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連載【保険ERM基礎講座】≪第19回≫

「グローバリゼーションとERM(その1)」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(6月23日発刊号)

≪第19回≫ グローバリゼーションとERM(その1)

第19回目からは、戦略論とERMの関係性について考察いたします。

1. グローバリゼーションの進展

母国市場のみならず海外市場で事業を展開する企業のことを「多国籍企業(multinational enterprise)」と最初に呼んだのは、1960年までさかのぼるという。多国籍企業は、国内市場と海外市場それぞれのニーズに適合する必要があり、世界的規模で経営資源を組織し統合する能力が求められることとなった。その後の交通手段や通信技術の発展に伴い、国境を越えた企業の活動は急速に拡大し、企業の多国籍化と事業のグローバル化を大きく促進させた。

グローバル化といった場合、マネジメントのグローバル化と、オペレーションのグローバル化の2つの側面がある。グループがグローバル化すればするほど、組織構成員の多様な能力とナレッジをグループ共通の財産として地球目線で戦略的に活用していくことが可能となる。そのため、マネジメントのグローバル化においては、グループ本社の機能がますます重要となる。特に、経営資源配分機能、シナジー発揮機能、グループ統括機能の3つは必須となる。さらに、多様な価値観や経験の異なる組織構成員間でコンセンサスを形成していくためにも、グループ内の価値尺度や共通言語を整備しスムーズな意思決定環境を作っていくことが重要である。

2. グローバル戦略の類型

グローバルに事業を拡大する産業もあれば、地域や国ごとに事業を営む産業もある。その違いは、商品の特性や市場における消費者の嗜好(しこう)など、さまざまな要因に負っている。グローバルに事業を展開する企業が、競争優位を求めて地球規模で展開する経営戦略のことを、「グローバル競争戦略」と呼んでいる。

マイケル・E・ポーターは、ライバルがお互いに世界的規模で競争する自動車産業などのように、世界を単一市場と見なし、競争も世界規模で捉え得る「グローバル業界」と、小売業、消費者金融などのように、競争環境が各国によって異なり独立している「マルチドメスティック業界」に分かれると説明する。保険業は、マルチドメスティックであると整理されている 。

3. グループ経営の強化

保険会社のグループ経営の観点から、グローバルなリスクポートフォリオを鳥瞰(ちょうかん)・管理しなければならない。グループガバナンス、グループERM、グループ目線に立ったリスク分散と資本の効率といった視点から資本を配分する必要がある。

4. ローカル経営の強化

保険ビジネスは、各市場の契約者と保険会社が相対で行う契約であり、かつ各国の免許事業である。そのため、各国の規制、ビジネスモデル、取引慣行に大きく影響を受けることとなる。また、リスク特性も、地形の特性による自然災害リスクの違い、ライフスタイルの違い、社会保障を含む制度の違い、人生観、価値観を反映した安全・安心へのニーズの違いを考慮した事業活動が必要になる。ローカル市場に根差したサービス提供が重要であり、ローカルマネジメントの柔軟性を確保しなければならない。各国市場における事業運営体制は、現地法人形態あるいは支店形態となっていることが多い。グループ経営管理としては、海外現地法人や海外支店の管理を本社が直轄しているケースもあれば、リージョナルごとに地域持ち株会社を作って管理しているところもある。

保険制度は、契約者から危険を引き受け、プールを創らなければ成り立たない。保険引受においては、危険大量の原則、危険分散の原則、危険同質の原則を意識して、引受の要否、条件、保険料の設定などをし、適切な危険プールを形成する。(この活動をアンダーライティングという)

 

つづきは、PDFよりご覧ください。

(PDF、1,726B)

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

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