Posted: 12 Sep. 2022 3 min. read

メンバー全員が、一人残らず「自分の人生がすばらしい」と心から思える状態を作っていきたい

デロイト トーマツ グループCOO、Well-being 推進の担当執行役に就任した長川知太郎が考えるWell-beingとは?そしてWell-being推進の本気度とは!?

 

長川さんが考えるWell-beingとは?

― まず始めに長川さん個人にとってのWell-beingについてお聞かせください。

長川:「妻や息子2人と過ごす時間」が最高の時間です。毎年、夏になると、実家の山間の町で「野生を取り戻す旅」と称し、自然を楽しむ様々なアウトドア活動に挑戦しています。息子たちも思春期に差し掛かるとなかなか乗ってこなくなるので、保育士になりたかった一面を生かして毎年趣向を凝らし、「埋蔵金探し」なども企画しました。仕事での成長が、プライベートでの企画力にも活かされますね。

グランドキャニオン・Ooh Ahh ポイントでのご家族写真

 ― そういったご家族との時間が、お仕事の活力になっているのですね。

長川:妻と息子たちには本当に感謝しています。私が暮らすコミュニティは世界の中で限られた狭い世界であることを思い起こさせてくれる存在です。仕事に行き詰って視野が狭くなってしまったときに、第三者的に俯瞰することを促してくれる存在でもあります。家族との時間が仕事にもよい影響を与えてくれていることを自覚しています。

 

― 他にも長川さんのPersonal Well-beingに貢献しているものはありますか。

長川:常に新しいことに経験したい、自分自身が新しいものを学んでいたい、新しいものに触れていたい。そういう中で、人生の味わいを逃したくないという感覚が自分の中にあります。常に仕事でもプライベートでも新しい挑戦、新しい冒険をしていきたいと思っています。

 

― では、長川さんが考えるデロイト トーマツが目指すWell-beingな状態とは、どのようなものでしょうか?

長川:最終的な理想は、ちょっと、はるか遠い未来のことのように感じられるかもしれませんが、デロイト トーマツ グループの全員が、ひとり残らず、誰に忖度することもなく、「自分は素晴らしい人生と素晴らしい時間を生きている」「自分らしい人生を表現できている」と、心の底から思えるような状態を作っていきたいと考えています。自分自身で確信できているだけではなく、周りの人にも伝えてしまいたくなるような状態、そういう状態にある人の人生における場の一つとして、デロイト トーマツ グループという働く場が存在している状態を目指していきたいです。

踏み込んでいえば、私は、「みなさんのWell-beingは職場でハッピーなだけでは実現できない」と思ってます。職場でもすごく充実しているし、家庭でもとてもイキイキしているし、生活基盤があるコミュニティでも人との関係性が築けて幸せに感じている、そういう状態で過ごせていることがWell-beingな状態だと考えています。

現状、みなさんの人生における時間の割り付け方は、どうしても仕事に寄りがちだと思いますが、裏を返せば、これは会社がみなさんの時間をある種奪ってしまっている状態とも言えます。もう少し時間の分配をよいバランスにして、人生の別の幸せの源泉にも時間とエネルギーを使っていただけるように、職場としても応援したいと考えています。

 

 

働き甲斐、働きやすさを通じたWB施策で大切なことって何?

― 職場のWell-beingは「働き甲斐」と「働きやすさ」という2つの視点から語られることが多いと感じますが、まず働き甲斐に関するWell-being施策として、何かお考えはありますか。

長川:色々考えていることがあります。Well-beingな自分にたどり着くためには、日々の仕事の中で感じる充実感や達成感、あるいはワクワク感が大事になります。自分がやりたいことができているか、ということも一例ですね。より多様な強みやキャリア志望を持った方が増えていますので、ある程度、自由にキャリアパスが選べるような制度設計、運用を目指していきたいと考えています。個別ビジネスでは、この方向性は既に共有されていて、画一的なキャリアから、複数のキャリア選択肢から自分で選べるような再設計を進めています。

 

― 個々のキャリアに寄り添うというのは大変ではないでしょうか。

長川:個々に寄り添ったキャリア支援は、組織としても確かに大変です。でも、実はメンバー一人ひとりの観点からも大変なんです。どういうことかというと、自由に選べるというのは、簡単なようで結構難しいことなのです。選択に迷うときにはリーダーシップ研修もある種の刺激物になると思います。

なぜリーダーシップ研修と思われるかもしれませんが、リーダーシップの旅路「Lead the self. Lead the team. Lead the society.」では、最終的にはリーダーを目指すのですが、始まりは「Lead the self.」、つまり自分がどうありたいのかを自分で決め、自分自身を導くところからリーダーシップが始まるのです。また、この旅路の途中で迷われるときのために、組織の中で対話の習慣をどんどん広げていきたいと考えています。

 

― お話を伺うと、ワクワクするような、でも少し大変そうです。

長川:やはり大変と感じられますか?笑 みなさんにはぜひポジティブに捉えていただきたいと思いますが、このような一人ひとりの働き甲斐に寄り添うことで、デロイトトーマツは、個々のタレントを大事にする組織なんだということを、うまく全体として表現できるといいなと思っています。People first なくして、Client firstはなし得ないですから。Well-beingな状態でクライアント対応できれば、クライアントの満足度も高まるのではと期待しています。

 

 

忙しい中、働きやすさの実現は可能?Well-being推進っていうけれど、その本気度は?

