Posted: 13 May 2024 5 min. read

開催レポート・量子コンピューティングで生み出す創薬の新たな世界(開催日 2024/2/13)

2024年2月13日(火)、世界のトッププレイヤーを招き、量子コンピューティングが製薬業界に引き起こすインパクトについて語り合いました。世界最大の量子ベンチャーキャピタルであるQuantonation、PsiQuantum、PASQALなどの名だたる海外スタートアップが最先端の動向を紹介しました。

これまでの創薬プロセスを大きく変えていくと言われる量子コンピュータ。第一幕では国内外の医療界、子業界のトップランナーたちが、量子×製薬で巻き起こるインパクトについて語りました。

量子コンピュータはこれまでの創薬プロセスを大きく変えると期待されています。今回のイベントでは、国内外の医療界と量子業界のトップランナーたちが、量子と製薬の融合がもたらすインパクトについて語りました。

デロイト トーマツ コンサルティングの量子技術統括、寺部雅能氏は、海外でのライフサイエンスと量子コンピュータの取り組みやデロイトが進める量子スタートアップとの共同実証の紹介をしました。

 

デロイト トーマツ コンサルティング 量子技術統括 寺部雅能

数々の世界初実証や海外連携によって量子コンピュータの産業界を黎明期よりリードしてきた寺部から、海外で起こっているライフサイエンス×量子コンピュータのイニシアチブの動向やビジネスインパクトをご紹介した後、デロイトがグローバル600名体制で取り組む量子スタートアップとの共同実証やエコシステム形成の取組について紹介をしました。

Quantonation社 代表 Christophe Jurczak氏

世界最大の量子ベンチャーキャピタルであるQuantonation社は名だたる量子スタートアップ20社以上に投資し、成長を支えてきたChristophe Jurczak氏から世界の量子分野への投資が増加トレンドであることや、カナダのシャーブルックで開始したスタートアップインキュベーションの取り組みもご紹介しました。

Qubit Pharmaceuticals社 CEO Robert Marino氏

同社では、スーパーコンピュータとの連携によって早くから量子コンピュータによる優位性を目指すアプローチでの量子コンピューティングを使った創薬アプリケーション開発の取り組みと、創薬シミュレーションプラットフォームの事例を紹介しました。

PASQALからCEO Georges-Olivier Reymond氏

フランスに拠点を置くヨーロッパ最大級の量子コンピュータハードウェアスタートアップ企業であり、ヨーロッパで最大級の投資を集めている、フランスの中性原子型量子コンピュータを開発するスタートアップであるPASQAL社。ゲート型の開発を見据えつつも、既にアナログシミュレータと呼ばれる、早期に優位性を享受することを目指した量子コンピュータを開発しています。エネルギーや創薬など幅広い領域での実証についてご紹介しました。

Nord Quantiques社President & CTO Julien Camirand Lemyre氏

カナダに拠点を置くNord Quantiqueは現在世の中で大きな話題となっている量子コンピュータのエラーを訂正する誤り訂正技術において、ボゾニックコードと呼ばれる究極の方式を実現可能な新たな超伝導量子コンピュータを開発している。ハードウェアの開発ビジョンや、既に進めている創薬への応用を目指した産業界との取組について紹介しました。

Psi Quantum社 CEO Jeremy O’Brian氏

Psi Quantum社も誤り訂正技術に強みを持ち、自社開発の光量子コンピュータ開発ロードマップを発表しています。今回は海外製薬企業との量子アルゴリズム開発の取組に特に焦点を当て、先進的な量子×創薬の取組を紹介しました。

先進的かつ分野特化なトピックを扱うイベントながら、80名の方に参加いただき、盛況となりました

第二幕では、登壇者を交えた懇親会を実施いたしました。

普段は交流することのできない海外スタートアップの方や量子コンピューティング研究者、製薬企業の方々が普段聞けない国内外の最前線のお話を熱心に会話されていました。参加者の方々からは「こんなにグローバルで取り組みが進んでいるとは思わなかった」といった声があがりました。イベントは19時まででしたが最後まで残って議論をする方も多く、今後の日本における量子活用の盛り上がりを期待できるイベントとなりました。

デロイト トーマツでは黎明期である量子コンピューティング分野において、世界最先端の技術やビジネス動向と産業界をうまく連携し、グローバルで勝っていけるビジネスに繋げていくことが重要であると考えており、Quantum Harborという名前でエコシステムを形成する調整を行っております。

今後も今回のようなイベントを通じ、多くの方に量子技術に興味を持っていただき、企業様における活用の一助となれれば幸いです。