Posted: 28 Mar. 2023 5 min. read

半径5m以内の人たちを幸せにすることから始まるWell-being

デロイト トーマツ グループ 卒業メンバー インタビュー

デロイト トーマツの卒業生の皆さんも、いつまでもデロイト トーマツ コミュニティの重要なメンバーであり、デロイト トーマツを離れてご活躍されている方々とも、様々な形でつながり、交流できる自由なコミュニティが活性化していくことを目指しています。

今回は、有限責任監査法人トーマツの卒業生で、現在はCarstay株式会社のCEOとして事業を展開されている宮下晃樹さんにお話を伺いました。宮下さんには、デロイト トーマツが広島県三原市で実施したワーケーション・モニター・ツアーにもご協力をいただき、ワークスペースにキャンピングカーを提供いただきました。

デロイト トーマツで見つけた起業家への道

― これまでの経歴を教えていただけますか。

学生時代正直やりたいことはなく、大学に入って、将来何かやりたいことが見つかった時にスキルとして持っておこうと思ったのが公認会計士の資格でした。20歳の頃に試験に合格し、有限責任監査法人トーマツに入社しました。2014年2月から2016年の6月の約2年在籍後、1年間程、外部協力者という形で監査法人の業務にも従事しながら、公認会計士としてIPO支援に携わるトータルサービス事業部(現デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社の前身の部署)に所属していました。その後、2016年の8月にNPO法人SAMURAI MEETUPSという団体を創業しました。これは日本に来られる海外の方を地域へご案内する、当時国内最大規模のガイド団体でした。7歳までロシアに在住し、当時は色んな国の方との交流もあり、良い思い出がたくさんあったので、自分が日本に戻った時、今度は素敵な思い出をプレゼントしたいなというのはずっと自分の中にありました。最初は趣味の範囲で海外の友人が日本へ遊びに来た時にいろいろなところへ案内していたのですが、段々とガイドの規模が大きくなり、成田空港や小田急電鉄と契約となった時、法人格がないと契約ができない。そこで監査法人のパートナーにNPOの立ち上げについて相談したところ、「一旦、監査法人を離れてみたらどうか、籍は離れても監査法人と関わることはできるし、応援しているから、やりたいことやりなよ。」と背中を押していただき、創業に至りました

Carstay株式会社 CEO 宮下晃樹さん

― パートナーの後押しも創業のきっかけになっていたとは!その後、現在の会社を起業されたのですね。

はい。NPO法人で活動している時、日本全国に海外の方をお連れしていたのですが、そこで地域の課題も見えてきました。ガイドが人を連れていくのではなく、旅行者がそれぞれ自分のスマホで行きたいところを見つけて自由に移動し滞在ができるサービスがあればという思いから、2018年6月に現在の会社であるCarstayの創業に至りました。

― 監査法人で起業家の方たちをサポートする立場であったご経験も、起業するきっかけになったのでしょうか。

そうですね。ベンチャーやスタートアップという未上場の会社をいかに上場まで導くかというIPO支援や、監査業務がメインでしたが、そこで起業家というものをリアルに知ることが出来たのは大きな経験でしたね。起業家というと「昔から起業を志していたのですか?」とよく聞かれるのですが、冒頭申し上げたようにやりたいこともなく、学生時代は全然意識が高くなくて(笑)。学生起業家の方とかを見ても自分とは違う世界の人として見ていました。でも実際業務で起業家の方と関わっていく中で、泥臭く、自分たちの信念を掲げながら事業を起こす生きざまを目の当たりにし、私もいつか独立したいという思いが強くなりました。

― 監査法人に入社してご自身の夢を見つけられたのですね!