― 働きやすさという観点からは、※FWP等の制度面も充実し、職場での合意形成も進んできていると感じます。一方、制度利用者以外では、まだ高稼働率な状態が続いていますが、その辺りは何かお考えでしょうか。

長川:働き方改革は待ったなしですよね。働き方改革は、量、すなわち働く時間を削減することに着目されがちですが、量と質の両面で進めなければいけないと考えています。量についてダイレクトにお答えすれば、減らしていかなければなりません。一人ひとりのメンバーが、ライフステージやキャリア志向に応じて、残業を100%~0%、場合によってはマイナスまで選べる、そのうえで過重労働を防ぐために、しっかりと上限時間を管理していくことが大切ではないかと思います。

仕事が楽しく打ち込みたい時期もあれば、プライベートな事情で仕事量を抑えたい場合もあり、一人ひとりが選択できる制度設計にしたいと考えています。

注※FWP(フレキシブルワーキングプログラム):育児や介護と仕事を両立するメンバーが利用できるプログラム。休職や時短勤務、短日勤務など様々な勤務の選択肢があります

 

― みんなが働く時間を減らしても、組織としての量的な成長は可能ですか。

長川:価値の作り方を変えなければいけません。労働時間短縮には、自前主義の脱却が重要な鍵となります。いきなりは仕事量を減らせませんから、プロジェクト業務のタスクを洗い出し、1から10のタスクのうち、自分たちでやらなくてもよいタスクを切り出すことで、労働時間を4/5まで削減するといった考え方です。切り出したタスクは、海外のデリバリーセンターなどに依頼することで費用対効果も期待できます。

またプロフェッショナルは、より専門的な付加価値の高い業務に専念できます。昨日と同じものを提供し続けるのではなく、新しいものに挑戦し新しい価値を生み出すことで、クライアントの期待を超えていく。一人ひとりがそのようなプロフェッショナルとして、時間と努力を使っていけるような態勢を整えていきたいと考えています。

 

― 新しいチャレンジや価値が簡単に生まれるでしょうか。 

長川:新しいことにチャレンジする文化を醸成するためにも、Well-beingのキーワードでもある「心理的安全性」を担保していきたいと考えます。新しいイノベーションは、言葉は悪いですが、ゴミとかカスみたいなアイデアから生まれてくると言います。失敗を避けるために「8割よし」を目指すということでは、イノベーションは生まれない。失敗を許容する土壌だけでなく、失敗を学びに転換できるような組織を目指したいです。

具体的には、心理的安全性の4つの柱のうち、「話しやすさ」「助け合い」については※Check-inを通じて対話の習慣を定着させていきたい。そして、「挑戦」「新奇歓迎」について、理想としては、「誰に相談しても、そのアイデアをすくいあげて発展させてくれる」組織を作りたい。そういう意味で、マネジャー以上の方には、チームメンバーの成長や成功を願い、そのために多くの時間を注ぐ「People Manager」と呼ばれる存在になっていただきたい。人を育てる組織にすることが、Well-beingにもつながると考えています。

注※ Check-in(チェックイン):上司・部下間でのコミュニケーションの質・量を高める1 on 1面談のこと

 

― ずばり、Well-being施策に関するその本気度をお聞かせください。

長川:みなさん一人ひとりのWell-beingは、デロイト トーマツ全体の発展につながり、巡り巡って、クライアントや社会への貢献にも通じていきます。今回お話しした内容は私個人が思い描く夢の部分もありますが、経営に携わるメンバーともそれぞれのあるべきWell-beingについて対話を進め、応急処置ではなく、Well-beingなデロイト トーマツを具現化していきたいと考えています。

そしてメンバーのみなさんにも、まずは今期、私たちが向かう方向性、つまり今回お話ししたような内容でWell-beingに本気で取り組むことを伝えたり、Well-beingに関するアイデアを広く共有したりしたいと考えています。

 

 

インタビュアー:デロイト トーマツ グループ 関西リスクアドバイザリー 吉野さおり
 

デロイト トーマツ グループのWell-being(ウェルビーイング)