Posted: 06 Dec. 2022 3 min. read

感情分析の秘めたる可能性

みなさんは以下のような経験はないでしょうか? ー「カードゲームでポーカーフェイスをされてしまい、相手の感情を理解できず、相手にとってうれしいカードを出してしまって負けてしまった。」ー

他にも「肝試しで、本当に怪奇現象が起こるのか?(実はビックリさせられるだけなのか?)わからない中、ドキドキしているものの、顔にはそのような表情は微塵も出さず、「大丈夫。お化けなんて怖くない」と受け答えする。」、「表情は笑っているにも関わらず、ドスの利かせた声で怒っている」などのシーンを見たことはないでしょうか?

人というのは実に複雑で、思っている感情に対し、別の感情を表す表情、言葉遣い、態度を示すことができます。この時に相手の感情がわかれば、適切なアクションが取れたことも少なくなかったでしょう。「他者が感情を読み取る・把握する」というのは長年の課題であり、人間にしかできない・できても一部のシーンとされてきました。しかしながら、近年はDXによって、会話、表情、声色、バイタルデータ等、様々な情報がデジタル化されるようになりました。また、AI等のテクノロジーの進化によりデジタル化した情報から分析する技術革新も相まって、人の感情を把握してアクションを取ることができるようになりました。このような技術体系は「感情分析」と呼ばれています。


例えばコンタクトセンター。お客様の顔は見えませんが、お客様とオペレータの口調や会話内容から、クレームに発展していることを検知し、スーパーバイザーが素早くフォローに入れば、オペレータが安心して業務ができるようになり、離職率低下策の1つにつながります。また、ユーザーのSNSでの投稿や商品レビュー、問い合わせ履歴など、インターネット上のテキストデータをもとに商品に対する好感度を調べ、マーケティング活動に生かすこともできます。他にも、従業員のオフィス入退室時の表情から、従業員の精神状態をタイムリーに把握、適切な指導・サポートを実施することにより、従業員のストレスを日常的に軽減させ、離職率低下にもつながります。


このように様々なシーンで人の感情を読み取り、アクションにつなげるケースが始まっています。


今はまだ、感情分析を身近に感じるシーンは少ないかもしれません。しかし、各種調査会社のレポートによると、感情分析はビジネスをはじめとして日常生活のさまざまなシーンに浸透することが予測されており、市場規模として、今後3~5年程度で3兆円以上の市場が形成される見通しであり、年間10%以上の成長率となるという報告があります。1

このような背景からDeloitte AI Institute では、感情分析をInnovation Technologyの1つとして着目し、企業・社会での利用可能性、使用にあたっての課題・リスク等について、説明していきます。


1 Markets and Markets社では2020年では195億ドル、2026年では371億ドルと予測。Allied Market Research社では2016年では58億ドル、2023年では339億ドルと予測。Maximize Market Research社では2019年では57億ドル、2027年では532億ドルと予測。Market Research Future社では2023年までに250億ドルと予測。との報告がある

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