サービス

アジア市場上場

最適な地域の検討から最適なスキームの構築・実行を支援

中国やASEAN諸国でのビジネス展開を見据え、現地の証券取引所への上場を検討される企業の皆様へ、クロスボーダーオファリングサービスグループでは各国市場の動向や上場に際して求められる基準などの情報提供を行います。

アジア市場上場セミナー

デロイト トーマツ グループではアジア市場上場、また、アジアビジネスに関するセミナーを日本各地で随時開催しております。 各セミナーに関するお問い合わせは、各セミナーのページに記載されている問い合わせ先までご連絡ください。

 

中国市場上場

中国の株式市場について

中国本土の株式市場には、上海市場及び深圳(セン)市場がの2つが存在しています。このうち、上海市場は1990年12月19日に上海証券取引所が開設され、現在、A株市場及びB株市場から構成されています。A株市場は、原則として中国本土居住者向けの株式市場であり、人民元建て取引となっています。一方、B株市場は外貨建て取引であり、当初は海外投資家向け株式でしたが、現在は中国本土居住者も取引可能となっています。

深圳市場は1990年12月に深圳証券取引所が開設され、1992年2月に外国人に開放されました。現在、深圳市場には“メインボード(中国語:主板)”のA株市場とB株市場に加え、2004年5月に中小企業向け市場としての“中小企業板”市場が開設され、さらに2009年10 月に新興企業向け市場として“創業板”市場が開設されています。

中国株式市場は、会社法、証券法等の株式市場の関連法の整備と経済発展に併せて、急速に拡大しており、2009年には時価総額が日本を抜き世界第2位となりました。2014年8月1日現在、上海、深圳両市場の上場会社数は合計で2,555社に達しています。また、中国政府は、証券市場の安定と資金調達を図るために、中国政府はQFIIをはじめとする外国機関投資家のマーケットへの参加を積極的に奨励し、証券市場の安定と資金調達の多様化を図っています。

世界有数の株式市場に成長した中国市場に、日本企業を含めて外資企業の上場および日本企業による中国上場企業への投資がはじまっています。今後、中国への投資規模の拡大、資金調達の多様化、マーケット戦略の観点から外資企業の中国市場への株式上場は増えていくものと予想されます。 

香港市場上場

香港の株式発行市場

香港の株式市場はアジアの中では歴史も古く、アメリカ、イギリスをはじめとする欧米諸国、中国及びアジア諸国の多様な海外投資家へのリーチを背景に、2015年12月末時点での時価総額は約24.7兆香港ドル(約US$ 3.2兆)と、日本(US$ 4.9兆)、上海(US$ 4.5兆)、深圳(US$ 3.6兆)の株式市場に次ぐ規模となっています。アメリカ、イギリスをはじめとする欧米諸国、中国及びアジア諸国の多様な海外投資家へのリーチを背景に、2015年のIPO資金調達額では昨年の約12%増の約3,155億香港ドル(US$ 337億)となり、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のUS$197億をおさえ、世界第1位の座を獲得しました。

上場企業の多くは中国・香港の企業ですが、2007年に香港証券取引所及び香港証券先物取引委員会が、従来認可していなかった国・地域で登記された企業の上場を受け入れることとしたことから、アジア・中国での知名度向上等を目的とした外国企業の上場が多く見られることとなりました。プラダやコーチ、また2014年には日本のファーストリテイリング(ユニクロ)など、今後一層の成長が見込まれるアジア・中国市場での事業拡大を意図する多く企業が自社の株式を上場する先として香港市場を選んでいます。 

