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メディア業界におけるブロックチェーン

メディア業界の新たなゲームチェンジャー

メディア業界ではデジタル化が広がりコンテンツの流通形態が多様化する中で、IP(知的財産)等の収益化において様々な課題が生じてます。「コンテンツがいつでもどこでも手に入る」世界が今後も加速度的に広がる現状は、これまでの「一元管理」を前提としたメディアのビジネスモデルに大きなインパクトを与えており、その観点から、ブロックチェーンがもたらす課題解決とパラダイムシフトについての検討がより重要になってきています。

メディア業界におけるブロックチェーン

 メディアのバリューチェーン上には、コンテンツの第一の作成者であるアーティスト、アグリゲーター、プラットフォームプロバイダのほか、著作権料の支払いを扱う徴収機関など、多種多様なプレーヤーが存在しています。しかしブロックチェーンの技術がこの業界の構造を大きく変えるかもしれません。
 ブロックチェーン技術の用途の中にはまだ現実的とは言えないものもあり、さらなる技術の進歩が必要ですが、支払手段を中心とする適用例は既に有効であることが分かっています。新しいブロックチェーンベースの支払いと契約という選択肢は、価格決定、広告、収益分配、著作権料の支払手続きを根本的に変える可能性があり、メディアのバリューチェーンの一部は既に脅かされつつあるといえます。

メディア業界におけるブロックチェーン (1MB, PDF)

メディアのバリューチェーンにおけるブロックチェーンの主な影響

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本稿では、ブロックチェーンの概念がメディア業界に与える影響の可能性を実感できる、5つの適用例を紹介しています。詳細についてはレポートをご参照ください。

 

1. 有料コンテンツの新たな価格決定方法

 消費者は個人的なコンテンツ体験を求めている。既存のコンテンツポートフォリオ(テレビ、新聞、ラジオなど)を補足するように、好みのサービスで提供される動画ブログ、画像、個別の記事、ニュース、短編動画の視聴を望んでおり、音楽や動画のストリーミングサービスの成功がこの傾向に拍車をかけている。

 

2. アグリゲーターを回避するコンテンツ

 有料コンテンツは勢いづいているが、オンラインメディアのマネタイズは依然として広告に大きく依存している。デジタルコンテンツに支払ってもいいという風潮がまだ広まっていないため、今後10年間は広告ベースの配信モデルが重要であり続けると考えられる。しかしこれまでのデジタル広告のエコシステムは複雑で、無数のステークホルダーが関与しており、コンテンツ作成者と広告を出稿しようとする企業との間には複数の仲介者が存在するため、デジタルコンテンツの作成者本人が得る収益の取り分は、仲介者が増えるほど小さくなる。またブログやユーザーが作成したコンテンツなど新興のメディア資産の場合、既存の広告プロセスが複雑なために広告ベースのマネタイズが阻害されることもよく見られる。

 

3. 支払われた著作権料の分配

 現在、支払われた著作権料の分配は、アーティスト、制作者、音楽出版社の間の複数契約に基づいて行われている。例えば、ある曲がテレビやラジオやイベントで演奏されたり、オンラインでストリーミングされたりすると、著作権者は支払われた著作権料を契約で定められた割合で受け取るはずである。これが確実に行われるように、全国的な著作権料徴収機関が著作権者に代わって徴収プラットフォームとなり、受け取る権利を持つ当事者に報酬を支払っている。

 

4. セキュアで透明性のあるC2C販売

 ブロックチェーンには、コンテンツの著作権者がC2C(消費者間)販売を活用してさらなる収益源を確保できる可能性がある。P2P(ピア・ツー・ピア)のコンテンツ共有という考え方は新しくはないが、音楽制作者や映画・テレビ制作者にとって深刻な脅威であり続けてきた。なぜなら実際の(メディア)ファイル交換回数とファイルを交換するユーザーの数が多すぎるため、P2Pネットワークとそこでのファイル交換はほぼ制御不可能だからである。

 

5. 国境なき有料コンテンツ消費

 有料コンテンツサービス(有料テレビ、VoD、ストリーミングサービスなど)のユーザーは、出張や休暇旅行などで別の国や地域にいる時、加入したサービスのコンテンツにアクセス出来ない。

 

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