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最新動向/市場予測
オンラインの世界でも「生」が魅力
TMT Predictions 2018
グローバル版
デロイトは、2018年のリアルタイム放送およびライブイベントの直接的収益を、前年比1%増の5,450億ドルと予測している。その大部分(5,370億ドル、98.5%)をテレビ広告・有料テレビ視聴契約など従来型のカテゴリが占め、残りがライブストリーミングとeスポーツである。
コンテンツをオンデマンドで利用できる、会場に行かずともリモートでイベントに参加できるなど、メディア接触の機会や手段は続々と増えているが、それでもリアルタイムでのコンテンツ接触の人気は衰えていない。
放送からイベントに至るまで、ライブコンテンツが2018年にも訴求力と収益力を持続するために核となる要素はいくつもあり、ライブコンテンツやライブイベントの魅力を高めるためのデジタルツール活用法も複数ある。デジタル時代の今もなお、「生」の魅力は健在である。そしておそらくどのような場合でも、テクノロジーの活用によってライブコンテンツ、ライブイベントの利用を拡大することができるだろう。
日本の視点
日本では規模は未だ小さいものの、ライブコンテンツ需要の高まりの萌芽が見られているという状況にある。
日本におけるライブコンテンツのニーズの高まりは、スポーツ分野であらわれている。すでに一定規模の市場が形成されているスタジアムでの観戦、従来のテレビ放送でのリアルタイム視聴に加えて、プロスポーツやオリンピックなどのコンテンツのインターネット経由でのライブ配信が行われるようになり、視聴数が増加している。音楽に関しても、ライブ市場の拡大とともに、メディアによる生中継やインターネット配信、個人やセミプロに焦点を当てたライブプラットフォームの盛り上がりが見られている。
世界的に見ると、資金力のあるプレイヤーがライブコンテンツの放映権を取得し、グローバルにサービス展開する傾向がますます強まっていくことが想定されるが、その中に日本企業がどのように入り込んでいけるかも論点となる。
未だ注目されていないスポーツ観戦のニーズを掘り起こし、そのスポーツならではのライブでの楽しみ方を洗練させて輸出する方法や、あるいは海外ライセンスを獲得し別の収益モデルとの掛け合わせとのトータルで利益を創出する方法など、様々な方向性が考えられる。
ライブを取り巻くニーズを見極め、うまく機能するビジネスモデルを構築して収益源にできるかという点は、難しい試みかもしれないがビジネスを拡大するチャンスでもある。ライブ市場で魅力を発揮するコンテンツを擁し、他社と差別化したサービスを提供するプレイヤーの出現が期待される。
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