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社会課題解決に向けたコレクティブインパクトとテクノロジーの活用
テクノロジー活用とエコシステム形成を通して、社会的利益と経済的利益の両立を目指す
社会課題解決に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果として経済的価値を創造することは、長期的な企業価値向上につながることはいうまでもありません。しかし複雑な要因が絡み合う社会課題を解決するには、企業単独の事業活動では困難です。そこで、政府関係機関、NGO、地域社会などの多様なステークホルダーと連携しながらエコシステムを形成し、コレクティブインパクトを実践していくことが、課題解決に必須となります。
SDGs達成に向けたブロックチェーンの活用 ―児童労働問題解決に向けた、サプライチェーントレーサビリティシステムの構築―
サプライチェーンにおける人権問題が大きな社会問題となっています。例えばカカオ産業における児童労働問題もそのひとつです。企業は、児童労働によらないカカオ豆の調達を拡大させようとしていますが、生産地の実態把握はなかなか難しいのが現状です。
デロイトは、カカオ農園における児童労働問題を把握するためにブロックチェーンを活用し、また現地のモニタリングスタッフや政府関連機関とも連携し、現状を正しく把握するためのエコシステム形成に取り組んでいます。まず、サプライチェーン上の多様なステークホルダーが参加するプラットフォームが必要となります。児童労働の実態など、センシティブな情報を格納するために、安心安全にかつ、途中で書き換えられることがないようにすることが必須です。
ブロックチェーンは分散型台帳で、同じデータを複数のサーバに保存し改ざんされないことを証明します。また比較的小さいスペックのサーバを複数組み合わせて構築するため、スモールスタートに向いています。ブロックチェーンは、児童労働の防止だけでなく、金融アクセスが乏しい途上国向けのマイクロファイナンスや、給付金等の支払いに必要なID管理、寄付金用途のトレーサビリティ等、まさにSDGsの解決に向けて大きく期待されています。
国連開発計画(UNDP)においても注目されており、SDGs達成に向けて、金融包摂、エネルギーアクセスの向上、生産と消費責任、環境保護、法的アイデンティティの提供・維持、寄付の効率向上、といった6つの活用ドメインを示しています。
社会課題解決に向けたコレクティブインパクトとテクノロジーの活用
コレクティブインパクトとは、多様なアクター(政府・企業・NGO等)が共通のアジェンダを掲げ、問題解決を目指す取組みです。コレクティブインパクトを成立させる条件としては、①共通のアジェンダ、②共有された評価システム、③相互に強化しあう取り組み、④継続的なコミュニケーション、⑤取り組みを支える組織、これらすべてが必要となります。
共通のアジェンダをもとに、共有可能なプラットフォームを形成し、課題に係る情報収集と共有、そしてインパクトの測定を行うことが必要です。つまり、目指すべき姿を明らかにし、そこに至るための課題について、複数のステークホルダーを巻き込み、情報を共有しながら解決策を検討し、実証実験を経て、実際のビジネスモデルに落とし込んでいきます。この一連の取り組みが、デロイトによる社会課題解決のアプローチであり、コレクティブインパクトの取り組みにテクノロジーを活用することで、課題解決を加速化させることができるのです。