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持続可能な銀行はアウトパフォームするか?

ESG の実務を通じ、価値創造を推進する

調査では、金融機関にとって、戦略的に優先順位の高いサステナビリティ課題と堅調な財務パフォーマンスの同時追求は相反するものではなく、むしろ一貫性のある総合的な強いリーダーシップの下では相乗効果を発揮するということが明らかになりました。この総合的な強いリーダーシップがあればこそ、ESG要因と財務リターンのパフォーマンスが高まるのです。

環境・社会・ガバナンス(ESG)の分野における新たな課題や株主の期待に対応しようと、さまざまなサステナビリティ慣行を自発的に採用し、実行している企業が世界中で増加しています。

企業の理念に関しては変化が進んでおり、この変化で銀行が中心的な役割を担っていることに疑いはありません。金融の媒介者である銀行が、支援する投資において価値に基づく判断を積極的に行えば、変化の速度と投資対象に大きな影響を及ぼすでしょう。しかし、こうした取組みは社会の期待に応えるためのものなのでしょうか、あるいは銀行とその投資家に財務的利益をもたらすものなのでしょうか。価値に基づく銀行経営が、銀行とそれを取り巻く社会の両方に恩恵を与えるとしたら、どうでしょうか。

「持続可能な銀行はアウトパフォームするか? ESG慣行を通じ、価値創造を推進する」は、ジョージ・セラフェイム教授等の調査を基に、欧州投資銀行(EIB)、グローバル・アライアンス・フォー・バンキング・オン・バリューズ(GABV)、デロイトおよびKKSアドバイザーズが協力し、世界最大手商業銀行100行を分析したレポートです。

このレポートでは、銀行の財務パフォーマンスと米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)が定義する重要なサステナビリティ課題への取組みとの関連を検証し、重要なESG課題でパフォーマンスが高い商業銀行は、同じ課題でパフォーマンスが低い銀行をアウトパフォームすることを明らかにしました。

 

調査結果

  • ESGへの戦略的フォーカスは、あらゆる業界 (先行研究) 、特に銀行の業績の向上につながる。
  • 重要なESG課題について、高いパフォーマンスである銀行の業績は、パフォーマンスが低いとされた銀行よりも2%以上高い。
  • 重要でないESG課題への投資は、若干の財務実績の悪化と相関している。
  • ESGパフォーマンスに基づく投資を行うには、ESG課題が有力な判断材料となる。

Top vs bottom 20 scoring material ESG banks’ portfolio financial performances 2007-2017*

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