最新動向/市場予測

Tech Trends 2016 - 技術の飛躍的進歩がもたらす社会へのインパクト

CSR2.0

我々は破壊的な技術革新の責任ある使い道について、企業の担うべき役割がますます高まっていることを認識しなければならない。その役割とは、倫理的にも商業的にも価値のある変化、社会的なインパクトを生み出す仕組みを構築する方法を見出すことである。社会的インパクトを生み出す「飛躍的進歩」の活用は、新たなる市場を形成し、テクノロジーの普及を促し、トップ人材を惹きつけ続けることに役立っている。今後、組織は「技術の飛躍的進歩」を活用する場合の倫理やモラルの問題(セキュリティ、プライバシー、規制、コンプライアンス、安全、品質といった伝統的なリスク事項)について更に検討を進めることが求められる。

社会的インパクトへの取組みに関する企業タイプ

日本のコンサルタントの見解

欧米先進企業CIOの高い視座

本章では、“技術の飛躍的進歩がもたらす社会へのインパクトCSR2.0”と題して、当テーマに関する欧米先進企業の取組みを中心に紹介した。ここでは主に以下の点が明らかになったと考えられる。

(1)先進的な欧米企業においては、進歩する技術を活用して社会的課題に取組むことが社会的側面及び商業的側面の両面において、大きな意味合い・メリットがあると本気で考えていること。

(2)こういった社会的な課題に対する取組みを行わない企業は魅力がない企業とみなされ、人材採用という面から見てもデメリットが大きいこと(ミレニアル世代に限らず)。

(3)社会的課題に対して技術を活用することはリーダー、とりわけCIO(Chief Information Officer)の大きなミッションの一つと考えられていること。つまり、CSR自体は古くからのテーマかもしれないが、そこにいかに先進技術を活用していくのか、という点についてリーダーが本気で考え始めているということだ。

日本企業のCIOの現状は?

翻って、日本企業のCIOの現状はどうだろうか。デロイトが毎年実施しているGlobal CIO Survey 2015の結果を見てみると、興味深い事実が明らかになる。

CIOの関心を示すビジネスプライオリティとして、グローバルのCIOは、第1に業績(48%)、次にイノベーション(45%)、コスト(45%)、顧客(45%)、市場拡大(44%)を重視しているのに対して、日本のCIOは、顧客(50%)、コスト(42%)、イノベーション(40%)、業績(23%)、市場拡大(19%)となっている。

グローバルのCIOと比較すると、特に業績への貢献(財務諸表上のパフォーマンス/利益・売上の向上)や市場拡大(新規市場・地域への参入)に対するプライオリティを低く考えている。

つまり、技術を活用して新しいビジネスを生み出すのに貢献することを重要なミッションと考えているグローバルのCIOと比較すると、残念ながら視座が低い結果となってしまっている。また、日本のCIOは自身が“テクノロジーのビジョンを持ちリーダーシップを発揮する力”が必要だと考える一方で、実際にはそういった力を持ち合わせていないと感じているCIOが非常に多いという結果も出ている。

日本企業CIOのチャレンジ

前述のように、グローバルのCIOと比較すると現状の視座の低さは否めない部分もあるが、ここは考え方一つで変化できる部分であるとも言える。

いきなり先進的な欧米企業のCIOのレベルを目指し、新技術を用いた社会的課題解決を自分のミッションに掲げる必要はないかもしれないが、技術の新ビジネスへの活用を自分のミッションと捉えることは素直に見習って自身のミッションにするべきではないだろうか。

昨年弊社が刊行した「Tech Trends」において、「CIOは単にシステムの保守運用、更新や新規導入といったITの面倒を見る責任者としてではなく、企業競争力をテクノロジーを使って生み出すために、様々な社内外の部門と連携し、リードしていく役割を担わなければならない。

Chief Information OfficerだけではなくChief Integration Officerの側面を今後強くしていかなければならない」と述べたが、このChief Integration Officerとしての側面こそがまさに日本企業のCIOに重要であり、これから社会的課題に取組んでいくための端緒にもなると考えられる。

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