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リース会計基準の改正に向けた対応
改正リース会計基準案から想定される会計処理の変更の影響及びその対応
2023年5月に、企業会計基準委員会(ASBJ)が、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等を公表しました。リース会計基準の改正により想定される会計処理の変更は、様々な領域に影響を及ぼす可能性があり、全社的なプロジェクトとしての対応が必要になります。検討すべき論点が多いため、プロジェクト上の課題を特定し、効率的にスムーズな対応を可能とするために、早期に対応を開始する必要があります。導入に向けた対応ステップと実施タスクを考慮し、効率的に進めることが考えられます。
国際的な比較可能性を担保する観点から改正議論が進展
IFRS等の国際的な会計基準では、借手の会計処理に関して、原資産の引渡しにより、リースの借手に支配が移転した使用権部分に係る資産(使用権資産)と当該移転に伴う負債(リース負債)を計上する「使用権モデル」により、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産及び負債を計上することとされています。
2023年5月2日に、企業会計基準委員会(ASBJ)は、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下、改正リース会計基準案)を公表しました。その中では、国際的な比較可能性を担保する観点から、借手がすべてのリースについて資産及び負債を計上すること等が提案されています。2023年11月現在、ASBJは、寄せられたコメントを踏まえ、検討・審議中です。
改正リース会計基準の公表時期や適用時期は未定ですが、改正リース会計基準案では、適用時期は基準公表から2年程度経過した日以降開始する事業年度の期首からの適用が提案されています。このため、改正リース会計基準案の提案に基づけば、仮に2024年3月までに改正基準が公表された場合には、3月決算企業の場合、2026年4月1日に開始する事業年度の期首からの適用となります。
リース会計基準の改正により想定される会計処理の変更による影響
改正リース会計基準案から想定される会計処理の変更は、図1のように様々な領域に影響を及ぼす可能性があり、その場合、全社的なプロジェクトとしての対応が必要になります。検討すべき論点は多いため、プロジェクト上の課題を特定し、改正基準公表後のスムーズな対応を可能にするためには、早期に検討を開始しておく必要があります。
なお、他にも貸手の会計処理に関して、リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法(いわゆる第2法)が廃止される点や、サブリース取引におけるサブリースの貸手が、リースの分類を行う際は、ヘッドリースの借手として計上した使用権資産を参照することになる点も実務上考慮することになると考えられます。
図1:リースの会計処理の変更により影響を受ける領域の例
図2:全社プロジェクト化の必要性
リース会計基準の改正への対応ステップ
リース会計基準の改正に対応するため、各領域への影響を考慮し、効率的に進めることが考えられます。
図3:改正リース基準対応のための導入ステップ
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その他の記事
企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等の概要(第1回)
月刊誌『会計情報』2023年6月号
企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等の概要(第2回)
月刊誌『会計情報』2023年7月号