調査レポート

企業が適合すべき、ミレニアル世代の働き方・価値観の変化

2019年 デロイト ミレニアル年次調査 日本語版 社会不和と技術革新によりディスラプトされた世代

今回の年次調査では、日本のミレニアル世代(1983年から1994年までに生まれた世代)の約半数が2年以内の離職を見込み、日本の離職意向はグローバル水準に並んだ。一方、雇用形態としては企業への所属を望み、4割弱が第四次産業革命に向けた準備に最も責任があるのは企業だと回答した。

世界42カ国、13,416人のミレニアル世代(1983年から1994年までに生まれた世代)を対象とした調査結果をもとに、同世代の世界や働き方に対する意識を分析した。本調査は今回で8回目であり、今回からミレニアル世代の傾向を包括的に示すため大卒等の学位取得者以外も調査対象に含めている。また、今回の調査では、日本を含む10ヵ国3,009人のZ世代(1995年から2002年までに生まれた世代)も調査の対象に含めた。

今回の調査では、日本のミレニアル世代は、グローバルと比較し、人生における総合的な幸福感を得るために、経済的な豊かさやより良いワークライフバランスを求め、短期で離職する意向が強いことが示された。

一方で、フリーランスや副業などで、雇用関係を結ばず企業などから単発で仕事を請け負うといった就労形態であるギグ・エコノミーへの参加意向は低く、雇用形態としては企業への所属を選択する傾向がある。

第四次産業革命の影響で必要となるスキル・知識が変化する中で、日本のミレニアル世代は、グローバルと比較して、危機感が低く、準備も不足していることがうかがえる。第四次産業革命に向けた働き手の準備に責任を持つのは企業としており、企業が果たす役割に期待しているようだ。

日本企業は、日本のミレニアル世代の特徴を利点と捉え、社内での既存人材の育成と、外部タレント活用の両面に取り組む必要があることが示唆される。

2019年 デロイト ミレニアル年次調査 グローバル翻訳版〔PDF, 2.4MB〕

主な調査結果

■日本の若い働き手の離職意向は世界水準まで上がっている

日本のミレニアル世代の2年以内の離職意向は49%にのぼり、グローバルと同程度だった。また、日本のZ世代の2年以内離職意向は64%と更に高く、若い世代の方が離職傾向がより強い傾向が示される。

また、5年以上同じ企業に留まる意向をきくと、日本のZ世代が(10%)グローバルの同世代(19%)よりも低い結果となっており、逆転現象がみられた。

ミレニアル世代とZ世代の2年以内離職意向と5年以上勤続意向

離職理由としては、「報酬に不満がある」がグローバルと日本で共通するもっとも多い回答だが、その他の重視点は異なるようだ。グローバルのミレニアル世代は、昇進・学習機会(それぞれ35%、28%)を重視する一方、日本では「ワークライフバランスが悪い」(22%)が多く、成長機会よりも人生における総合的な幸福感をより重視している様子が垣間見える。

ミレニアル世代の離職意向理由は報酬以外の重視点が異なる

■雇用形態としては企業に所属することを志向している

フリーランスや副業などで、雇用関係を結ばず企業などから単発で仕事を請け負うといった就労形態であるギグ・エコノミーへの参加意向をみると、日本のミレニアル世代はフルタイムの代わりとしても(25%)、副業としても(25%)、ギグ・エコノミーへの参加意向は対グローバル比で低い。

しかしながら、潮流を踏まえると、今後は日本においてもギグ・エコノミーの発展も見込まれる。

ミレニアル世代のギグ・エコノミーへの参加意向は、世界より30ポイント以上低い

■第四次産業革命への危機感は低く、準備に向けた責任主体は企業だと認識している

第四次産業革命の影響により、過去10年間でデジタル技術の進展で仕事の多くは変化したが、ミレニアル世代の就職・転職への影響については、グローバルと日本で意識が異なっている。就職・転職の難易度が高くなると答える割合はグローバルが45%であるのに対し、日本が30%と15ポイント低く、危機意識が比較的薄いことがうかがえる。

第四次産業革命が就職・転職に与える影響は、日本のミレニアル世代では世界より少し楽観的

そのためか、第四次産業革命により、必要となるスキル・知識が変化する中、すべて対応できていると答えた割合はグローバルのミレニアル世代が22%、日本の同世代は7%と15ポイント低い結果となった。日本のミレニアル世代における、第四次産業革命に向けた準備不足がうかがえ、今後のリスキルの必要性が示唆される。

第四次産業革命に際して必要なスキル・知識に自信のある日本のミレニアル世代は世界より少ない

第四次産業革命に向けて働き手の準備に最も大きな責任を持つのは、「企業」であるとの認識は、グローバルと日本のミレニアル世代で共通している(それぞれ30%、37%でトップ)。更に、日本のミレニアル世代は、企業と回答した割合がグローバルより7ポイント高く、日本の方がより企業の果たす役割が大きく捉えられていることがわかる。

 第四次産業革命への準備の責任を企業に求める声は日本のミレニアル世代は世界より多い

A generation disrupted: Millennial Survey 2019

本レポートはDeloitte Globalが発表した内容をもとに、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。
 

デロイトのミレニアル年次調査について

デロイトが2018年12月~2019月1月に世界42 カ国、13,416人の1983年~1994年生まれのミレニアル世代、10カ国3,009人の1995年~2002年生まれのZ世代に対して行った調査。今回から両世代の特徴を包括的に示すため、調査対象を学位取得者以外にも広げている。日本の調査結果はミレニアル世代319名(人口比に合わせた調整後数値)、Z世代301名(各世代、男女比ほぼ1:1)の回答を基に分析している。

グローバルのレポート(英文)はこちらをご参照ください

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