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ドローンを取り巻く現状 《前編》

ドローンがニュースを賑わせている。ドローンはこれまで映像制作や農業など、プロ向け、業務向けの製品が多かった。しかし、小型で安価な製品が大量に出てきたことで、ユーザーも急激に増えている。新しいカテゴリーとして認識されつつあるものの、法整備も追いついていない状況だ。ここでは、ドローンの現状や問題点、可能性などについて、2回に分けて紹介していく。今回はドローンの定義と頻発する事件や事故から見える問題点についてまとめていく。

ドローンの定義

ドローンといえば、撮影機能を持った空飛ぶラジコンといった印象を持つ読者が多いのではないだろうか。実際には、ドローンの定義は広く、卓上で飛ばせるようなラジコンのマルチコプターから、米軍が実践に投入しているUAV(無人偵察機)までドローンと呼ばれている。重量も数十グラムから20kg超まで様々だ。

現在、国内においては国土交通省でドローンの利用を規制する動きがある。その規制案によれば、ドローンは「遠隔操作、自動操作での飛行が可能」で「構造上人が乗れないもの」と定義されている。つまり、前出のマルチコプターやUAVに加え、農薬散布などに使用される農業用ミニコプター、メディア撮影用ミニコプター、輸送用マルチコプターなども含まれることになる。

ドローンの有効性

ドローンの有効性は以前から注目されている。世界に目を向けると、既に配達に活用されるなど、実用に向けた動きが加速している。また、あまり知られていないが、日本においては農業用ミニコプターが世界を先行している。実は、すでに30年近い歴史がある。オートクルーズ機能を搭載するものから、コントローラーから手を離しても自動的にホバリングするものまで優れた機能を搭載している。中でも注目を集めているのは、複数のプロペラを持つ、いわゆる「マルチコプター」だ。プロペラの枚数によって「クアッドコプター」(4枚)、「オクトコプター」(8枚)などと呼ばれることもある。それぞれのプロペラの回転速度を調整することで、前進や後退、回転、オーバル飛行などが可能になっており、宙返りなどの操作も可能だ。この自由度の高い操作性により、ドローンはさまざまな分野での活躍が期待されている。

また、ドローンの特徴といえば、プログラミングによる自律飛行が可能であることが挙げられる。人が入りにくいような場所に物資を届けるといった用途に適している。たとえば、冬場は雪に閉ざされてしまうような地域に食料などの輸送や、災害時や遭難者に救援物資を届けることにも適している。これからの高齢化社会では、さらに活用の場が広がるとみられている。

その反面、ドローンが悪用されることについても目を向ける必要がある。例えば、盗撮・盗聴、器物破損、毒物散布など、無人による操作による犯罪は容易に思いつく。これらの犯罪への対策も合わせて考慮する必要があることが、ドローン活用の難しさなのである。

ドローンの事件・事故

最近ニュースを賑わせているのは、趣味で飛ばすようなラジコン方式の小型のマルチコプターによるものだろう。もっとも話題となったのは、2015年4月に首相官邸の屋上でドローンが発見された事件である。発見されたドローンは市販の製品であったが、プロペラやモーターを強力なものに換装されており、さらに機体には発煙筒や容器が取り付けられていた。この事件がきっかけで、爆弾や化学兵器を使ったテロに応用できるとして、政府はドローン規制に本腰を入れた。実は、この手の話は日本だけではなく、米国ホワイトハウスでも起きている。これは2015年1月、警備のシークレットサービスが敷地内を飛ぶ物体を発見し、すぐにホワイトハウスを封鎖する厳戒態勢が敷かれたというものだ。2014年11月には、マラソン大会において、空撮用ドローンが墜落し、大会関係者一名が怪我をするという事故が起きている。

こういったドローン事件の影響は大きく、全国の多くの公園や史跡などの周辺でドローンの規制を行い、またイベントにおいても事前にドローンの飛行禁止を告知するケースが増えた。現在は規制が先行している状況だが、ドローンを活用した産業を振興するためにも、法規制は喫緊の課題といえる。

後編では、国内外の法規制の現状や、ドローンを狙ったハッキングやウイルスといったセキュリティリスクの問題などを紹介する。

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ドローンを取り巻く現状《後編》

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