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半導体業界におけるIoTの事業機会

半導体企業の未来: IoT活用社会に向けて取るべき戦略とは

ムーアの法則が限界を迎え製品のコモディティ化が進む中、半導体企業は利益と株主価値を最大化するために、サービスの多様化に迫られています。その半導体企業のイノベーションと成長実現の選択肢として浮上してきているのがIoT市場です。立ち上がりつつあるものの細分化されたIoT市場での事業機会と取りうる戦略を、特に重要な5つの分野、産業用、自動車、スマートシティ、ヘルスケア、消費者向けにおいて考察します。

岐路に立つ半導体企業

半導体は私たちが日常生活で使用するすべての電子機器の基盤となっています。一日を始めるための目覚まし時計や電子レンジから、仕事に使う携帯電話やノートパソコンに至るまで、私たちが頼りにしているものの多くは半導体チップによって動いています。

このように多くの場面で必要とされているにも関わらず、半導体企業は3つのトレンドにより重大な岐路に立たされており、ビジネスを成長させるための新しい戦略が模索されています。

半導体業界の3つのトレンド

  • 製品の性能がピークに達しつつある:長い間実証されてきたムーアの法則の限界が見えてきている
  • 業界全体の経済的利益の低さ:製品がコモディティ化している場合には利益率が低く、需要の大きい製品であっても売り出しの失敗などで長い期間をかけて獲得した利益が損なわれてしまう
  • テクノロジーバリューチェーンにおける破壊的なイノベーション:半導体企業は、チップの販売よりもインテグレーション、ソフトウェア、サービスからより多くの価値を見出しているが、これらへの対価を顧客から十分に得られていない
レポート全文〔PDF, 12.7MB〕

IoT市場で半導体が果たせる役割と価値

こうした環境において、半導体企業は自己改革に挑み、合併・買収によって利益率を向上しスケールメリットを狙う、あるいは製品ポートフォリオを拡大し、IoTのようなより収益性の高い市場セグメントに移行する、といった取り組みを行っています。デロイトはモノのインターネット(IoT)の市場において、エンドユーザーに価値を提供することが半導体企業に事業機会をもたらすと考えます。

IoTデバイスやセンサーは、さまざまな業界でデータの収集と処理に重要な役割を果たします。それらによって新しいサービスが生まれ、コスト削減の事業機会が創出される可能性があり、新たな発見から洞察を得て、品質問題をより早く発見し、アウトプットを改善するのに役立つのです。

ヘルスケアや自動車など一部の産業では、人々の命を救うことさえ可能とされます。IoTセンサーやデバイスが周囲を感知し、その状態を伝え、収集されたデータを処理してその環境に最適な対応を判断する能力は、非常に有望であり、大きな市場規模も期待されています。

しかし、増収による利益増を実現するためには、半導体企業は製品開発と市場戦略をIoT市場のために適応させる必要があります。

半導体企業はIoT戦略をどのように考えるべきか

この市場で価値を創造するためには、半導体企業はもはや単なる部品プロバイダーであることはできません。IoTスタックの要件全体を把握し、場合によっては市場での普及を容易にするため、事業化に必要な包括的なソリューションを作り出す必要があります。

下図は代表的な電子機器内のサブシステムで構成される典型的なIoTスタックです。半導体企業には、感知、分析、通信、セキュリティの4つの主要分野で製品とサービスを提供する事業機会があります。さらに、スタックの他領域でサービスを提供するという未開拓の分野での事業機会も考えることができます。

IoTにおいて半導体企業は電子機器内のサブシステムの構成上、感知、分析、通信、セキュリティの4つの分野でサービスの提供機会があります。

半導体企業への示唆

IoT市場は大きな事業機会が期待できるものの、急速に成長する細分化された市場であるため、製品開発および市場開拓で様々な課題が存在します。このレポートは以下のポイントを考察し、半導体企業がとるべきアプローチへの示唆を提供しています。

  • 産業別のニーズを踏まえた市場戦略の概要
  • 主要5分野(産業用、自動車、スマートシティ、ヘルスケア、消費者向けのIoT市場)の規模と動向
  • 各市場でのアプリケーションの例と、求められる成功のための要件
  • 各市場での半導体デバイスを超えた事業機会の可能性

また日本の視点から日系半導体企業にとってのM&Aの方向性と、IoT時代のセキュリティ管理についても提言しています。

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