生まれ変わったとしても、公認会計士の資格は取りますし、新卒で監査法人トーマツに入社したいなと思います。

― 監査法人、もしくはデロイト トーマツ のどういうところがそういう気持ちにさせてくれたのでしょうか。

大きく2つあります。1つは色々な物事がグローバルな価値観であることです。私が在籍していた頃は周囲の皆さんは多様な価値観をもっていい事業価値を創造しようと語られていたのですが、入社した時はピンときていなかったのです。でも仕事をしていくうちに、ただベンチャーや起業家のサポートをするだけではなく、幅広く社会のインフラに対して寄与する姿勢というのを感じました。そこにグローバルな視点も持ち合わせていて、他の日系企業とは違うなと感じていました。せっかくデロイト トーマツに入ったのであれば、多様な価値観を持って事業創造をしたいなと思わせてくれました。

もう1つはデロイト トーマツのDNAを感じる瞬間が卒業してからもあったことです。公認会計士でファイナンス以外の起業をした人間が過去にもあまりいないということもあり、初期から本当にみなさん応援してくださったのです。当時のトータルサービス事業部の方々にも、できる支援はするよと声掛けいただきました。在籍した頃からの変わらないグローバルな視点や、小さな会社でも支援するという一貫性のある姿勢が嬉しかったですね。

理想を追い求めながら社会に価値を還元する

― 具体的な事業内容を教えていただけますか。

一言でいうとキャンプ版Airbnbのような事業です。元々地域と世界の架け橋になりたいという気持ちから「インバウンド×アウトドア」みたいな事業ができないか考えていました。具体的にはキャンピングカーやキャンプ場など車中泊できる場所の予約プラットフォームの運営です。当初はインバウンドや、地域とのつながりというのが目的でしたが、キャンピングカーで移動しながら滞在できるというのは、将来、自動運転社会の新しいユーザーのモビリティ体験になりうると気付いたのです。今我々が掲げているミッションは「誰もが好きなときに好きな場所で、好きな人と一緒に過ごせる世界をつくる」とし、将来の自動運転社会におけるライフスタイルを作っていくというのを目標にしています。実際利用される方も、レジャーはもちろんですが、ワーケーションやお仕事で利用されている方も増え、用途も広がってきていますね。

会社メンバーの集合写真

― 先日のワーケーション・モニター・ツアーのワークスペースとして、キャンピングカーも提供されたんですよね。

そうなのです。広島県のベンチャー誘致プログラムというものに3年前くらいに採択していただき、元々広島県とのお仕事に携わっていました。たまたまその中で広島県側からワーケーション・モニター・ツアー側のお話を伺い、キャンピングカーの提供についてご提案いただいたので、是非!と手を挙げました。ワーケーション後もSNSでデロイト トーマツの卒業生がやっているよ、と紹介していただきめちゃくちゃ嬉しかったです!

― 偶然だったのですね!ここまでたどり着くまでどういったところが大変でしたか。

スタートアップとしてどういう部分をテーマに掲げるかは個性が出る部分だと思うのですが、私はせっかく公認会計士の資格も取って、デロイト トーマツも卒業しているので、万が一うまくいかなかったとしても仕事に困らないと思っていたのです。だからちょっと儲かりそうな事業をやるのではなく、リスクを取っても、日本でまだないような新しい価値を生み出す、大胆な事業を展開したいと思っていました。個人的にキャンピングカーは、自動車と不動産の間のような「可動産市場」という新しい市場ができるのではないかと考えていたので、まずは将来的な市場の拡大に目をつけ、難易度の高いところへチャレンジしました。資金調達のところも大変でしたが、公認会計士の資格を取得し、デロイト トーマツを卒業したことでファイナンスに関する実務経験を積むことが出来たこともあり、銀行や投資家の方たちへ事業計画をお話した際も信用を得ることができました。

― 敢えて難易度の高いところにチャレンジされたのですね!今後の夢は?

