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プライベートカンパニーとCOVID-19

危機時、危機後における債券市場へのアクセス

プライベートカンパニーにとって、資本へのアクセスは平時でも困難な場合があります。前例のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが地球規模の人道危機や経済危機に急激に姿を変えたことにより、リスクは劇的に高まり、複雑さが一層増しています。世界各国の政府が立ち上げた量的緩和プログラムによって、債券市場はその機能を維持しています。

プライベートカンパニーにとって、資本へのアクセスは平時でも困難な場合があります。前例のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが地球規模の人道危機や経済危機に急激に姿を変えたことにより、リスクは劇的に高まり、複雑さが一層増しています。世界各国の政府が立ち上げた量的緩和プログラムによって、債券市場はその機能を維持しています。これらの取り組みは効果が限定的である可能性が高く、多くの窮地に立つ企業、とりわけプライベート企業を悩ませるものの解決先にはなりません。したがって、プライベートカンパニーの財務リーダーは、予測される厳しい信用環境に備える必要があり、企業が信用領域のどこであっても、潜在的な流動性資産の不一致を特定し、ギャップを埋めるために、積極的に資本ニーズを再評価する必要があります。

この記事では、Deloitte Privateが、企業が自社のニーズを満たす4つの領域について概説します。

COVID-19緊急支援プログラムを利用

世界各国の政府は、危機における従業員保持を支援することを目的とした、的を絞った支援プログラムを打ち出しています。財務リーダーはこれらの政府主導プログラムの条件を満たしているかどうかを調査する必要があります。政府主導プログラムを活用することによって、キャッシュポジションを改善し、停止していた操業を再開し、従業員を再雇用し、その他の回復段階への取り組みへの資金提供に役立つ可能性があるからです。財務リーダーがこれらの救済措置の適用を検討するにあたっては、比較的安定した状況にある企業が公的資金を利用することに対する世間からの目が厳しくなっていることも認識する必要があります。

既存の出資者との強固な関係の維持

大幅な景気後退中には、新規のローン、特に信用力の低い借り手にとっては借り入れが困難になります。しかし、多くのプライベートカンパニーは、利息の軽減や借入契約条項の緩和などの緊急債務支援の対象となる可能性があります。貸し手が長期的かつ確立された関係のある企業に対してそのような救済を拡大することも考えられます。しかし、短期間の実績しかない企業でも、透明性のあるコミュニケーションを通じてチャンスを増やすことができます。

他の従来の信用機会を追求

いずれにせよ、企業は、低金利環境が継続する間、調達可能な増加資本を活用するという点で、積極的に取り組む必要があります。それは既存の貸し手や他の資本提供者とともに行われるかもしれませんが、あらゆる銀行や他の資本提供者が、自社状況の魅力度を同じように評価するとは仮定しないでください。より安定した財務状況下にあるハイイールド債発行企業にとっては、今は比較的低い長期金利を固定して短期の営業債務を返済するときかもしれません。しかし、休業によりビジネスに大きな打撃を受けた企業は、迅速に行動する限り、従来の信用機会を利用できる可能性があります。

代替資金源の検討

ミドルマーケットの分野で影響を受ける多くのプライベートカンパニーにとって、従来の信用が相対的に不足していることを考慮すると、この困難な時期を乗り切るためには別の形態の資本を検討する必要があるかもしれません。(例:プライベート・デットの貸し手、特別な状況の資金)。 このような代替の債券調達源によって、一部の企業は、ビジネスにおける自己資本を手放すか、あるいはすべて売却するかといったより費用のかかる可能性のある取引をフレキシブルに検討することができます。しかし、財務リーダーはこれらが潜在的なマイナス面を伴うのを考慮する必要があります。

COVID-19のパンデミックによって、これまでほとんどのプライベートカンパニーが直面してこなかったような不確実性が生じています。そして、あらゆる点で、今後数年間で完全に解決するとは考えにくい状況です。

格下げやデフォルトが増加するにつれて利用可能な資本の市場の利用がますます増加することが見込まれることから、今こそが困難に満ちた債券調達環境を乗り越える時です。銀行などの従来のプレイヤーであれ、民間債やプライベートエクイティプロバイダーなどの代替の貸し手であれ、あらゆるクレジットの関係性を検討する必要があります。コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を徹底している企業は困難を切り抜けるにあたってはるかに有利な立場にあり、回復が加速し「ニューノーマル」が進展するにつれて、より堅調なバランスシートを有する企業は、業界の混乱を有利に活用して、より高い成長モードに移行する準備ができていることでしょう。

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