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連載【保険ERM基礎講座】≪第31回≫

「アイスブレイキング(その2)」

近年、企業経営を取り巻く環境が大きく変化し、リスクが複雑になりつつあります。デロイト トーマツ グループでは、保険毎日新聞に保険会社におけるERMつまり、「保険ERM」を分かり易く解説した連載をスタートしました。(執筆:有限責任監査法人トーマツ ディレクター 後藤 茂之)

出典:保険毎日新聞(12月22日発刊号)

≪第31回≫ アイスブレイキング(その2)

1. 変化に対する新たな視点

技術革新がわれわれの意思決定を質的に変えていることの認識は重要である。「船は難破を、飛行機は胴体着陸を、電気は感電死を発明したように、ある事物を発明することは、ひとつの偶発性=事故を発明すること」であると、ポール・ヴィリリオ(注1)は指摘している。今後のデジタル技術の影響を現時点で正確に予測することは難しいが、ビジネスモデルの変革、リスクセグメントの変化、ロス発生状況の変化、新たなリスクへの対応といった質的変化を保険事業にもたらすことは確実であろう。動態的な環境下においては、リスクポートフォリオへのインパクトをより早く的確に見極める必要がある。そのためには、変化の本質と自らのビジネスモデルへの影響、戦略(グローバリゼーション)への影響、社会受容性の視点からの考察が必要となろう。一つの視点を例示してみる。・・・

(注1)ポール・ヴィリリオ『電脳世界―最悪のシナリオへの対応』本間邦雄訳、1998年、産業図書

2. 不確実性に対するアプローチ

われわれはリスク社会で生きている。リスク社会は常に変化している。プレートテクトニクスの進行や地殻変動エネルギーの蓄積、グローバル経済の不均衡やバブルの進行、地政学的緊張による安全、安心の変化、科学技術の発展がもたらす新たな危険など、さまざまな変化が起こり、不確実性は増幅される。われわれは合理的な意思決定のために、さまざまな枠組みやツールを開発してきた。不確実性の程度によって分けたアプローチもその一つである。・・・

3.破壊的イノベーションと保険

保険の歴史は、リスクを回避するのではなく、新たなリスクを引き受けて発展してきた歴史である。保険のルーツといわれる海上保険は、海上輸送の危険からスタートしたが、その後、鉄道輸送、航空機輸送などの危険に対してリスクテイクを拡大してきた。保険会社の努力は、これまで引き受け困難であったリスクを引き受け可能とすることによって、企業家精神を鼓舞し、経済的発展・成長をもたらす上で下支えとしての役割を果たしてきた。その根底には、リスクの本質を理解し、保険制度に乗せるための挑戦の歴史がある。例えば、先端産業の一つである人工衛星に関する保険の場合のように、当初十分な過去のデータもなく、人工衛星の打ち上げに失敗した場合の損害額の巨大性、技術開発の速さから生じる将来の予測の困難さなど、大数の法則に乗りづらい問題があった。・・・

つづきは、PDFよりご覧ください。

保険ERM態勢高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

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(ブロシュア、PDF、212KB)

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