最新動向/市場予測

Global Tech Trends 2017

The kinetic enterprise

デロイトによるTech Trendsレポートの発行は今年で8回目となる。とてつもないスピードで物事が変化する環境に対峙していく中で、広範囲にわたるテクノロジーの発展動向を長期間トラッキングしてきた経緯から、重要かつ連続性のあるいくつかのテーマを認識できることが、本レポートの魅力である。このTech Trends最新版を読み解くことで、どのような変化が目前に迫っているのかをより明確に理解する一助としていただきたい。ゲームのルールが今まさに変化しているのだ。

Tech Trends 2017 日本語版レポート

Tech Trendsは今後1年半〜2年の間にビジネスへ明確な影響を与えるものを紹介している。2017年版レポートのテーマはKinetic Enterpriseである。その狙いは、惰性的な企業運営から脱却し、常に変動し、流動的であり続けるビジネス環境で前進するための機敏さとビジョンを備える企業を表現することである。

是非レポートをご覧いただきたい。
 

〔PDF, 4.85MB〕

日本のコンサルタントの見解 目次

組織の垣根を越えるIT

IT変革におけるビジネスのポテンシャル

システムの運用管理と導入方法が進化するにつれ、一部の企業は部門横断的なチームを組成し、IT間のサイロ(縦割り構造)を取り除く試みを始めている。2000年代におけるCIOの仕事に対する社会の共通認識は、単純に「火を灯し続けること」だったが、今日は違う。先見の明のあるCIOは、今後数ヶ月の間にIT部門をより柔軟で組織の垣根を越えるものへと変革させるだろう。

ダーク・アナリティクス

非構造化データに眠るビジネス機会に光をあてるために

多くの企業において、拡大し続けるデータストアは非構造化されたまま分析も手つかずとなっている。画像やオーディオ、ビデオファイル、あるいはIoTから生成されるセンサーデータ、深層ウェブに眠る莫大なローデータ等、新たな種類のデータから情報を探索することが出来ている組織はほとんど無い。ダーク・アナリティクスとは、これらのデータを探索し、従来の構造化データからでは明るみに出すことのできなかった、事業戦略やオペレーション、顧客に関する精度の高いインサイトを得ることを狙いとしている。

機械知能(MI)時代の到来

テクノロジーがヒトの認知を模倣して価値を生む

AIは、その急速な発展により、無数かつ多様なケイパビリティを生み出してきた。しかし、その姿については正しく理解されていないこともある。また、AIは、コグニティブ・コンピューティング領域における大きな発展の中で、一部を成すに過ぎない。間もなく、これらと関連するツールが組み合わさり、新しいコグニティブ時代の進化を総称してマシンインテリジェンスつまり機械知能(MI: Machine Intelligence)を構成する世界がやってくるだろう。

複合現実(MR)

より直感的で没入感のある今までにない体験へ

拡張現実(AR)とバーチャルリアリティ(VR)を活用したビジネスの可能性は高まっており、一時的かつパイロット的な取組みだけではなく、日常の業務に適用される事例が日々生み出されている状況になりつつある。複合現実(MR:Mixed reality)は、AR/VRとIoTという異なる技術分野の融和によって作り上げられており、仮想と現実の世界が結びつき、デジタルと現実世界が共存しながら相互作用する、新たな世界が生まれている。

イネビタブルアーキテクチャ

「複雑さ」は「シンプルさ」と「柔軟性」への道を開く

イネビタブルアーキテクチャは、技術革新と成長を可能にする柔軟なソリューションの迅速な開発と展開をサポートするために必要となる基盤を提供する。新技術を取り入れ、システムアーキテクチャが絶え間なく進化することで、ビジネス戦略の展開スピードも速くなり、競争の差別化要因となり得る。

Everything-as-a-service(XaaS):サービス化されていくシステム

サービス化による基幹システムの再創造

多くの企業において既存ビジネスの再整理が進められている。直近で到来しているデジタル化のトレンドの中で、さらなる将来を見据えて、中長期的にビジネスの基盤となりうる「顧客主義・成果ベースのサービス指向プラットフォーム」を実現するロードマップを描くことが必要なのである。こうした状況において、Everything-as-a-service(XaaS)がビジネス上大きなインパクトを与えうるトレンドとして、昨今本格的に検討され始めてきている。

Blockchain:トラスト経済圏

デジタルアイデンティティの制御

ブロックチェーンは、数年前まではビットコインのような仮想通貨に関連する単なる共有台帳技術にすぎないと世間から認識されていた。それが今、分散型台帳においてスマートコントラクトが執行できるようになったことで、「未成熟な仮想通貨」という世間の認識から脱却しつつあり、「トラスト経済圏」の守護者という新たな役割を担おうとしている。

飛躍的進化が期待される技術のウォッチリスト

イノベーションの兆しが見えるテクノロジー

ナノテクノロジーや高度エネルギー貯蔵技術、合成生物学や量子テクノロジーのビジネスへの応用等、本章で扱う「技術の飛躍的進歩」は、まだ兆しがわずかに表れてきているにすぎない。これらが現実のものとなるのは、今後2年~5年のことと思われる。しかし、現実となった際には、市場に与える影響はまさに飛躍的に拡大していくだろう。

Global Tech Trends 2016

Innovating in the digital era

テクノロジーに大きな変革をもたらす事象への理解を深めるため、デロイトでは毎年Global Tech Trendsを発行している。Tech Trends 2016は、今後1年半~2年の間にビジネスに大きなインパクトを与えるだろう8つのトレンドに焦点をあて、また各トレンドが計画・設計・導入される段階において企業内統制の立場からサイバーリスクをどう捉えておくべきか考察している。

日本語版発行に寄せて

2015年からTech Trendsの日本語版を発行して今回が3回目となる。2016年度版の発行後は多くの問い合わせや講演の機会をいただき、日本企業の情報システム部門や情報サービスを提供している部門の方々の注目が集まっていることを肌で感じることができた。

昨今では情報システム部門のみならず、いわゆる事業部門の方々や経営層から問い合わせをいただくことが多くなり、事業戦略や経営戦略を策定する上でテクノロジーが重要な要素となってきていることを想起させる状態である。その意味から今回のTech Trends 2017は企業の今後の戦略を考えていく上で、欠かすことができない要素を多く含んでいるものとなっている。

テーマは2016年度版から大きく変わっているわけではなく、よりその内容が高度化あるいは実用的に変わってきている。特に2017年度版ではダーク・アナリティクスやマシン・インテリジェンスのような大量のデータ収集とその後の大量データ解析を自動化していく世界に目が向けられている。これは単に分析の重要性、やり方を説いていた世界から、いかに日々のビジネスオペレーションにテクノロジーを無意識のうちに取り入れるのかという点にフォーカスが当たってきている現れと言えよう。

アナリティクスに限らず、あらゆるテクノロジーが自動化という方向へ進んでいることは本書を読むことでおわかりいただけるだろう。最も日本企業が理解すべきことは、グローバル先進企業において、日々のビジネスオペレーションがこれらの自動化の動きを受けて高度化しており、その波に乗り遅れると経営スピードの面、コスト競争力の面で大きなディスアドバンテージを抱えることになってしまうということである。テクノロジーが進歩するスピードは凄まじく、相当なディスアドバンテージを既に抱えている日本企業は少なくないと個人的には感じている。そのような企業に、グローバル競争に生き残る取り組みの一環として、Tech Trends 2017を活用していただければ幸いである。

安井 望
ジャパン テクノロジー リーダー
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 パートナー

日本語版発行に寄せて

Tech Trends 2017: The kinetic enterprise

お役に立ちましたか?