香港に上場するためには国際的な水準での決算ディスクロージャー及びガバナンス体制の構築が求められるため、香港市場に上場することで、自社が国際的なスタンダードに沿った体制を実現しているグローバル企業であるということを投資家に対して示すことができるという側面もあります。香港証券取引所も、アジアの主要市場としてあり続けるために、中国のみならずアジアでのビジネス展開を進める外国企業を積極的に誘致するとともに、外国企業が上場する上で留意すべきポイントを明確化するなどの実務的な対応も図っています。
 日本企業の香港市場上場例としては、上述したファーストリテイリングの他、イオングループの香港子会社である小売会社や金融会社が1990年代から上場を継続しています。最近では、2012年にパチンコ大手のダイナムホールディングス、2013年にはオンライン決済及びE-commerceソリューションのイーコンテクストアジアがプライマリー上場するなど、多様な規模・業種の会社が上場しています。今後、アジアにおけるビジネスの更なる拡大する意図する日本企業にとって、香港市場において株式を上場させる魅力はさらに高まっていくものと予想されます。

メインボード上場基準

● 財務要件
以下の3基準のうちいずれかを満たす事。

1. 利益基準
・ 過去3年間の会計年度における税引き後利益が5千万香港ドル、かつ、
       直近年度2千万香港ドル、それ以前の2年度間に合計3千万香港ドル
・ 上場時の時価総額が2億香港ドル以上
2. 時価総額/売上高基準
  ・ 上場時の時価総額が40億香港ドル以上
  ・ 直近監査済会計年度の売上高が5億香港ドル以上
3. 時価総額/売上高/キャッシュフロー基準
  ・ 上場時の時価総額が20億香港ドル以上
  ・ 直近監査済会計年度の売上高が5億香港ドル以上
  ・ 過去3会計年度における営業キャッシュフローの合計が黒字収支、1億香港ドル以上

● 営業実績および経営の継続性
以下の要件を満たし、最低3会計年度の営業実績が必要

・ 少なくとも直近3会計年度は経営陣が継続していること。
・ 少なくとも直近監査済会計年度においてオーナーシップ及び支配株主が継続していること。

● 最低時価総額
上場時の時価総額が2億香港ドル以上見込まれること。
※上場時の時価総額は、発行済み株式数と予想発行株価を掛けたものとする預託証券については、預託証券と株式現物が交換可能な限り、双方含めて時価総額を計算する。

● 最低浮動株比率
・ 発行済み株式総数の25%以上が市場で流通している必要がある(市場流通株が5千万香港ドルを下回ってはならない)
※現物株式と交換可能な預託証券については、取引所ならびに海外市場において流通する株式と預託証券相当分の株式の合計が、この25%に勘定されるものとする。
・ 新規上場申請者の時価総額が100億香港ドルを超えると見込まれる場合、取引所は独自の判断により発行済株式総額の15-25%に引き下げることを容認する場合があります。
・ 市場流通株の最低割合は、上場期間中、常に維持されてなくてはならない。

● 証券の種類
普通株(株式と預託証券)、負債証券、第三者デリバティブ、ユニット型投資信託、投資手段

● 二重上場
二重上場は許され、プライマリー上場とセカンダリー上場では異なる要件が設定されている。

● 会社設立地
メインボード規則第19条、GEM規則第24条には、取引所で上場を希望する全海外企業に適用される全体の枠組みが示されている申請企業は、少なくとも香港法に準ずる適切な株主保護基準を満たしている事を示す必要がある株主保護の適正水準確保に必要な主要条件をまとめたものとして、株主保護関連の事項一覧からなる指針が2007年3月7日付「Joint Policy Statement」において示されている(www.hkex.com.hkを参照)。

● 株主数
・ 上記財務要件の「利益基準」もしくは「時価総額/売上高/キャッシュフロー基準」を満たす場合は300名以上
・ 上記財務要件の「時価総額/売上高基準」を満たす場合は1,000名以上
・ 上場時における上位3名の株主の持分比率が50%以下であること

