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COVID-19: メディア・エンターテインメント業界への影響

ストリーミング、ライブ、そしてマルチプレイヤーのオンラインゲームなど、コンテンツの需要は急増している一方で、スポーツ中継からドラマ、映画まで、新たな収録や撮影は全面的に中止となりました。こうした中、スポーツのプロリーグやeスポーツ団体などでは、従来とは違ったファン・視聴者とのつながり方が模索されています。広告費は大きな圧力にさらされており、一部の業界では広告を中止しているほか、「ソーシャル・ディスタンス」の取り組みが広がる中で不適切とみなされる広告も出てきています。

COVID-19は、メディアの供給体制、消費のされ方、広告に世界的な影響を与えています。今後現れる潜在的な影響、経営陣が考えるべき問い、そして実務における次のステップを考察します。このレポートは2020年4月3日にリリースしたものです。

潜在的な影響

コンテンツへの需要は増加しているが、制作体制および広告収入が課題

  • テレビ番組(放送およびオンデマンド)、ショート・ビデオ、音楽ストリーミング、オンラインゲームなど、あらゆる形態のメディアに対する需要が急増しており、特に外出禁止の指示が出ている地域において顕著です。場合によってはビデオ・オン・デマンド(VOD)コンテンツが無料または割引で提供されてます。
  • 数週間以内で新コンテンツの供給が止まる可能性があります(例:昼間のテレビドラマ)。現在放送中の新シリーズは収録が休止となる前のものであり、2020年9月までは新しいコンテンツの数は限られる見込みです。
  • コンテンツ需要の急増に伴い、ネットワークの耐障害性と容量に懸念が高まっています。欧州連合(EU)ではストリーミングプラットフォームが動画の画質を落とすことで、ネットワークが圧迫されることなく視聴者がコンテンツを視聴できるようになっています。
  • 広告収入は減少しており、多くのオンラインプラットフォームが売上減を見込んでいます。
  • 広告主は現在の状況を反映したコンテンツを制作し始めています。深刻化する状況の中、無神経な広告に対する消費者の目が厳しくなっているため、広告におけるメッセージの重要性はますます高まると考えられます。

対面でのイベント・エンターテインメントの中断と対応策

  • テーマパーク、コンサート会場、映画館、博物館はすべて閉鎖され、スポーツの生中継は中止になり、収益が全面的に減少しています。
  • スポーツ業界企業は相次ぐキャンセルに直面する一方で、デジタルで視聴者にアプローチする新しい方法を模索しています。ファンにコンテンツを届ける手段としてeスポーツやオンラインの模擬イベントに注目が集まっており、プロのアスリートでさえもeスポーツの大会に参加しています。
  • 多くのeスポーツ・リーグは対面でのイベントの中止・休止を受けて、オンラインのみの競技に移行しました。ファンは新しく魅力的なコンテンツを求めているため、視聴者数が急増しています。
  • 主要な映画の公開は遅れているが、一部のストリーミングプラットフォームでは新作が早く公開されています。
  • ライブショーが中止となり、ミュージシャンたちはオンラインに活躍の場を求め、ストリーミングプラットフォームを頼りにしています。

M&Aが増加する可能性

  • 差別化アセットを確保するため、技術起点のM&Aに新たな光があたると考えられます。資本へのアクセスがある企業が革新的なスタートアップの買収に走る可能性もあります。
  • スタートアップは流動性、企業価値評価額の下落、資金調達難(ベンチャーキャピタルと一般投資家)といった課題に直面すると見られます。キャッシュフローを維持するために雇用凍結やレイオフに踏み切る可能性もあります。

経営陣が考えるべき問い

  • オンライン需要が急増する中で、顧客満足度をどのように維持していくか?
  • 制作体制が止まる中で、新しく魅力的なコンテンツをどう制作するのか。制作者全員が同じスタジオにいるかのような体制を構築するためには、どのような技術が利用できるのか?
  • デジタルチャネルを今までとは異なる方法でどう活用すれば、視聴者との繋がりを構築することができるか?
  • 刻一刻と変化する時代に、コンテンツと広告をどう対応させればよいのか。コンテンツの資金調達に不可欠な広告主をどのように支援できるだろうか?
  • 差別化のために、他社の強みを活かすエコシステムをどう活用していくのか?
  • 中期的な収益の減少を相殺するために、コスト構造をどのように見直すべきか?
  • ビジネスのあらゆる面において自動化をどう最大限に活用できるか? (顧客、従業員など)
  • データプライバシー保護の基準はどう変化しているか。また、それは自社のポリシーにどのように影響するか?

 

実務における次のステップ

メディア・エンターテインメント業界では、危機管理の3つの側面、「対処」「復旧」そして「成長」がカギを握ります。以下が重要な次のステップとなります。

  • 自社の従業員に加え、請負業者や外部の利害関係者など、広範なネットワークに与える影響を算定する。制約がある中でどうコンテンツを制作すべきか、彼らと協議する。
  • 各国および各地域で異なる規制に留意しつつ、コンテンツ制作を再開できる方法を確立する。
  • メディア企業やエンターテイメント企業を対象とした政府の景気刺激策の利用可能性を検討する

組織が実行を検討すべき、さらなるステップについてはこちらをご参照下さい。

Resources for resilient leadership: Explore actions within the three key phases of crisis: respond, recover, thrive

www.deloitte.com/covid19-resilient-leadership

 

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