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不正発生時のJ-SOX対応

不正発生時にはJ-SOX対応が必須である

内部統制報告書における開示すべき重要な不備の起因別分析では、不正起因による不備開示が依然と多く発生しています。 不正発生時には第三者委員会等の調査が注目を集めますが、J-SOXへの対応も忘れてはいけません。上場企業においては、不正の発生原因を究明するとともにJ-SOXへの対応が必須となります。

不正を起因とした「重要な不備」の開示が後を絶たない(2020年6月末時点集計)

近年、不正を原因とした開示すべき重要な不備の件数は上昇しており、特に親会社の目の届きにくい海外子会社の不正が目立ちます。グローバル化による地理や言語等の問題により、親会社の子会社に対するコントロールが不足し、全社的な内部統制の不備として開示されるケースがあります。

直近における不正を原因とした開示すべき重要な不備の開示件数と割合(2020年6月末時点集計) :

直近における不正を原因とした開示すべき重要な不備の開示件数と割合
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2015年3月31日~2020年3月31日決算日の内部統制報告書を基に有限責任監査法人トーマツにて作成
※ 2020/3/31~2021/3/30開示決算日の開示件数は、6月末時点での集計



COVID-19下における不正の増加

COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の影響により、リモートワーク導入等、業務オペレーションが変更され、モニタリング体制が脆弱になる可能性があります。

公認不正検査士協会(ACFE)「不正に対する新型コロナウイルスの影響 ベンチマークレポート (評価報告書)」において、回答者の68%がCOVID-19発生後、不正や詐欺の全体的な発生頻度の増加を認識しています。(2020年5月時点)また、回答者の93%が今後不正の発生頻度が増加すると予測しています。*1

 *1 出典:https://www.acfe.jp/upload/Covid-19-Benchmarking-Report_J.pdf



不正発生時は、即時にJ-SOXへの影響を検討しなければならない

不正発生時には、第一歩として原因究明が必要であることは言うまでもありませんが、J-SOXの評価対象範囲内で不正が発生した場合、期末日までの短期間でJ-SOX評価への影響の検討を即時に実施する必要があります。

不正発生時の不正調査とJ-SOX対応例:

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J-SOX対応における留意点:

① J-SOXへの影響範囲の検討

  • 不正発生拠点と不正発生プロセスを特定する。
  • 不正発生がJ-SOX評価対象範囲内か否かを特定する。

② 有効性評価への影響の検討

  • 不正がJ-SOX範囲内から発生した場合、量的重要性、質的重要性の両面からJ-SOXにおける有効性(不備)評価を実施する。

③ 内部統制の改善と再文書化

  • 不備発生プロセスに対して、内部統制を改善し、再文書化を行う。

④ 内部統制の再評価

  • 内部統制再構築結果について、整備状況と運用状況の面から再評価を実施する。

⑤ 監査人対応

  • 期末日において不備が改善されない場合、経営者自らの再評価結果について監査人と協議を実施し、内部統制報告書の評価結果への影響を決定する。



有限責任監査法人トーマツは、不正発生時の迅速なJ-SOX対応をはじめ、各種の不正や内部統制・J-SOX対応を支援します

有限責任監査法人トーマツは、過年度より蓄積した不正や内部統制に関連するデータを保持しています。また、数多くの不正および内部統制関連のサービス提供実績で得た知見を活かして、不正発生時のJ-SOX(内部統制)対応に加えて、不正や内部統制・J-SOXに関連した対応支援が可能です。

・リモート環境下での内部統制・J-SOX対応
・テクノロジー活用による業務自動化に伴う内部統制・J-SOX対応
・システムの導入・変更に伴う内部統制・J-SOX対応
・不正リスクを防止するグループガバナンスの状況調査や体制整備支援
・アナリティクスを活用したモニタリングサービス 等

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