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最新動向/市場予測
映像系新興メディア事業者の台頭による放送業界への影響
TMT Predictions 2018
近年、映像メディアを取り巻く変化が顕著になりつつある。日常における映像コンテンツ接触の大半をテレビ放送が占めていた視聴環境は、インターネットの登場以降変化を迎えている。 メディア業界が過渡期を迎える中で起こりつつある変化とその方向性について分析し、今後の放送業界の方向性について検討した。
日本の視点
YouTubeやAbema TV、Hulu、Netflixといった新興系の映像メディアが続々登場し、日本における映像視聴環境は大きく変化しようとしている。
新興事業者による映像配信サービスについては、コンテンツ投資による視聴者の獲得にとどまらず、既存の放送・映像業界の構造自体にも変化をもたらしつつある点にも注目される。配信事業者は潤沢な資金を基にオリジナル作品の制作を行っており、これまで放送事業者や映画会社が主体になっていた映像作品制作の体制に変化をもたらしている。
メディア環境が変化している中においても、既存の放送事業者は、幅広い視聴者のニーズを満たしながらマスメディアとしての役割を継続的果たす必要がある。一方で、特定のジャンルについては、放送局がこれまで果たしてきた価値が新興事業者等により代替される可能性もある。
とはいえそれは「テレビがネットに置き換わる」という単純な構造転換にはならないはずである。視聴されるコンテンツのニーズは多様化し、利用シーンや使用可能な機器、放送受信環境やネットワーク環境による使い分けも起こるだろう。
既存の放送事業者が活用可能な経営資源には限りがあるため、マスメディアとしての価値を果たすことを前提としつつも、市場環境を丁寧に調査分析したうえで注力すべき領域やジャンル等を定め、メリハリを持った事業展開を進めることが求められるのではないだろうか。
具体的には、(1)コンテンツの内容、(2)コンテンツの制作・調達、(3)放送事業でのマネタイズの方向性、(4)海外展開等による放送外収益確保の方策、の4点において、目指すべき方向性を検討し、具体的な方策を実行に移すべきである。
メディア業界が過渡期を迎える中で、新興事業者を含めた各事業者は、短期目線ではなく中長期目線で市場をとらえ、事業を進めることが重要になる。メディア事業者は、各々の市場におけるポジショニングとポートフォリオを再認識し、市場で勝ち残るための方法を既存の枠にとらわれずに模索していく必要があるだろう。
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