Posted: 29 Jan. 2024 4 min. read

【開催レポート】生成AI時代をリードするプラットフォームでビジネス価値の最大化を促進

~世界の潮流を踏まえた生成AIの活用とガバナンスを両立~

2023年11月30日に「生成AI時代をリードするプラットフォームでビジネス価値の最大化を促進 ~世界の潮流を踏まえた生成AIの活用とガバナンスを両立~」を開催しました。

本ウェビナーでは、生成AIの時代が到来し、その波に乗るための知識と理解が求められる中で、生成AIの活用方法とその有効性について深く掘り下げるとともに、新たな規制に対応するためのリスク管理とガバナンスの重要性について解説しました。ウェビナーはデロイト トーマツ グループとDataiku Japan株式会社の2社の共催で開催し、それぞれの生成AIの専門家が、生成AIの具体的な活用方法と、迫りくるEU AI Act(AI規制)案への対応策についてデモを交えて紹介しました。

本記事ではウェビナー内容の要約をお届けします。

※本稿は2023年11月30日ウェビナー開催時点の情報です。

講演内容

1. 生成AI活用とガバナンスの重要性(有限責任監査法人トーマツ 山本優樹)

2. 生成AI活用とガバナンスのプラットフォーム(Dataiku Japan 桂井良太、河原﨑剛)

3. 生成AIとガバナンス(有限責任監査法人トーマツ 原嶋瞭)

4. 生成AI活用とガバナンスのプラットフォーム(Dataiku Japan 河原﨑剛)

5. 閉会挨拶(Dataiku Japan 佐藤豊)

 

1.生成AI活用とガバナンスの重要性

生成AIの活用とリスク対策にはリテラシーの向上が必須である

本ウェビナーの最初のセッションでは、有限責任監査法人トーマツの山本より、生成AIの活用とガバナンスの関係性が示されました。山本は、既存のAIと生成AIの違いについて、既存のAIは既知のデータの特徴を元に、未知のデータ予測や判定に用途が集中していること、一方で昨今登場した生成AIは特定の用途に縛られずにさまざまな用途に対応できると説明しました。

山本 優樹
有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー

 

生成AIは「情報収集」、「創作」、「新たな洞察の獲得」という3つの特性によって、より多くの領域に影響を与えていることを述べました。一方、その汎用性はリスクの多様化も引き起こすため、利用者や開発者のリテラシー向上が重要になると説明しました。生成AIの導入においては、ユーザーが具体的な用途の達成や評価を行うようになり、AIの知識を身につける必要が出てきたことを示しました。また、そのような状況においては、特にプラットフォームが生成AIのビジネス導入における重要な要素であることを強調しました。生成型AIモデルの活用とリスク対策については、人とAIの連携が重要であり、プラットフォームに関連した部分については、システムと人による対策の組み合わせが重要であると述べました。

 

 

2.生成AI活用とガバナンスのプラットフォーム

ガバナンスの効率的な実現にはプラットフォームが鍵となる

次のセッションでは、Dataiku Japan株式会社の桂井が、生成AI活用とガバナンスのプラットフォームについて説明しました。Dataiku社のプラットフォームは、特定の言語モデルに依存せず、既に実用段階にあると主張しました。また、Dataikuプラットフォームは、データの準備から機械学習モデルの作成、デプロイまでを一つの場で完結し、さまざまな役割の人々が協働できるように設計されているため、データガバナンスを効果的に実現できることを紹介しました。

桂井 良太
Dataiku Japan株式会社 マーケットデベロップメントディレクター


Dataikuプラットフォームの生成AI機能の特徴は、特定のAIに依存するリスクを回避していることであり、これによりデータ移行や生成AIモデルへの接続が容易となるため、コスト管理や個人情報の検出、監査記録などが一元管理できると述べました。生成AIのガバナンスについては、承認のワークフローや監査証跡の監視、バイアスの評価などを行い、人間が結果を確認する仕組みも組み込んでいることを説明しました。

続いてDataikuプラットフォームを画面操作しながら行うデモンストレーションが実施されました。そこでは、データのパイプラインを作成し、データをクレンジングして機械学習のモデルを作成できることや、ビジュアライズされた直感的なユーザーインターフェースを利用してデータの変更や可視化が可能で、レシピと呼ばれるパーツを画面上で組み込むことで生成AIが容易に使用可能であることが示されました。

 

 

3.生成AIとガバナンス

各国の生成AIへの規制動向を注視する必要がある

次のセッションでは、有限責任監査法人トーマツの原嶋が、生成AIに関する法律やガイドラインについての現状を説明しました。原嶋は、AIに関する法律やガイドラインの位置づけについて説明し、これらが制定されるアプローチは国や企業により異なることを指摘しました。例えば、日本は国と企業が協力しながら検討すること、中国は早期に法が制定されたこと、米国は各州で独自の整備が行われていることが特徴的であると述べました。

原嶋 瞭
有限責任監査法人トーマツ
 

また、日本を含む各国の生成AIガイドラインの策定状況についても触れました。特にEU AI Actと呼ばれる法案は、リスクの高いAIの使用を制限する強力なもので、適切なリスク管理が行われない場合には罰金が科される可能性があると説明しました。最後に、今後も生成AIの規制動向を注視する必要があることを伝えました。

 

 

4.プラットフォームを活用したガバナンスとは

プラットフォームを活用して効率的な生成AI管理を実現する

最後のセッションでは、Dataiku Japan株式会社の河原﨑が、EU AI Actへの対応とそのガバナンスの重要性を語りました。高リスクなAIを使用する場合、データサイエンス、変更管理、オペレーションの観点から多様な対応が必要で、シスマチックなアプローチが求められます。EU AI Actに対応するためには、非常に複雑なプロセスを伴うことに触れ、モデルの数が増えると管理コストも増大し、EU AI Actに違反するリスクや機会損失などのコストが発生する可能性を指摘しました。

河原崎 剛
Dataiku Japan株式会社 シニアパートナーサクセスマネージャー


後半では実際にDataikuプラットフォームを活用したデモンストレーションを実施しました。EU AI Actへの対応を迫られたプロジェクトがあると仮定して、リスクの検討、分類、定義を行い、EU AI Actに合わせて情報を追加できることを画面上で示しました。また、作成が求められる技術文書について、モデルに対するデータの流れなどをPDFで出力することや、必要な文書を自動生成することができると紹介しました。Dataikuプラットフォーム上では、承認行為を含めて記録を残すことができるため、管理コストの削減につながると述べました。

 

 

5.閉会挨拶

生成AI活用により創造力とビジネス価値の最大化を促進する

最後に登壇したのは、Dataiku Japan株式会社の佐藤です。佐藤は、日本の組織におけるAIとDevOpsの導入は遅れているが、デロイト トーマツとの提携を通じて、これらの導入による創造力とビジネス価値の最大化を目指していると語りました。

佐藤 豊
Dataiku Japan株式会社 カントリーマネージャー


また、AIの普及は「楽をする」(効率化)、「楽しむ」(不可能を可能に)、「夢を見る」(新たな可能性)の3つのステップがあると述べ、関与者全員が参加するデータプラットフォームの構築が重要だと説明しました。最後に、AIの実践には継続的な学習、コラボレーション、ガバナンスなどの検討が必要であり、デロイト トーマツとDataikuは、これらをサポートする戦略パートナーとして活動している旨を紹介しました。
 

(文責:有限責任監査法人トーマツ 原嶋瞭)

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