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連載【保険ERM基礎講座】≪第2回≫

「保険ERMと温故知新」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(10月15日発刊号)

≪第2回≫ 保険ERMと温故知新

ERMは実学であり、リスクソリューションのナレッジの集大成です。第2回目では、リスクの深淵さと実務者の判断の意味を考察します。

1. 将来へのアプローチ

人は古来「未知なるもの」にどのように対処してきたのであろうか。保険会社は、契約者が抱える不確実性を自社のプールに抱え込むことによって経営する。不確実性管理の技術が、保険会社のプロフェッショナリティーである。
将来に向かって行動を起こそうとするとき、我々は将来の予測をたてることから始める ( 裏返せば、どのようなチャンスとリスクが潜んでいるかを探る )。この予測の技術が、不確実性を理解し、管理するための基本となる・・・。

2. リスクの多面性と複雑性

全く新たな事態に直面した場合、われわれは、さまざまな関連情報を持ち寄って、事態を多面的に理解しようとするだろう。その様子はさながら、多方向からエックス線を投射し、エックス線の透過データから人体の横断面を再構成するCTスキャンに似ている。リスクに対する分析も「CTスキャン」という表現が当てはまる。またこの活動は、興味深い現象を見つけ出し、そこから意義のある問題を切り取り、そこに潜む法則を見つけ出す。そして、幾つかの現象を体系的に分析する理論を作り出し、理論から導かれる帰結を仮説として立て、それを検証する、といった科学者のとるプロセスと同じであり、リスク管理に科学的アプローチが必要といわれている・・・。

3. リスクの類型と保険リスク

われわれが直面するリスクには、リスクの存在とその特性を十分承知しているリスク(「既知のリスク」と呼ぶ)もあれば、リスクの存在は承知しているが、その特性を十分に解明し切れていないリスク(「未知の既知リスク」と呼ぶ)もある。さらに、インターネットが登場する以前に、現在われわれが経験しているような犯罪の具体的想像はできなかったように、現時点では存在すら知らないリスク(「未知の未知リスク」と呼ぶ)といった3類型が考えられる・・・。

4. リスクのダイナミズム

リスクに対して、多くのデータと学術的知見が蓄積されると、確率・統計論の技術や工学的知見を使ってリスク評価モデルを作ることができる。これを保険会社は内部管理のため活用しており、一般に「内部モデル ( Internal Model )」と呼んでいる。内部モデルは、いわば現時点のナレッジの集大成ともいえる。しかし、ここで注意が必要なことは、モデルが主として過去のデータをよりどころとする限り、そこには、「過去のパターンは将来も繰り返す」という前提に立って将来を予測しているという点にある。
保険会社が引き受けている責任はあくまで将来の事象であって、過去のパターンではなく、過去の傾向から乖離する可能性はいくらでもあることに留意しなければならない・・・。

5. 継続的な改善ループ

保険経営においては、経営目標達成を阻害する要因 ( リスク ) を網羅的に洗い出し、モニタリング計画を立てるが、同時にリスクに関するナレッジを継続的に高めていく仕組みを備えていなければならない。
「リスク管理」とは、文字通り、「リスク」と「管理」の結合概念である。管理 ( マネジメント ) である以上、(1)計画 ( Planning: P )、(2)遂行 ( Do: D )、(3)監視 ( Check: C )、(4)是正措置 ( Action: A ) というPDCAプロセスに沿って対処していくこととなる・・・。

※つづきは、PDFよりご覧ください。

(PDF、1,519KB)

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

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