● スポンサーの指名
新規上場申請者は、スポンサーを任命する必要がある新規上場申請者及びその役員は、スポンサーの任務遂行に協力しなくてはならない。

● 上場申請書類 :業務目的の説明
新規申請者は、全般の事業傾向、財務面と営業面の見通しについて情報を提示すること。

● 上場申請書類 : 資金使途
新規申請者は、調達資金の使途について、詳細を開示すること。

● 上場申請書類 : 監査報告書
・ 免除される企業を除き3会計年度分をカバーしていること。
・ 原則として、香港市場プライマリー上場の場合は、香港財務報告基準(HKFRS)また国際会計基準(IFRS)のいずれかに準じること。
・ 米国一般会計基準(US GAAP)または取引所が認める他の会計原則準じる事で認められる場合もある。

GEM上場基準

● 財務要件
以下の2基準のうちいずれかを満たす事。

1. 時価総額基準
  上場時の時価総額が1億香港ドル以上
2. キャッシュフロー基準
  直近2会計年度における営業キャッシュフローの合計が黒字収支、2千万香港ドル以上

● 営業実績および経営の継続性
以下の要件を満たし、最低2会計年度の営業実績が必要。
・ 少なくとも直近2会計年度は経営の継続性があること
・ 直近会計年度を通じてオーナーシップ及び支配株主が継続していること

● 最低時価総額
上場時の時価総額が1億香港ドル以上と見込まれること。
※上場時の時価総額は、発行済み株式数と予想発行株価を掛けたものとする

● 最低浮動株比率
・ 発行済み株式総数の25%以上が市場で流通するように確保する必要がある。
(但し、市場流通株が3千万香港ドルを下回ってはならない)
・ 新規上場申請者の時価総額が100億香港ドルを超えると見込まれる場合、取引所は独自の判断により発行済株式総額の15-25%に引き下げることを容認する場合があります
・ 市場流通株の最低割合は、上場期間中、常に維持されてなくてはならない

● 証券の種類
普通株(株式のみ)ならびに負債証券のみ(オプション、ワラント、転換社債を含む)

● 二重上場
二重上場は可能、しかしセカンダリー上場は認められない。

● 会社設立地
メインボード規則第19条、GEM規則第24条には、取引所で上場を希望する全海外企業に適用される全体の枠組みが示されている申請企業は、少なくとも香港法に準ずる適切な株主保護基準を満たしている事を示す必要がある株主保護の適正水準確保に必要な主要条件をまとめたものとして、株主保護関連の事項一覧からなる指針が2007年3月7日付「Joint Policy Statement」において示されている(www.hkex.com.hkを参照)。

● 株主数
・ 100名以上
・ 上場時における上位3名の株主の持分比率が50%以下であること

● スポンサーの指名
新規上場申請者は、スポンサーを任命する必要がある新規上場申請者及びその役員は、スポンサーの任務遂行に協力しなくてはならない。

● 上場申請書類 :業務目的の説明
新規申請者は、全ての根拠と仮説の説明を伴って各製品、サービスについて、各主要事業分野毎に分析の上、業務目的の詳細を提示すること。

● 上場申請書類 : 資金使途
新規申請者は、事業目的に関連して調達資金の使途を詳細に説明する事。

● 上場申請書類 : 監査報告書
・ 最低2会計年度をカバーしていること
・ 原則として、HKFRSまたはIFRSのいずれかに準じること
・ 申請企業がNY証券取引所またはナスダック市場に上場済み、またはその予定がある場合は、US GAAPに準ずることも可能。 

シンガポール市場上場

シンガポール株式市場には、メインボードとカタリストの二つの市場があります。メインボードは、1999年12月に開設された大手企業向けの市場です。カタリストは、新興企業向けの市場であり、以前から存在していた店頭市場にあたるSESDAQと呼ばれる市場が、2007年12月にカタリストという名前に移行され、ロンドン証券取引所の新興企業向け市場であるAIMを模範に開設された市場です。
 メインボード及びカタリストは、いずれも東京証券取引所と比較すると、総じて審査はスピーディなものとなっています。その一方で、2名以上の独立取締役の設置を要求されるなど、ガバナンス体制については、グローバルスタンダードの厳しい基準になっていると言えます。
 カタリストの上場審査や上場後の監督は、スポンサーと呼ばれる、SGXが選定した民間の証券会社によって実施されます。証券取引所によって審査されるメインボードと比較すると、より簡素化されており、上場までの準備期間はより短いと言えます。
  メインボードは、東証と同様に、証券取引所が上場審査を行う制度で、求められる数値要件(利益基準または時価総額基準)を満たす必要がありますが、カタリストには、SGXにより定められた数値用件はなく、スポンサーによって決められた基準に従うことになります。

