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緊急解説:新たな措置により、本当に入国制限の解除及び入国後の待機期間が3日に短縮されたのか
グローバルモビリティ~イミグレーション~ 2021年12月
12月6日アップデート
- 11月30日に水際対策強化に係る新たな措置(20)が発表されました。
- 12月2日には、日本に到着する全ての国際線について12月末まで新規予約を停止するという国内外の航空会社への要請を取り下げて、1日あたりの入国者数の上限を3500人程度に改めて通知しました。
11月29日アップデート
11月29日の昼過ぎに岸田首相から発表があったとおり、「11月30日午前0時より、全世界からの外国人の新規入国を原則停止する 」こととなりました。
2021年11月23日
はじめに
「水際対策強化に係る新たな措置(19)」が令和3年11月5日に公表されました。令和2年12月23日に公表された「水際対策強化に係る措置」(英国からの新規入国一時停止、検疫の強化、英国への短期渡航の自粛要請等)から19回目となります。
新たな措置の内容は(1)ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直し(2)外国人の新規入国制限の見直しとなっています。これまで外国人の新規入国については、「水際対策強化に係る新たな措置(4)」(令和2年 12 月 26 日)1の措置に基づき、原則として全ての国・地域からの新規入国を一時停止し、「特段の事情」がある場合に限り、新規入国を認めることとしています。今回新たな措置により、商用目的又は就労目的の短期滞在(3月以下)及び長期間の滞在の新規入国する者も「特段の事情」に追加されました。
また、有効なワクチン接種証明書を保持してる帰国者・新規入国者は、入国後14 日目までの待機施設等での待機期間中、4日目以降に、事前に審査された活動計画書に沿った行動(外出含む)をすることが可能となりました(4⽇⽬以降も待機期間中であり、活動計画書に沿った活動となるため、⾃由⾏動ができるわけではありません)。前例のない入国プロセスとなっておりますので、順を追ってご説明します。
ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直しについて
現在、全ての帰国者・入国者(日本人含む)は、出国前72時間以内に出国地にて検査を受け、医療機関等により発行された証明書(検査証明書)を入国時に検疫所にて提示及び再度新型コロナウイルスの検査を受ける必要があります。また、日本入国前に滞在した国・地域に応じて、検疫所が確保する宿泊施設での待機(3日、6日又は10日)と検査の受検、そして14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入等について誓約することとなります。
帰国時・入国時の検疫で、有効なワクチン接種証明書の写しを提示すると、検疫所が確保する宿泊施設での3日間の待機や、入国後14日間の待機期間の一部を短縮することができます。しかしながら、ワクチン接種証明書を保持するのみでは待機期間を短縮することはできません。待機期間中の4日目以降に外出する必要がある場合は、事前に日本の受⼊責任者(帰国者・⼊国者を雇⽤する⼜は⼊国者を事業・興⾏のために招聘する企業・団体等)が業所管省庁(当該企業・団体等を所管する省庁)に指定された様式の誓約書、活動計画書等を提出し、審査後受⼊責任者が⾏動管理等に責任を持つことを前提に、14 ⽇間の⾃宅等の待機期間内の⾏動制限の緩和措置を受けることができます。
対象者は(1)日本人の帰国者 (2)在留資格を有する再入国者 (3)商用目的又は就労目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国者 (4)緩和が必要な事情があると業所管省庁に認められた長期間の滞在の新規入国者となっており、ビジネス等の目的に認められている措置となっています。
受入責任者が各業所管省庁に事前申請すると、審査後に「審査済証」が発行されます。帰国者・入国者は「審査済証」の写しを入国時にワクチン接種証明書とともに検疫所にて提示をします。その後、自宅等での待機期間中の3日目に、自費によるPCR 検査⼜は抗原定量検査で陰性が確認され、厚生労働省に指定されたアプリによる⼊国者健康確認センターに報告後、確認の通知を受けたのち外出することができます。ただし、例え外出できたとしても、14日間の待機期間は続いていますので、必ず事前に業所管省庁に提出した活動計画書に沿って行動することとなります。10日目に再び自費によるPCR 検査⼜は抗原定量検査で陰性が確認され、⼊国者健康確認センターより確認の通知を受けると、その後の待機期間は免除となりますので、翌日より自由行動となります(特に外出の予定がなく、自宅等での待機10日目のPCR 検査⼜は抗原定量検査のみ希望されても問題ありません)。
