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デジタル化した消費者に対するコンシューマー企業の動向と要諦

「体験強化型データ活用」へ向けた課題とアプローチ

デジタル化時代における消費者の生活体験向上へ向けた顧客データ活用とは

デジタル時代における顧客データ活用の要諦

デジタル化の最先端を勝ち進む企業においては、提供する価値を購買プロセスに留まらず、顧客の生活体験を向上させるためにデータを取得・活用しており、日々のユーザーの生活体験の一部に購買プロセスが紛れていると捉え、何よりも自社プロダクトやサービスに関連する生活全般の体験を向上させ、結果として自社品の購買に繋がっていくことを狙っている。

<ポイント>

我々は、生活体験を向上させるデータ活用方法を「体験強化型データ活用」と呼んでいる。データ活用で差別化・競争優位を図っていくならば、購買をゴールとするのではなく、関連シーンにおける体験強化・向上をゴールとして、データ活用の姿を描いていくことが肝要である。

デジタル時代における顧客データ活用の要諦
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「体験強化型データ活用」に向けた課題とアプローチ

下図に示している通り、データ活用の成熟度として、

  • 購買データを元にした再購入に向けたアプローチ
  • 購買データと行動データを紐づけて顧客の行動に合わせた購買促進に向けたアプローチ
  • 顧客の属性データや購買データを元にした顧客特性を推察して、顧客特性に応じた購買促進に向けたアプローチ 等

上記のように、体験強化に向けたデータ活用に向けて、まずはコンバージョンの最大化に向けた顧客データ活用ができることが前提となるだろう。
ただし、コンバージョンのみに注視をしてしまうと、体験強化に向けた姿とかけ離れてしまい、データ活用の知見や成熟度が高まったとしても、目指したい世界観にたどり着けない懸念が発生する。

また、従来の再購入・再購買(コンバージョン最大化)を狙うデータ活用から顧客の体験強化に向けたデータ活用へと舵を切ることは、体験を強化する事による収益拡大へのインパクトの度合いも見えにくく、その意思決定は非常に難しいものとなっている。

「体験強化型データ活用」に向けた課題とアプローチ
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デロイトが提唱するデータ活用ステップの考え方 (「Think Big」⇒「Start Small」⇒「Scale Fast」)

体験強化に向けては、目指す世界観、つまり「Think Big」をしっかりと描き、且つ、目指す世界観につながるデータ活用のフィージビリティ検証をクイックに行い(Start Small)、有用性が確認できた暁には早期に拡大させることが非常に重要である(Scale Fast)。
 

デロイトが提唱するデータ活用ステップの考え方 (「Think Big」⇒「Start Small」⇒「Scale Fast」)
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構想策定のアプローチ

  1. まずは自社のデータ活用の成熟度合い・課題感を把握することで、目指す世界観との距離やスタートする際の最初のステップのレベルを判断する
  2. 目指す世界観を先進事例や上位戦略等を元にディスカッションしていくことで初期仮設を立て、現状の顧客データの取得状況や統合可能性を評価した上で、クイックにフィージビリティ検証を行う初期テーマを設定する
  3. その後初期テーマの実際の顧客体験を設計すると共に必要な機能定義を行うことで、初期テーマの実行体制を設計することができ、体制構築を行っていく
     
構想策定のアプローチ
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このように、デロイト トーマツ コンサルティングでは業界知見を有したインダストリー組織とデジタル化した顧客に対応するソリューションを有するオファリング組織とのコラボレーションにより、目指すべき「体験強化型データ活用」の世界観と、その着実な実現実行といった御社のトランスフォーメーションを強力にサポートいたします。

プロフェッショナル

青木 健泰/Takahiro Aoki
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ダイレクター

外資系コンサルティング会社、総合メディア企業を経て現職。カスタマー&マーケティング領域においてデジタルエクスペリエンス設計、顧客データ分析&活用など、特に顧客接点のデジタルトランスフォーメーションの支援に強みを持つ。また対象はBtoC企業・BtoB企業と業界横断で幅広くカバーし、加えて官公庁への地域データ活用支援の経験から、地方自治体に対する地域データの基盤整備とその活用を提唱・支援している。

神津 崇/Takashi Kozu 
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー

大手コンサルティングファームを経て現職。新規事業企画、ポートフォリオ検討等の事業企画、
顧客接点領域を中心としたBtoB、BtoCのDX変革の企画から実行まで支援

(2021.11.22)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。

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