが、現状は踊り場を迎える。今後のデジタルヘルス市場の成長ドライバーとして期待される、健康の維持・増進の目的で取り組みを図る「予防医療」について、日本のエレクトロニクス・ハイテク企業の事業機会を検討し、デジタル技術やサービスの現状と市場の展望について分析する。
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街づくりにおけるデータプラットフォームの活用
日本では従来、街づくりにおける地域課題解決は地域行政の仕事とされる傾向が強かった。しかし課題が多様化・複雑化し、自治体単独での取り組みは行き詰まりを見せている。日本における街づくりに活用しうるデータプラットフォームの可能性について海外等の事例を基に考察し、今後の動向や課題に加えて、ITプロバイダ企業の関与の可能性なども含めて検討する。
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