調査レポート

出生前検査に関する実態調査研究事業報告書

本調査研究レポートは、母体血を用いた出生前遺伝学的検査(以降NIPT検査)について、国内の実態調査として全国の衛生検査所調査、NIPT提供施設調査、受検者調査等を実施しました。また、諸外国におけるNIPT検査に係る法制度や指針、NIPT検査の受検要件、カウンセリング体制等の実態を調査しました。(※ 本調査研究事業は、厚生労働省 令和元年子ども・子育て支援推進調査研究事業として実施したものです。)

調査研究事業の背景・目的

母体血を用いた出生前遺伝学的検査(以降 NIPT 検査) について 、2013 年 3 月に日本産科婦人科学会が 「 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針 」 を策定し、 関連 5 団体 日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本人類遺伝学会の連携のもと、本指針に基づき臨床研究としてNIPT検査が実施されてきました。
厚生労働省では、臨床研究終了後の今後のNIPT検査の在り方について改めて必要な議論を行う必要性があるとし、実態調査を行うこととしました。そこで本調査研究事業では、NIPTの在り方検討に資するための現状把握を目的として実施しました。

*本調査研究事業は、厚生労働省 令和元年子ども・子育て支援推進調査研究事業として実施したものです。

 

調査研究事業の内容

令和元年9月25日から令和2年3月31日までに以下5つの調査を実施しました。

 
  • 調査A:NIPTに関する衛生検査所調査
  • 調査B:国内におけるNIPT受検施設に関する実態調査
         ① 施設情報調査 ② ヒアリング調査
  • 調査C:NIPT受検者調査
  • 調査D:海外におけるNIPTに関する実態調査

 

調査研究事業の結果

  • 調査A:NIPTを受託する国内衛生検査所33施設から回答があり、うち31施設は海外検査所に検査解析を再委託する等、検査内容や流通構造について実態把握ができました。
  • 調査B ①:非認定施設は産婦人科、遺伝診療科以外の民間クリニックの参入が多く、事業形態は単独型・連携型の2類型あり、NIPT検査前の遺伝カウンセリング内容や検査後フォローアップ状況、費用等が把握できました。
  • 調査B ②:認定・非認定施設ともに遺伝カウンセリング及び臨床遺伝専門医の重要性を強調していました。認定施設は自施設で完結できる診療体制がある一方、民間クリニック等非認定施設では陽性時に確定検査できる施設と他院へ紹介する施設に分かれました。
  • 調査C:受検者はNIPTの検査精度に係る知識を全員が理解して受検していませんでした。また、受検者の4割が認定制度を知らず、知っていても受検施設が認定施設であるか把握していませんでした。
  • 調査D:公的補助はイギリス、イタリア(一部の州)、スウェーデンで導入済、ドイツは2020年開始予定、台湾は現在自費診療でした。

調査研究事業のまとめ

本調査研究事業では、認定施設からは十分な調査協力が得られ、非認定施設についても施設情報調査、ヒアリング調査協力により実態把握できました。他方、非認定施設の受検者からのWeb回答は回収に至らなかった点が課題ですが、本調査の成果は今後の我が国におけるNIPT提供の在り方の検討に活用可能であると考えます。

<本調査研究事業の報告書>

■出生前検査に関する実態調査研究報告書(右よりダウンロードできます)

厚生労働省こども家庭局の検討会のホームページに詳しい情報が掲載されています。

「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」( ※ 外部サイト(厚生労働省)に移動します。)

本調査研究に関するお問合せ先

有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部  ヘルスケア 

柚木 大介|シニアマネジャー
財満 信子|マネジャー

E-mail : dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp

 

※上記の部署・内容等は掲載時点のものとなります。2020/08

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