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連載【保険ERM基礎講座】≪第27回≫

「パラダイムシフト(その2)」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(10月27日発刊号)

≪第27回≫ パラダイムシフト(その2)

1. フォワードルッキングの強化

企業活動は将来に対する働き掛けである。経営は、将来を予測し蓋然(がいぜん)性の高いシナリオを踏まえて経営資源を投入し、経営目標を達成しようとする。つまり、将来のシナリオがランダムであり、誰も正確に予測することはできないという前提に立ちながらも、具体的シナリオと戦略を想定して組織的、整合的な活動を進める必要がある。そういう現実の中で、大きな成果を望むなら、戦略シナリオに対する強いコミットメント(資源投資)が必要となる。しかし、戦略の前提となったシナリオが実際に実現するかは不確実であり、コミットメントの強さはその保証にはならない(戦略のパラドックス)。この点を意識してコンティンジェンシーへの対処に万全を期す必要がある。・・・

2. 規制改革の進展

保険事業の特徴は、そのサービスが社会・経済と密接に関連し、リスクが発現した際にその補償(保障)を行い、個人生活や企業の活動を経済的に下支えし、その安心に寄与するという社会性を有している。それ故、免許事業となっている。このため、多くの規制が設定されるとともに、監督当局によるモニタリングが実施される。保険事業は、免許制であるので、監督当局は免許を維持するために保険会社が遵守しなければならない種々の規制を設定している。保険の規制はこれまで各国ベースで設定されており、各国市場の社会制度の一つとして組み込まれた固有性の強いものである。保険会社自体のグローバルな活動は、グローバルとローカルの規制をどのようにハーモナイズさせていくかが重要な課題となっている。・・・

3. 業務管理の変化

これまでの保険会社の業績管理は、発生した費用と実現した収益を対比させ、期間損益を安定的に確保することに主眼が置かれていた。同時に、保険会社の特徴である保険負債の将来の不確実性に対しては、例えば損保の自然災害リスクに対する支払財源を確保するための異常危険準備金や、超長期の負債を抱える生保の将来の支払財源を保守的に確保するための標準責任準備金といった制度を導入して期間損益を管理している。また他方、保険会社の抱える資産、負債の不確実性を管理する目的で、ソルベンシー・マージン比率による管理が導入され、収益管理とリスク管理が並存する管理体制が構築されている。・・・

4.規則の不確実性

規制改革が進められ、新たな規制が絶え間なく発出されることがニューノーマルとなった結果、規制自体の中身が将来に向かって流動的になっている。極端な話、規制の準備をやり遂げたころには、新たな規制によって修正が加えられたり、新しい概念が導入されたりといった不確実性に直面している。規制対応コストの最小化に目が向き過ぎると、決着が見えるまで対応しない「様子見」の姿勢になり、会社としての打ち手が遅れる懸念も出てくる。規制自体を不確実性の対象と捉えると、リスク管理の枠組みを適用して対処することが可能である。規制の不確実性に対して、その特定、評価を実施し、規制の潜在的変更が戦略に及ぼす影響を検証しなければならない。ここでもリスクを管理する定量的アプローチ(統合リスク管理)と、不確実性に対する定性的アプローチ(統合的リスク管理)の基本的枠組みを応用することが可能となる。・・・

 

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(PDF、1,634KB)

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

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