メインボード上場基準

● 数値要件
以下の基準のうちいずれかに該当すること

1. 直近の監査済み連結財務諸表にもとづく税前利益が、最低S$30百万であり、かつ最低3年間の経営実績があること。
2. 直近の監査済み連結財務諸表にもとづく税前利益が黒字であり、直近3年の経営実績があり、かつ発行価格及び発行済み株式資本にもとづく時価総額がS$1.5億以上であること。
3. 直近の財務諸表において営業収益を計上しており、かつ発行価格及び発行済み株式資本にもとづく時価総額がS$3億以上であること。

● 事業の継続期間
上記の数値要件が1の場合3年、2の場合1~2年、3の場合要件なし

● 株主分布
・ 募集後の株式資本の25%が一般株主(時価総額がS$3億超の場合は、同持ち株比率は12~20%)
・ 最低株主数1,000名 
・ セカンダリー上場の場合、全世界で株主が最低500名(ただし、取引所及びIPOした取引所の管轄間において、株主の移動を容易にする体制、及び取り決めを制定していない場合、企業はシンガポールに最低500名、または全世界に1,000名の株主)

● 代表取締役
最低2名のシンガポール居住の独立取締役

※独立取締役とは以下の人は除外されます。
・ 現在または過去3年以内に当該企業または関連企業に従事した者
・ 現在または過去3年以内に当該企業または関連企業から報酬等の支払いを受けた者
・ 過去3年以内に当該企業に従事したまたは関連企業の役員であったものの近親者である者等

● 一時的売却禁止期間(モラトリアム期間)
・ 発起人の上場時の持株の100%につき、上場後の最低6ヶ月間。
・ 上場前に証券を購入した投資家(5%以上の株主)は、持株の一部につき、上場後の最低6ヶ月間。

● コーポレートガバナンス
監査委員会の設置等定款で定める必要あり

● 所在地
発行体の裁量による。

● 会計基準
シンガポール財務報告基準(FRS)、国際財務報告基準(IFRS)、または米国会計基準(US GAAP)

● 取引・報告通貨
発行体の裁量による。

● 事業運営
シンガポールでの事業活動の要件なし。

● IPO書類
・ 目論見書
・ 3年間の監査報告書
・ MAS OPERAウェブサイトでの掲示

カタリスト上場基準

● 数値要件
スポンサーが自社選択基準を設定
(SGXによる数値要件なし)

● 事業の継続期間
要件なし

● 株主分布
・ 募集後の株式資本の15%が一般株主
・ 最低株主数200名

● 代表取締役
独立取締役2名
(外国企業の場合は、最低1名がシンガポール居住の独立取締役)

● 一時的売却禁止期間(モラトリアム期間)
・ 発起人の上場時の持株の100%につき上場後の6ヶ月。及び、もともとの持株(無償交付や株式分割は調整後)の50%について更に最低6ヶ月。
・ 上場前に証券を購入した投資家は、持株の一部につき、上場後の最低12ヶ月間。

● コーポレートガバナンス
監査委員会の設置等定款で定める必要あり

● 所在地
発行体の裁量による。

● 会計基準
シンガポール財務報告基準(FRS)、国際財務報告基準(IFRS)、または米国会計基準(US GAAP)

● 取引・報告通貨
発行体の裁量による。

● 事業運営
シンガポールでの事業活動の要件なし。

● IPO書類
・ 募集要項
・ 発行体の取締役及びスポンサーからの、12ヶ月の運転資本が十分であるとの声明を含める
・ 3年間の監査報告書
・ SGX Catalodgeウェブサイトでの掲示