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連載【保険ERM基礎講座】≪第17回≫

「戦略論とERM(その2)」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(5月26日発刊号)

≪第17回≫ 戦略論とERM(その2)

第17回目からは、戦略論とERMの関係性について考察いたします。

1. マーケティング戦略

一般事業会社のマーケティング事情は大きく変化している。マーケティング計画を立案する際、一般に知られた枠組みは、「4P(Product, Place, Price, Promotion)」である。しかし、技術が短期間で陳腐化し差別化が難しくなったこと、消費者の価値観の変化が生じていることなどに対応する視点として、「SAVE(Solution, Access, Value, Education)」という枠組みも提示されている。(図表1参照)

2. 経営資源に着目した戦略

ポーターが主張するポジショニング戦略においては、魅力の乏しい産業であったとしても、稀少かつ模倣困難な内部資源を有する企業には、十分魅力的な市場となり得るのではないかという議論も現れた。つまり、市場でのポジショニングよりも、各企業が保有している資源こそが持続的競争優位の源泉であるという立場をとり、企業自体の内部資源であるケイパビリティーを重視する考えが、競争戦略論から出てきた。その中心が、ジェイ・B・バーニーに代表される「資源依存理論(Resource Based View: RBV)」である。

バ-ニーは、「企業ごとに異質で、複製に多額の費用がかかる経営資源に着目し、これらの経営資源を活用することによって競争優位を確保できる 」と主張する。このような競争優位にある経営資源は市場で調達できるものではない。つまり、模倣されない経営資源の戦略的蓄積が競争優位を生むものと考え、次の4つの資本を例示する 。

3. 競争力とERM

保険会社においては、一般事業会社以上に戦略とリスク管理は表裏の関係にある。戦略を推進していくためにも、会社としてリスク管理のケイパビリティーを高めていくことは必然となる。戦略とリスクを統合的に管理するERM(統合的リスク管理)を企業の独自競争力として、つまり、バーニーのVRIOの枠組みを参照して整理してみたい。

まず、企業価値への貢献の視点であるが、もしリスクが適切に特定・評価されておらず、過大・過小評価となっていれば、資本の十分性に問題を来すすこととなり、効果的な資本配賦も実施されない。結果、企業価値追求が非効率的となる。

 

つづきは、PDFよりご覧ください。

(PDF、1,504KB)

図表1 4PからSAVEへの視点の移行

(出典:Ettenson, R., Rethinking the 4P’s, Harvard Business Review, January 2013)

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

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