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連載【保険ERM基礎講座】≪第28回≫

「パラダイムシフト(その3)」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(11月10日発刊号)

≪第28回≫ パラダイムシフト(その3)

1. 資本最適化の強化

不確実性の高まりは、予想外の損失の可能性を高める。それを担保する資本の充実の要請が高まるのは自然の流れである。同時に、いかに資本を効率的に管理するかについて関心が高まっている。デロイトのサーベイ(注1)によると、欧州保険業界では、過去5年間、ソルベンシーⅡに対応するため、資本を充足するための各種取り組みがなされたとの回答が寄せられた。例えば、資本管理方針の明文化(88%の回答者、以下同様)、ストレステストの手続き(86%)、規制当局宛文書(84%)、内部モデルの強化(76%)などへの対応である。一方、5年先に向けた課題については、どのように資本を調達し、これを活用し、最適化することが可能かを検討する資本最適化戦略(90%)に圧倒的多くの回答が集まった。・・・

2. マクロプルーデンスの視点

金融危機以降の保険規制には、金融システムへの影響をモニタリングするマクロプルーデンスの視点が新たに導入された。保険規制にマクロプルーデンスの視点が入ってくる中で、国際的に活動する保険会社(IAIGs)の健全性の動向をモニタリングする指標としてグローバルの保険資本基準(ICS)の論議が進んでいる。当該指標の論議においては、単純で、整合的な尺度を使った比較可能性が重視されている。この根底には、グローバルに活動する保険会社グループのリスクポートフォリオをマクロプルーデンスの観点からモニタリングする指標を確立しなければならないという要請がある。ただ、マクロプルーデンスとミクロプルーデンスの目的は異なるため、両者の指標間の整合性をとることは簡単ではない。まずは、両者の相互連携の具体的イメージを明らかにしていく必要があろう。監督当局には、それを意識していると思われる動きも観察される。・・・

3. リスク社会という視点

保険は、同種の特性を有する危険集団を構成し、その集団内での相互扶助を可能とするため、収支相等の原則で運用する制度である。大量のデータを観察すれば、そこに一定の法則が見いだせるという大数の法則に依拠した制度である。保険が管理対象とするリスクは、経済学的には、計測し得るリスク(フランク・ナイトのリスク)に限定されている。しかし、保険でカバーしている危険に影響を及ぼす危険事情(ハザード)が変化すれば、保険危険集団(リスクポートフォリオ)のプロファイルも変化する。それ故、環境変化が激しいときほど、保険危険が内包する不確実な要素に対しフォワードルッキングな管理が必要である。換言すれば、過去の傾向が将来の予測にそのまま使用できない環境においては、大数の法則に基づきつつも将来トレンドを加味したプール管理が求められる。・・・

 

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デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

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