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連載【保険ERM基礎講座】≪第1回≫

「保険ERMと温故知新」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(10月1日発刊号)

≪第1回≫保険ERMと温故知新

ERMは実学であり、リスクソリューションのナレッジの集大成です。第1回目では、ERM発展の歴史を振り返ります。

 

1. はじめに

 「保険ERM」という用語を目にする機会が多くなった。これは、保険会社におけるERMを意味する。保険は、われわれがリスクに対処する際、最も頻繁に利用する代表的ツールである。ERMは、「統合的リスク管理」や「全社的リスク管理」と訳されることが多く、リスクマネジメントを総称する専門用語である。
 保険も、ERMも、実務の中で発展・整備されてきた歴史を持つが、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になるにつれ、その戦略的活用に注目が高まっている。
 本連載では、リスクを積極的にテイクし、それを管理しリターンを確保することを業とする保険会社のERMについて考えていきたい。

2. 今なぜ温故知新か

 今後の保険規制の変化は、新保険業法が施行された1996年前後の数年間の変化と同じくらいの影響を保険会社に及ぼす可能性がある。新保険業法施行前後の数年間で護操船団方式と言われた枠組みから自由化へと大きな転換を図ったわけであるが、今回は、これまで意思決定の軸としていた期間損益指数から経済価値ベースへと、その主軸を移そうとしている・・・

3. 保険制度の本質は変わらない

 保険の歴史は遠く古代ギリシャ、ローマ時代までさかのぼる。地中海商人の間で行われていた「冒険貸借」という取引がある。これは今日の融資と保険が未分化であった時代の仕組みであり、海上保険の原型といわれている。当時商人は、借金をして、船を手配し航海に出た。そして、外国で調達した産物を積載して帰港した。無事に帰港し貿易に成功した時には高利の利息を付けて借金を返すが、船貨が航海中に逸失すると、借金の返済を要しないという仕組みで運営されており、それが冒険貸借と呼ばれるものである・・・

4. ERMの意義

 リスクの定義もいろいろな切り口からなされているが、ここでは、「期待と実際の結果との乖離(かいり)」としておきたい。将来は、無数のシナリオの集合である、従って、将来の結果である特定のシナリオを、誰もあらかじめ正確に言い当てることはできない。つまり、われわれは日常生活でも、企業活動でもリスクと無縁ではいられないし、リスクをゼロにすることもできない。
 保険においては、一般に危険と言われている言葉を、ハザード(Hazard)、ペリル(Peril)、リスク(Risk)というように使い分ける。その関係を図示すると図表1の通りである・・・
 

※つづきは、PDFよりご覧ください。

(PDF、1,515KB)

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
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