受⼊責任者は、帰国者・⼊国者及び待機期間中に接触する国内関係者の健康管理や⾏動管理の責任を負うこととなりますので、待機施設の確保、ハイヤーなどの専用の移動手段の準備、民間医療保険又は日本の公的医療保険制度への加入、陽性・濃厚接触者等となった際の対応について保健所や医療機関との調整、ワクチン接種証明書の確認、厚⽣労働省が指定するアプリのインストール及びログインの徹底、⼊国者健康確認センターへの応答要請、待機期間中は毎⽇電話やメールによる健康確認及び待機施設等に待機していることの確認、検査手段の確保、4⽇⽬以降活動計画書に沿って活動しているか電話やメールによる毎⽇の確認等が必要となります。また、待機期間終了⽇から7⽇以内に、受⼊結果について業所管省庁に報告する義務があります。帰国者・⼊国者に対しては、厚⽣労働省が指定するアプリを通じて、⼊国者健康確認センターから健康状態報告や現在地報告を求める通知、居所確認のためのビデオ通話を求める通知が来ますので、必ず応答しなくてはなりません。
外国人の新規入国制限の見直し
今のところ「特段の事情」がない限り、査証(ビザ)が発給されていませんので、外国人に対して上陸を拒否することとしています。「特段の事情」の具体例として、(1)再入国許可をもって再入国する外国人(2)日本人・永住者の配偶者又は子(3)定住者の配偶者又は子で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状態のあるもの(4)「教育」又は「教授」の在留資格を取得する者(5)「医療」の在留資格を取得する者(6)「外交」又は「公用」の在留資格を有する又は取得する者、また人道上配慮すべき事情があるときや、公益性があるときといった個別の事情に応じて特段の事情が認められています。家族離散状態で家族統合の必然性が認められる者で、「家族滞在」又は「特定活動」を取得する者も新たに「特段の事情」に加えられています。
今回の措置により、「特段の事情」の中に「令和3年11月5日付け水際強化に係る新たな措置(19) 2.(外国人の新規入国制限の見直し)に基づいて新規入国するも者」も追加されましたので、商用目的又は就労目的の短期間の滞在(3月以下)及び長期間の滞在の新規入国について入国制限が緩和されたことになります。
今後新規入国を申請する外国人については、業所管省庁から指定された誓約書及び活動計画書を含む申請書式を日本国内に所在する受入責任者から当該業所管省庁へ提出し、事前に審査を受けた場合「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めることとしています。審査後に業所管省庁から「審査済証」が発行されますので、新規入国申請者は「審査済証」の写しを持って在外公館にて査証申請することになります。長期の滞在の場合は、事前に地方出入国在留管理署に在留資格認定証明書交付申請をする必要があります。許可後に在留資格認定証明書が発給されますので、「審査済証」と共に在外公館にて査証の申請をします。在外公館より査証が発給されると「特段の事情」として上陸が可能となります。
誓約に違反した場合の措置
入国者⼜は受⼊責任者が誓約書に違反した場合は、業所管省庁により助⾔・指導等が行われますが、繰返し誓約に違反したなど、是正が⾒込まれないと業所管省庁が判断した場合は、新型コロナウイルス感染症拡⼤防⽌の観点から、誓約事項に違反した⼊国者の⽒名等と共に受⼊責任者の企業・団体等の名称が公表されることがあります。また、入国者が誓約に反したことが明らかとなった場合、不実の記載のある文書等により査証の申請を行い、上陸許可を受けたと認められる場合には、出入国管理及び難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となり得ます。
まとめ
新たな措置の公表当初は、各報道機関にて待機期間が3日間に短縮される報道が相次いでいましたが、実際は4日目以降も待機期間が続いており、活動計画書に沿った行動のみ認められています。活動計画書の通りに行動しませんと、誓約違反となります。本当に待機期間を短縮するには、有効なワクチン接種証明書を保持して入国し、10日目にPCR 検査⼜は抗原定量検査で陰性が確認され、⼊国者健康確認センターより指定アプリによる通知を受ける必要があります。通知を受けた翌日より初めて自由行動となります。また、報道機関によっては「留学生」、「技能実習生」、「短期商用」についての入国制限緩和のみ紹介されていましたが、就労目的とした長期滞在も対象となっています。「審査済証」の申請に関しても、各業所管省庁も初めての試みなので情報が錯綜していたようであり、多くの苦情、批判を受け、受付開始日より10日も経たないうちに申請要件が緩和され、経済産業省によるデジタル庁法人向け共通認証システムの「GビズID」を使用した独自のオンライン申請も発表されました。25日には厚生労働省が指定する入国者健康管理システム(ERFS)による各業所管省庁統一(経済産業省以外)のオンライン申請に切り替わり、メールでの申請受付ができなくなりました。今後も申請について変更・修正等が予想され、観光等の入国も緩和される話も出ているようで、しばらく混乱は続きそうですが、新たな変異型の感染が拡大する可能性もあるので、再度入国制限が厳しくなる前に早めの申請をお勧めします。
※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。
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