新規事業としては、昨年からは日本で一番大きいキャンピングカーの会社になろう、ということで工場を借りて、キャンピングカーも作り始めました。今は約1000人の車のオーナー様にキャンピングカーをCarstayに掲載いただいている状況なのですが、メンテナンスや困ったことがあった時に相談に乗れる立場でありたいなと思い、Mobi Lab.(モビラボ)というキャンピングカーの専用施設を横浜にオープンしました。キャンピングカーのポケモンセンターのようなインフラを全国に展開していきたいです。人様のお金をお預かりして事業をやらせていただいて、かつ、それで自分たちの好きなことをやらせていただくというのはすごく恵まれた環境だと思っています。今後、それをいかに社会に価値還元していくかが大事だと思っています。やりたいことはここ5年で固まってきたので、それを事業として社会にインパクトを出して、将来的にはデロイト トーマツ グループにも恩返しができるような大きなパブリックカンパニーになっていきたいという思いがあります。自分たちの理想を追い求めながらきちんと事業を大きくしていくのが、会社としてのWell-beingであると思っています。

横浜にオープンしたMobi Lab(文中参照)にて集合写真

半径5m以内の幸せを作り出す

― 夢がありますね!宮下さんがWell-beingを感じるときはどういったときですか。

私の会社でいうと「時間と場所の不自由さからの解放」がミッションであり、Well-beingです。実際50人くらい働いているメンバーはいますが、中には今どこで仕事をしているか分からないメンバーもいます(笑)。どこにいるかは問題でなく、誰かに価値貢献し感謝されることが大切だと考えています。自由で自分たちが楽しいだけという個人の価値観もそれはそれでアリだと思いますが、会社として仕事をやるからには、自分たちらしさを追求していきながら、それを通じて誰かに笑顔を届けられることを価値だと思っているので、私にとってはこの仕事をやることそのものがWell-beingかなと思います。自分たちが「よい」と思ったもので誰かを笑顔にできたり、小さな会社のコミュニティから共感の輪が広がって、半径5m以内の幸せを作り出すことができたりした瞬間は嬉しいですよね。

― 半径5m以内の幸せ、まずは周りの人間から幸せに、ということでしょうか。

そうですね。会社というコミュニティを作っている以上は、誰かと豊かさを共有できる関係性が重要だと思っています。世界をより良くする、ということをテーマに掲げている起業家の方は多いと思いますが、まずは自分の周りの人たちを幸せにできなければ絶対うまくいかないと思うので、まずは自分の周りの社員やステークホルダー、家族を笑顔にすることができることが大前提だと考えます。

― 私たちデロイト トーマツもWell-beingで3つの枠組み(Personal, Societal, Planetary)を掲げていますが、まずは働くメンバーのWell-beingが大事だと考えています。すごく近いものがありますね。

多分私の言っている半分以上、インプットのソースはデロイト トーマツだと思っています(笑)そういう意味でも色々学ばせていただきましたね。

― 最後にメンバーへメッセージをお願いいたします。

今も恵まれた環境にいますが、監査法人にいたころも、チャンスがいっぱいある職場だなと思っていました。私自身、実は入社時は海外事業部で内定をいただいて承諾していたのですが、入社直前にスタートアップに興味を持ったので、変えてほしいという無理なお願いをしました。入社してからスタートアップはもちろん、海外のお仕事も経験させていただき、見えていなかったやりたいことが明確になりました。その中で気づいたことは、デロイト トーマツというグループは、手を挙げれば誰かが手を差し伸べてくださる環境だということです。一人ひとりの好奇心や、やりたいことに対する思いを大事にしてくださる会社だと思うので、みなさんもチャンスをつかんでいただけると、当初の私のようにやりたいことが見つからない方でも見つかっていくと思いますし、見つかった後もデロイト トーマツでしかできないこともあると思っています。頑張っている人ほどやりたいことが見つかる会社だと思うので、是非みなさまの想いを大事にしていただきたいですね。

 

(インタビュアー:デロイト トーマツ グループ C&I/BM インターナルコミュニケーション 段林実果)

デロイト トーマツ グループのWell-being(ウェルビーイング)